第38話 助けてくれ
ヤンキー男に捕まり、縛られ、殴られまくり、
散歩の為に足の縛りだけ解けた天野誠だが、ナイフを突き立てられながら歩かされる。
逃げたらどんな事をされるか分からないので、従うしかない、いや、従っても何かが起きたら、
この状況ではまず助からない、すぐにポイントに引き換えられるだろう
「俺は八重樫孝彦ってんだ、いつ死ぬか分からないお前に、冥途の土産に、俺がこの世界に来る前の話をしてやんよ、俺は元暴走族でな、総長の右腕を任されてたんよ、すげえだろ、色んなチームとバイクで勝負してたんだが、ある日隣町の暴走族チームと揉めちまって、その責任を取らされる為に相手チームの代表とレースで勝負する事になって、その成り行きで勝てば次期総長の座も約束されてたはずだったんだけどな、バイクに何か細工を仕掛けられたのかブレーキが利かなくなって崖落ちする事故を起こしちまって、このザマだ、相手チームの卑怯な奴をとっちめる事も出来ずにこんな所に来ちまってよ、でも過ぎた事は仕方ねえ、元の世界じゃ法律とやらが邪魔をしてやりずらかった事を、この殺し合いの世界でどんどんやって憂さ晴らししてやんぜぇぇぇ!!」
現実世界でも悪そうな奴だが、この異世界で合法的に殺人を犯した事でリミッターが外れたようだ
「そうだ、お前バイクになれよ」
八重樫は天野誠を四つん這いにして背中から跨った。
「チッ、乗り心地の悪いバイクだなァ!」
八重樫は天野誠の尻を蹴り、ぶっ飛ばした
天野誠は仰向けに倒れたまま、腹を何度も踏みつけられる
「おらっ!おらっ!……ふぅ……そろそろ殴り飽きたしやっぱ殺すわ」
八重樫はナイフを取り出した
「じゃあな、ヘタレ野郎」
天野誠は最後の力を振り絞って叫んだ
「助けてくれ!」
「おお、あんなに痛みつけたのに良い声出せるじゃねえか、だが助けなんてこねえよ、今度こそ死にな!」
八重樫がナイフを突き刺そうとして、振り下ろそうとした瞬間
「そこの者、何故に助けを求める?」
2人の前に、謎の少女が現れた