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66 挑戦

 拠点が決まらないまま行ったり来たりを繰り返して、前に進むのもそろそろどうなんだろうと思い始めた十日目の朝。

 マッピング転移自体は十日分の距離があってもどうという事はないみたいなんだけど、俺達が、じゃなくて、俺がちょっと不安になってきている。

 だってこんなにセーフティーゾーンが見つからなかった事はないんだ。

 『神気(低)』が近づいているんじゃないかっていう話もしたけれど、そうじゃないのかなって考えてしまった俺は、マッピング転移をしようと肩に載ったコパンに尋ねた。


「ねぇ、コパン」

「なんですか? アラタ様」

「あの道ってずっと真っ直ぐだったよね? どこかで分かれてはいなかったよね?」


 どうしてそんな事を聞くのかなというような表情をしてコパンはコクリと頷いた。


「分かれてはいませんでした。マッピングをしながら必ず入った所に出てくるようにしていましたから」

「だよねぇ……だとするとどうしてセーフティーゾーンがないんだろう? 見逃したのかな」

「う~~~~~ん。気を付けているのであまり考えられませんが……絶対に見逃していないと言い切れるかといわれると……」


 久しぶりに見る、ちょっとだけグルグルしている瞳。


「ああ、うん。大丈夫だよ。一つくらい見逃しても次はある筈だ。だって、神気が低くなるエリアにもセーフティーゾーンはあるんだよね?」

「その筈です」

「うん。なら、進むしかないね」

「はい。頑張りましょう。大丈夫ですよ。ちゃんと次のエリアに入れば分かるので、そうしたらきちんとお知らせします。ここに戻るのは全然問題がありませんから」


 さすがに『神気(高)』の小麦畑とかに戻るのは、もうそろそろ難しいみたいだけど、このくらいの距離は余裕だと言われて笑って頷いた。


 どこかの国の街を見たいと言ったのは俺だ。

 だから弱音を吐いてはいけない。道を外に向かって進めば高ランクの魔物が現れる可能性もあるというのは以前から聞いていた事だから。

 それに対して力をつけていこうって決めたのも俺自身だ。きつくなったらこの前みたいに寄り道をしよう。そうしたらまた思いがけない素材が手に入るかもしれないしね。

 うん。ポジティブ、ポジティブ。


「今日の『予見』はどう?」

「何かあるかもしれません。でも良い事なのか、あまり良くないのかは今日は分かりません」

「そうなんだ。じゃあ、今日も進むしかないな。よろしくね、コパン」

「おまかせあれ~!」


 いつもの挨拶をして、昨日進んだところまでをマッピング転移して俺たちは歩き始めた。



  ◆ ◆ ◆ 



 しばらく進んでいくとコパンが少しだけ眉根を寄せて俺を見た。


「この先に何かいるような気がします。多分右です。入っていけばおそらく遭遇するでしょう。このまま回避をする事も出来ますがどうしますか?」


 拠点が見つからなかったので、特に道を逸れる事もなかったから魔物にもしばらく遭遇していなかった。今の時点でコパンが『良い事』と言わないのであれば、タランチュラのように役に立つようなものではないんだろう。


「何か素材が取れる可能性は? あと、オークのような危険性は感じるかな?」

「…………素材は何か採れる気がします。危険性は……分かりませんが、オークの時のようなわけが分からないようなものは感じません」

「…………なら、行ってみよう」


 多分、以前の俺なら止めようって言っていたと思うんだ。でも、何だか今回は行った方がいいって思った。


「では、行きましょう! 右です。何が出てくるか楽しみですね!」

「うん。でも何が出てきてもお互いに約束は守ろう。離れない。無茶をしない。まずいと思ったらすぐにマッピング転移する」

「分かりました! 『お助け妖精』として無茶をせず頑張ります! でもきっとそんな事にはならない気がします」

「うん。俺もなんだかそんな気がしているよ。良いものが採れて、良い結果が出るといいね。コパン、よろしくね!」

「はい! おまかせあれ~!」


 俺たちは笑いながら道を右に逸れた。



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ご覧いただきありがとうございます。

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