表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/123

36 新しいスキル

 とても気持ちよく目が覚めた。なんだかいい夢をみていた気がするけれど思い出せない。

 でも思い出せないならそれでもいいかと考えながらシュラフを出て、テントから外に出ると、すでにコパンがフヨフヨと飛びながら動いていた。

 そして俺の姿を見ると嬉しそうな顔をしてこちらに向かってやってくる。


「おはようございます! アラタ様」

「おはよう、コパン」

「朝食はパンとジュースだけでいいですか?」

「うん。そうだね。ああ、昨日作ったハムを少し焼いて食べようか」

「! それはいいですね!」


 コパンはそう言って小さめのフライパンのようなものを動かして焚火の上に載せた。


 俺がこの世界に来て半月近くが経っていた。最初は食べ物を確保する事に必死だったけど、それは日に日に改善をしていった。

 一週間経たないうちに小麦が見つかった事はとても大きかったし、その後イノシシとホーンラビットを狩るというか、倒すというか……まぁ、そのなんとかゲットして、【アイテム】頼りで調理できる精肉の形に出来たのも良かった。そして、塩気をほのかにでも感じる事ができる植物を見つけたのもね。

 でもそこから更に生活が改善していったのは俺とコパンのレベルアップが大きな要因だ。


 初めて自分たちで獲った動物の肉を食べたその翌日、俺とコパンは揃ってレベルアップをしていた。

 コパンは子猫ほどの大きさから、昔見た事がある豆柴の幼犬ほどの大きさになった。背丈は二十センチちょっとあるかな。飛ぶのも少し早くなったし、魔力も、使える魔法も増えたみたいだ。マッピング出来る数や距離も増えたって言っていた。

 

「アラタ様、今日は何か良いものが見つかるような気がします」


 嬉しそうにそう言ったコパンに俺は「それは楽しみだね」と答えた。これは別に単なる予感とか気持ちの問題ではなくて、本当にそういう力が現れたのだ。

 『予見』のスキル。まだLv1だからふんわりと感じるくらいだけれど、もっとスキルのレベルが上がっていけば、こうなるだろうって分かったり、危険を回避する事だって出来るらしい。俺の『お助け妖精』は本当にすごい! 


 そして俺は全体まだLv3なんだけど、特殊アイテムがLv4になっていて、注釈で少し無理がきくと書かれていた。

 今までもイラストだけでごり押ししたり、部位の名前が書いてあるページで精肉してくれとかやったりしていたけれど、それ以上に無理がきくってなんだろう。まだ使ってはいないんだけど、実はかなり期待をしているんだ。

 しかもそれ以外にもスキルが増えていた。今の俺のステータスはこんな感じだ。


-*-*-*-*-


谷河内 ヤゴウチアラタ 

十五歳 転生者 

総合Lv3

  

職業 旅人

魔法 Lv3

 生活魔法 『クリーン』『ウォーター』

『ファイヤー』『プットバック』

属性魔法 火 『ファイヤーボール』  

     水 『ウォーターカッター』

     土 『アースウォール』『フォール』

 


生存能力 15

称号 芋掘り名人 タケノコ採り名人 

フライパンのパン焼き職人


特殊スキル 

 サバイバル Lv3 自給自足 Lv3 

 キャンプ Lv3 鑑定 Lv4 補充Lv1

 空間収納(インベントリ付き)


【特殊アイテム】 Lv4(※少し無理がきく)

『初めてのキャンプ。ソロもファミリーもこれでおまかせ!』  

 『サバイバル読本 これであなたも生き残る』

『自給自足生活をはじめよう』

 『美味しいキャンプ飯』

 

 他・テント作製 ・焚火、かまど作製 

  ・調理方法各種 ・収穫 ・製粉 

  ・酵母作り ・解体 ・精肉 ・燻製


言語理解取得


女神の贈り物 

 キャンプセット

 ご褒美シークレットボックス


-*-*-*-*


 ふっふっふ……だいぶ新しいものが増えただろう?

 生活魔法ではついに『片付け(プッドバック)』を手に入れた。これで食事の後の片付けがかなり楽になった。

 パン焼きはフライパンで作っているからこうなったらしい。一応見習いからは卒業だ。

 【アイテム】魔法は下にまとまった感じで、目新しいものはない。でも鑑定はレベルが上がって、コパンほどではないけどその使い方や、薬草だと効能みたいなものも望めば表示されるようになってきた。

 そして何より大きな変化はスキルの『補充』だ。まだLv1だけど、それでも本当にすごいというか、助かる。


「そういえばそろそろお塩の草(アイスプラント)が少なくなってきましたよ」


 ああ、そうだよね。今のところ何か味付け出来るものはあれくらいだものね。ほのかな塩気だけど。


「分かったよ、じゃあ【補充】しておく』

『よろしくお願いします』


 コパンはそう言って収納からアイスプラントを一つ取り出した。それに向かって俺は魔力を意識しながら【補充】と呟く。すると一つだけだったそれがわさっと増えた。


「ありがとうございます。ではこちらはまた収納しておきますね」


 そうなんだ。今まで採取したものを俺は増やす事が出来るようになった。リンゴが少なくなったら探さなくても【補充】すればいいし、数が少ないアボガドもなくなる前に『補充』する。

 さすがにコパンの収納の中に入ったまま『補充』は出来ないから一つ出してもらわないとダメなんだけど。

 でもこの【補充】は採ったものだけではなかった。

 ダメもとでやってみたら、インベントリの開いたご褒美ボックスが【補充】出来たんだ!

 もう二度と食べられないと思っていた母さんのホワイトシチューやトマトスープベースのロールキャベツがまたいつか食べられるようになった。


 いつでも好きな時に食べられるわけではないけれど、それでもいつかはまた食べる事が出来るというのは希望だ。


「かろりも【補充】出来たら良かったですね」


 出発の準備をしながらコパンが思い出したようにそう言った。


「そうだね。箱だけでもとっておいたら出来たかもしれないね。でもそれよりも美味しいものが見つかるかもしれないよ?」

「そうですね! では今日も前に進んでいきましょう」

「うん。今日もよろしくね、コパン」

「はい! おまかせあれ~!」


 こうして俺たちはいつものように道を歩き始めた。



------

二章開始です。相変わらずの二人ですが、よろしくお願いします。

0時・12時・18時の3回更新です。


ブックマーク、下の☆の評価、いいねなど励みになります。


ご感想・レビューなどいただけたら幸せです♪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ