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75 なぜか洞窟探検に

 前に進むはずだったんだけど、なぜか俺たちは森の中を野ネズミたちに案内されて進んでいる。


「…………なんだっけなぁ。連れて行かれたら「娘を嫁にって」いやいや、あれは風とか壁とかで、人間は出てこない。ええっと……人がネズミに招かれるのは……おむすびころりんだったかな」

「アラタ様、おむすびってなんですか?」


 俺の独り言をしっかりと聞き取って尋ねてくるコパンに「今度作ってみよう」って答えて、俺は意外と早く進んでいくネズミたちの後を追った。そして…………


「ちゅ!」

「ここですって言っています」

「…………ここかぁ」


 目の前には今までこの森の中では見た事がなかった洞窟があった。当たり前だけど中は暗い。


「どうやらミスリル鉱がある穴みたいですね」

「ああ、そうなんだねぇ」

「アラタ様、頑張っていきましょう!」

「…………暗い所には沢山いそうだよね」

「え?」

「俺、ミスリルは」


 どうでもいいかもしれない、そう言いかけた瞬間、目の前にいたネズミたちがパーッと散った。


「え? 何? どうした?」

「何かの気配があります。…………なんだろう、何だかものすごい音が……」


 そう言った途端洞窟から飛び出してきたのは無数のコウモリだった。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「大丈夫です、アラタ様には防御の魔法がかかっています! それにコウモリは虫ではありません!」


 力強い言葉をありがとう、コパン……

 確かに大量のコウモリたちは俺には当たらない。当たろうとするとはじき返されている。ううう、ここまで守られていて行きたくないなんて言えないよね。


「よし、コパン。中に入ってみよう」

「分かりました! 灯りはおまかせあれ~!」


 そう言うとコパンはボールのような光を空中にふわふわと浮かせた。


「へぇ、面白い」

「えへへへ、ライトを少し小さくしてウォーターボールみたいにいくつも作ってみました」

「うん。いいね。さすがコパン」

「私はアラタ様の『お助け妖精』ですからね。それにしてもすごいコウモリの数でしたね。でもあれだけコウモリがいたら虫はいないと思いますよ」

「…………それは何より」


 俺はその言葉に励まされるように洞窟を進んだ。

 時折小さなトカゲのようなものがいたけれど、特に身体にくっつかれなければ大丈夫。これが虫だったら叫んでいるけどね。

 壁沿いにミスリル鉱がないか【鑑定】をかけながら歩きつつ、ネズミ達はどうしただろうかって思った。

 ものすごいスピードで逃げ出したから大丈夫だと思うけど。まあ出てきたのは普通のコウモリみたいだったからネズミは食べないと思う。さっきコパンが言っていたように、虫や果物なんかを食べるんだよね。

 でも世の中には肉食の蝙蝠もいると昔テレビで見た事があったな。


『お兄ちゃんってさ、虫が駄目なのに、こういうのは見られるんだよね』


 ふとそんな環の言葉を思い出して、小さく笑いが漏れた。


「アラタ様?」

「なんでもない。虫だらけじゃなくてよかったよ。ああ、あのあたりがほんのり光っている。あれがそうなのかな」


 視界の中にコパンのライトボールとは異なる光が浮かび上がった。

 ほんのりと青白いような、不思議な光だ。


「……綺麗だなぁ」


 ミスリルっていうのはどんなものになるんだろう。よくラノベでは剣とかになっていたような気がするけど。俺に剣は必要ないしなぁ。金属なんだから別に何にしてもいいんだよね。


「ええっとどうやって採ろうか。ツルハシなんてないもんねぇ。大体あってもミスリルに太刀打ちは出来ないんじゃなかな。あ、サハギンの銛があるけど土の部分ならどうにかなるかな」

「そうですね。後は魔法で土の部分だけをとばしてみるとか」

「う~~~~ん、それなら水圧上げて水をぶつけてみるか」


 こういう時に抽出とか出来たらいいのにな。その物質だけを取り出すような力。金鉱石とか鉄鉱石とか見つけた時もチラッとそう思ったんだよね。こうさぁ、吸い出すみたいなイメージでね……。


 ピロン……とスマホが鳴った。


「え? レベルアップ?」


 でもこの洞窟の中でスマホを取り出すのは危険だよね。後で確認をしてみる事にしよう。まずはせっかく見つけたミスリルをどうにかして…………


「…………こ、コパン、あれ、何だと思う?」


 視界の端に映ったのは銀色のつるんとしたものだった。なんだろう。なんだかとても見覚えがあるような気がする。でも、ラノベに出てきて、漫画やアニメになっていたものは銀色ではなかった、ような気がする。


「……あれは……スライムではないでしょうか。多分、鉱物性のスライムで……えっと……ミスリルをとってますね……」


 さすがのコパンの声がちょっと強張っていた。


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