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第57話 2人の過去

「貧民街に住んでいた頃の私はとても弱かった」


嶺橙華は短刀で林檎の兎を突き刺して食べた


「でも今は違う、あの時の、誠を襲っていたあいつみたいな、

あの程度の奴なら一瞬で殺せるぐらい強くなった

そう、私はもうあの頃の私じゃない、私は……強い私に……生まれ変わった…」


嶺橙華は、暗い表情で、林檎の兎を刺しては口に運ぶ事を繰り返していた


(嶺橙華に一体どんな過去が……でも軽々と聞くのも気が引ける…)


天野誠の頭の中は嶺橙華に対しモヤモヤに襲われ始めた


ただでさえ自身の異世界に来る前の記憶自体が無い、

天野誠の頭の中は自身の過去と、嶺橙華の過去への興味で

グチャグチャになっていた



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