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56 気になる場所

 からあげパーティから一週間ほど経った。

 あの日の夕食はマガモとコカトリスのからあげの食べ比べになった。そしてコパンのリクエストでナスの田楽も作った。

 もっともちゃんとしたナスの田楽なんて知らないから、半分に割ってコンニャクの時に作った甘味噌を塗って焼いただけだけど、これも一応レシピ登録されてすぐに出来るものになった。

 

 食べ物ばかりだけど、天ぷらうどんにも挑戦したよ。タケノコの天ぷらが思っていた以上に美味しかった。

 そうそう、トマトとキュウリはまずは塩だけで丸かじりをしたんだ。コパンは「遠慮します」と言っていたけど。

 冷やした野菜が食べたくて、必死に練習をして氷魔法を取得したんだ。

 そうなるとスイカがどこかにないかなって思ったし、もう少し暑くなったらかき氷にも挑戦をしようと思った。


 そんな感じで俺たちは『神気(中)』のエリアを進んでいた。

 コパンの『予見』のお陰もあって、魔物に遭遇するのは三日に一度ほどの割合で、マッピングで逃げ出す事もなく俺達は戦う事にも慣れていった。


 俺の生存能力も45になって、魔法もLv5になった。

 使える属性魔法は

火 『ファイヤーボール』『フレイム』  

水 『ウォーターカッター』『ウォーターアロー』『アイスバレット』

土 『アースウォール』『フォール』『ストーンバレット』

風 『ウィンドシールド』


 まだ基本的なものが多いけど、これを強くしていけばいいかな。あんまり多くなってもなんだか俺自身が使いきれないような気がするからね。



 ◆◆◆



「おはようございます、アラタ様!」

「おはよう、コパン」


 テントから起き出して、とりあえず『クリーン』でさっぱりとした後は、生活魔法の『プットバック』でテントを片付けて朝食の用意。といっても作りだめをしているものがあるから、朝はコパンの収納からそれらを出してもらっておしまいになる事が増えてきた。こちらに来た時に比べると雲泥の差だなって思う。


「ハムを焼きますか?」

「うん。そうだね。あ、トウモロコシが食べたいな。茹でようかな」

「トウモロコシ好きです!」

「うん。美味しいよね」


 あの草原でとってきたトウモロコシは茹でても、醤油をつけて焼いても、潰してスープにしても本当に美味しくて重宝しているんだ。これで牛乳とかバターとかがあればもっと高級な感じのコーンスープになるんだろうけど、それはまたいつか出来たらいいなって思っている。


「いただきます!」


 パンとコカトリスのハムと生野菜のサラダに茹でたトウモロコシと果物のジュース

 うん。完璧どころかすごく贅沢な朝食だなって思う。


「アラタ様、今日はどうしましょうか。なかなかいいセーフティーゾーンがないのですが、昨日の探索を終えた場所から前に進んで新しい拠点を探すっていう事でいいですか?」

「そうだねぇ。結構進んでいる場所とここが離れているからね。マッピングの転移は出来るけど、もう少し進んだ場所での拠点が欲しいよね」

「そうですね。では拠点を探しながら進んでいきましょう」


 『神気(中)』に入ってからそろそろ二週間だ。この速度でこのエリアを抜けるのにどれくらいかかるのか全く分からないけれど、急いでも実力が伴わなければこの森を抜ける事は出来ないって分かっているから慎重なくらいでいい。

 片づけをして、魔力を巡らす訓練をして、昨日進んだ場所へマッピング転移をして……


「よし、じゃあ行こうか」

「はい。出発!」


 いつもと変わらない朝だった。

 コパンは俺の肩の上で昼食の話をしていた。俺は相槌を打ちながら、適当に道沿いに鑑定をかけながら進んでいた。今日は良い拠点が見つかるといいな。女神はどれくらいの間隔でセーフティーゾーンを用意しているのかな。

 

 すると程なくしてコパンがおかしな顔をした。


「…………この先にテントが張れる感じの場所があるようなのですが、何となく変な感じがします」

「『予見』? 」

「そうかもしれません。でも具体的には分かりません。前に大丈夫だと思っていたけど、戻ってきたら魔物がいた事があったじゃないですか。あんな感じだけど少し違う感じもするし。隠れてる? ううん。隠されている? んんん?」


 コパンはキュッと眉根を寄せて、どう言ったらいいのか考えているような感じだった。


「う~~~ん。どうしようかな。変な感じがするなら通り過ぎた方が無難かな。でもどっちにしてもあそこの前は通るんだよね」

「まぁ……見える範囲でしたら、あそこを飛び越える形で転移も出来ますが」

「ああ、あの先位にかな。うん。それでもいいけど、でもあそこを飛び越えて後ろから追いかけられるような事があったら嫌だなぁ」

「そうですね。ではやっぱり前を通る時に、中をチラッと覗いて確認してから行きましょうか」

「うん。そうだね」


 おかしな感じがするなら好んで近づかなくてもいいかもしれない。今まで進んできて、道に魔物や獣たちがいた記憶はない。という事はこの道もある程度セーフティーゾーンのようになっているか、この森の約束事みたいなものがあって、それぞれの魔物たちが出てこられるエリアがある程度決められているのではないだろうか。勿論それは俺の勝手な想像だけど。


「道に魔物が出てきた事はなかったよね?」

「そうですね。確かに森の中に入ったり、原っぱの中に入ってから出てきました。自分たちの縄張りみたいな所に入ると出てくるのかもしれませんね。まぁ最初のホーンラビットはちょっとイレギュラーかもしれませんが。だけどそうだとしたら道から中を確認するのは大丈夫ですね。何もないならそれでいいし、何かいて戦えるなら戦ってしまった方がいいし、無理そうならマッピングで逃げればいいのですから!」


 今までそうしてきたのだから、それで大丈夫だろう。後から気になってやっぱり確認をしておけばよかったと思うよりも、その方がいい。

 俺たちはコクリと頷いて止まっていた足を動かし始めた。


------


ご覧いただきありがとうございます。

第二章が終わるまでは0時・12時・18時の3回更新でいきます!


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