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90 思いがけない戦利品

 道に戻ってその日はさすがに前に進むのは諦めて拠点に戻った。

 リヴィエールがいきなり川の傍に転移させたから、結局今日歩いた分はなしだ。そろそろ次の拠点が出てきてもいいかなと思うんだけど。


「なんだか疲れたね」

「そうですね。あ、でもプリン型と解体が……ま、また明日にでもしましょう」


 そうだった。今日は早めに戻ってミスリルでプリン型を作ろうって思っていたんだ。

 しかも巨大ワームの冷凍輪切りをコパンの収納に入れもらっているんだ。

 おかしな水精霊に懐かれて? 巨大なワームだけでなく、ついでとばかりにミミズの駆除と川掃除をさせられたから最初のでかいワームの事をサクッと忘れていた。


 う~~~~ん、プリン型はもう一度【アイテム】本を確認してからにしようかな。でも《解体》は魔法をかけるだけだし、やっちゃえば有用なところだけが綺麗に残るんだよね。不要なところは消えちゃうし。

 

「……コパン、プリン型はもう一度アイテム本を確かめるよ。ごめんね。《解体》はやっちゃうから出してくれる? やっぱり空間収納の中とはいえ、いつまでもあれが入っているのも嫌だしさ。それに何が残るのかもちょっと興味があるしね」

「そうですね。ではそうしましょう。あ、魔力は大丈夫ですか? 今日は結構色々やっていますよ」

「うん。そんなに大きいのは使っていなし、【アイテム】の魔法も使っているから」

「分かりました。ではよろしくお願いします」


 目の前に凍りついている塊がドンドンと並べられたのを見て「わぁぁぁぁぁぁ」と思ったけど、ここはもうサックリと……


「《解体》」


 相変わらず【アイテム】の魔法は本が出なくてもちょっと光るんだよね。新しく取得する時の方がピカッと光るけど。


 ◆ ◆ ◆


「あ、お肉は残りませんでしたね」

「……良かった。まぁ食べろと言われても食べないけど」

「脂身ばかりっぽいですよね。なんとなく」


 コパンが食に詳しくなっていく感じだよ。でもあの《乱射》がめり込んで、返されたから、脂身というよりは柔らかめのゴムみたいな筋力なのかもしれないな。

 という事で残ったのはとても大きな魔石。まぁあの巨体だったもんね。街で高く売れるといいなぁ。そして、皮。皮かぁって思ったけど、レベルが上がってきている【鑑定】によると防具によく使われるらしい。なるほどと思ったよ。でも俺は使いたくないけど。

 それに俺にはコパンの防御結界があるしね。


「う~ん、目ぼしいものは魔石と皮くらいか。なんだかポツポツ落ちているのはワームが飲み込んでいたものなのかな」


 どうやら鉱石も丸飲みしていたようで、鉄や銅の他に、【補充】が出来ない金や銀を含む石もあった。ラッキー!

 あとは…………


「うん? なんだろう」


 見た事のない小さめの黒い塊だった。拾い上げようと思った瞬間、コパンが「触らないでください!」と大声を上げた。初めて聞くような声だった。


「すみません。でも触らないでください。それと、離れてください」


 俺は言われた通りにそこから離れた。

 コパンはそれを魔力で作りだした結界の箱に入れてグルグルと封をしてしまった。


「アラタ様、少し女神様とお話をしてきます。神気の低いエリアではアラタ様がおっしゃっていた通り、神気の強いものに対して魔物が攻撃的になるのかという事も確認をしてまいります。あの水精霊の言っていた事は寝すぎただけの事ではなく、本当に何かがおかしいというものだったのかもしれません。食事までには戻りたいと思いますが、遅くなりそうでしたら先に召し上がっていてください。念のため結界を強くしていきます。拠点には入れない筈ですので普通に過ごしていて大丈夫だと思います。では、いってきます」


 コパンはそう言って箱を持って消えてしまった。


「…………あれはいったい何だったんだろう」


 【鑑定】をする前に声をかけられたから分からないけど、あんな風にコパンが言うんだからきっと俺にとってまずいもの、ああ、もしかしたら、あのオークみたいにイレギュラーなものなのかもしれないな。

 俺はとりあえず【鑑定】が済んでいるジャイアントワームの素材をインベントリに入れた。そしていつものようにテントを出して、竈と焚火も設置する。


「じゃあとりあえず、夕食を何にするか決めておこう。あとは……プリン型が載っていないか【アイテム本】を確認しながらコパンを待とう」


 まだ暗くなってくるまでには十分な時間がある。


「ああ、コパンが付箋を貼っていたものの中から一品……二品、選ぼうかな。あ、でもコパンはレベルアップしているんだよね。じゃあ何にしようかな」


 選んでおけば温かい料理がすぐに出来るからね。まぁインベントリの中に作り置きしておいてもいいけど。


 こうして俺はキャンプチェアーに腰かけて、まずは付箋の料理の吟味を始めた。


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