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73 前に進む事にした①

 昨日進んだところまでマッピング転移をして、道を進む。

 相変わらず動物たちの鳴き声は聞こえるけれど、道まで出てくる動物はいない……と思っていたらちょろちょろと野ネズミみたいなのが道を渡って反対側の森に入っていったのを見て俺は思わず固まってしまった。


「え……」


 道に出られる動物がいた! ここって道に出てくるのもいるのか。

 

「コパン、道に……」

「…………このエリアは道の方が神気が高いから、弱いのは出られるんですね!」


 コパンもびっくりしたように小さな野ネズミが入っていった森の方を見つめていた。

 そ、そうなんだ。ここは今まではそれぞれの森の中にいたけれど、森の中の神気が下がっていて、道の方が守られているから弱いのは出られるのか。


「じゃ、じゃあ、道で暮らしているのもいるのかな」

「それはないと思いますよ。だって道は隠れるところがないですからね。神気は他に比べて高いかもしれないけど、居心地は悪いんじゃないかなぁ。空には鳥も飛んでいますし」

「……ああ、なるほど……」


 俺は分かったような、分からないような気持ちで再び歩き出した。

 そう言われてみれば確かに今までよりも森の中から出て空を飛んでいる鳥は多いかもしれない。昨日見たリスも道から見える木の枝にいる。リスも道に出られるのかな。というか道の神気は変わらないのか?

 う~~ん、良く分からないなぁ。


「今日は森の中に入りますか?」


 俺が悩んでいるとコパンが声をかけてきた。


「どうしようかな。森の中に雑穀があったから、そういう発見もあるかもしれないけど特に『予見』はなかったよね」

「そうですね。特には」


 もっとも昨日のオークに関しても『予見』自体はなかった。でも何となく二人で入ってみようって思ったんだ。今日は特にそれもない。


「今日はもう少し先へ進む事を優先しようか」

「そうですね。そうしましょう!」


 俺たちはそのまま前に向かって歩き続けた。


 その間にやっぱりちらちらと道に現れる小さな動物たちを見かけた。見慣れてくるとなんだか可愛いな。

 

「アラタ様、後はどんな素材が欲しいなぁって思っていますか?」


 コパンが肩の上に座ったままそう尋ねてきた。


「う~ん、そうだなぁ。欲しかった調味料はもらったからなぁ。後は……ああ、葉物野菜とかがあると鍋とかも美味しそうだよね。白菜とかキャベツとかほうれん草とか。お芋系は結構あったけど、根菜系はまだなかったから、それも見つかるといいな。大根とかニンジンとかごぼうとかレンコンも好きなんだよね。あ、カボチャもあるといいかも。でもやっぱり白米がほしいかなぁ」

「まだまだ沢山ありますね! 楽しみです!」

「あははは、そうだね。後は生クリームもあるといいなぁ。あ、卵! 卵があると色々作れると思うよ。【アイテム】で」

「卵……? なんの卵ですか?」

「なんのって……、この世界で食べられている卵はなんなのかな。俺の世界では一番一般的だったのはニワトリの卵かなぁ」

「ニワトリ……鳥のたまごなんですね?」

「うん。まぁそうだね。他の卵で食べた事があるのは俺はウズラの卵くらいしかないな。まぁ、鳥だよね」

「…………コカトリスの卵は食べられるんでしょうか?」

「う~~~~~~~~~ん、それは分からないな。でも毒があったり、石になったりしたら困るよね」

「確かに」


 なんだか真剣な顔をして考え込んでいるコパンが可愛いなと思いながら、俺はこの先で少し休憩を取ろうと思った。朝から結構歩いているし、きっとお腹がすいてきたから食べ物の話になったのかなって思ったんだ。

 でも休めるような拠点はないし、マッピングで戻って、またここに来るというのも少し面倒かなって思って、神気が高いなら道で食べる事にした。こういう時にレジャーシートみたいなものがあるといいんだよね。


「………………いやいや、ビニール的な素材なんてないし」


 でも……キャンプセットで飯盒とか鍋とか入れられていた袋がなかったかな? 


「コパン、そろそろお昼にしよう。それでさ、ちょっと試したい事があるんだ」

「なんですか?」

「うん。拠点がみつからないし、昼間に行ったり来たりするのもなんだから道で食べようかなって思っているんだけど……なにか敷物になりそうなものがないかなって…………あった! ビニール袋!」


 そうして俺はキャンプ本を取り出して敷物を敷いているページを探す。


「あった! お、ブルーシート系の丈夫そうなやつだ。よし!ここまで丈夫でなくてもいいから、ビニールシートみたいなのが欲しい! 【模倣】!」


 少しだけタイムラグがあって、俺たちの前にレジャーシートが現れた。ピロンとスマホが鳴って苦笑しながら開くと『これは無理した部類です』と注釈がある。


「すみません。お供えします」


 そう言うと、注釈はスゥッと消えた。



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ご覧いただきありがとうございます。

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