第64話 集合
短刀を構えた嶺橙華だが、中々動き出さない
「どうしたの?」
「ちょっと待って、変な気配がする」
「変な気配?」
ターゲットにしていた4人の前にスキンヘッドの黒人の大男が現れた
「ヘーイ!複数の匂いと声を辿ってここまで来てやったぜ・・・・・・お前らが今日の獲物か」
「……ただものじゃないな、もしや貴様が俺の奴隷達を全滅させたのか?」
「ハイ!吉田様!あいつがやりました!」
「一度に複数の人数をぶった切ってヤバかったぜ!」
(…正直逃げたい)
「奴隷達?oh!あれらはお前が育てたのか!マズそうな見た目だったし、全く強くなかったが、よく鍛えられた上質な肉だったぜ!」
「そうか貴様が……それに全員喰ったのか……敵討ちと行きたい所だが、しかし、今戦えば確実に殺されるであろう…」
「吉田様、ここは逃げましょうよ…」
「ああ、そうだな」
「って本当に逃げるんかーーーい」
「奴隷共、お前達はここで囮になれ、お前達も逃げた場合はすぐに首輪を起爆させる、もちろん倒せればお前達を認めてやってもいいぞ」
「そんな吉田様……吉田てめぇ!」
「くそっ!ついにここまでか!」
「片桐さんすいません、俺達はここまでです」
背を向けた吉田の目の前に片桐が現れた
「おい吉田ぁ、随分と諦めがはえーじゃねえか」
「片桐さん!」
「片桐さんが来てくれた!」
「まだ勝てるかもしれない!」
「どけ、王の撤退を妨げるな」
「こんなに人数がいれば、あの黒人に勝てるんじゃねーの?……あとそこの木陰に隠れてる奴も、力を合わせよーぜ」
片桐は木陰に隠れていた嶺橙華と天野誠の気配を察知していた
正確には嶺橙華のみ完全に気配を消せていたようだが
「なんだと……いつの間にか王の暗殺を狙っていた者もいたのか…」
天野誠と嶺橙華が姿を現した
「まさか僕たちの事がバレていたなんて…」
「おいマジか……とんでもねえ奴も紛れてた……こいつは嶺橙華じゃねーか……なんで明らかに初心者みたいなガキと組んでんだ?」
「私に良い物をくれた人だから、私が守る。」
「良い物だぁ?……まあいい、これだけの実力者と人数がいれば、あのデカイ黒人も狩れるだろ、吉田も協力しろ」
「…その隙に乗じてこの王を暗殺しようとは考えてなかろうな?」
「もしあの3人の首輪を爆発させたらお前を優先的に狩ってから逃げる、あいつらも弱くはない、少なからず戦力になるはずだ……もし奴隷の敵討ちが出来たら、あの3人を返してくれよ」
「…まあいい、いいだろう、倒せたら奴隷から解放してやってもいい、敵討ちするには程よい人材も集まっているようだしな」
「ああ、この場に姿は見せていないが、更にもう1人実力者がいる、戦力に不足は無しだ」
「いいだろう……一歩間違えれば消されていたのは俺の方だったかもしれないのか、つくづく奇妙な巡り会わせだ。」
「さあ!討伐レイドといこうか!」