第67話 小林のテント
「海堂がやられた!」
「あんな吹っ飛ぶのかよ!?」
「いっけね、思わずぶっ飛ばし過ぎて喰い損ねた、あの野郎を探して喰いに行かなきゃ」
ジェーンは助走を付ける体制を取って構え、海堂が飛んで行った方向へ勢いを付けて走り出した
「おい嘘だろ!?なんだよあの足の速さ!?」
追いかける7人だったが、既にあっという間に引き離されてしまった
嶺橙華だけは本気を出せば他の6人を引き離した速さで走り、
ジェーンに追いつく事も可能だが、
天野誠も一緒にいる事を考慮して一緒ぐらいの速度に合わせて走った
「こいつはまずい、ジェーンを見つけ出してから張り込んで眠ってる隙を見つけて暗殺するとかの作戦の方が最適解だったかもしれない」
「今更そんな事言うな」
「あの時遭遇した時点で手遅れだ」
その頃、海堂の飛んで行った先は、トラップ地帯の小林のテントだった
勢いよく飛ばされた海堂は、トラップ地帯を抜けて、小林のテントにぶつかって止まった
「……くそ……瞬殺はされなかったが……アバラが何本かいっちまったか……」
海堂がテントにぶつかった衝撃に気づいた小林がテントから出てきた
「おい!貴様はそこで何をしている!?この僕の優雅なティータイムの邪魔をしやがって」
小林はボロボロの海堂を見て驚愕した
「お前…?即死級のトラップを搔い潜ってここまで来たというのか?」
「小林か……違う、トラップではない……別のヤバい奴だ」
「なに?……あと僕の事はクラウスと呼べ」
小林は遠くの方から足音を聞き、視線を向けた先で、その足音がどんどん大きくなってきている事を察知した
「…まさかアイツにやられたというのか?」
「ああ、計算はしていなかったが、ここに飛ばされて良かったぜ、お前のご自慢の即死級のトラップとやらで死んでくれれば儲けもんだ……死なないかもしれないがな」
「なんだと……まあいい、お前がどうやって自力でテントまでたどり着いたかは知らんが、お前をズタボロにした奴が死んだのを確認させてからお前を始末してやるよ」
「フッ……そいつは楽しみだな…」