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105 急がずに

 夕食のメニューは滞りなく出来上がり、お供えも無事に消えて、俺たちは夕食を食べ始めた。


「なんちゃってがおいひぃですぅ~! ご飯とすごく合います」

「それなら良かった。これがブタ……オークの肉を揚げてこんな感じにするとカツ丼っていうのになるよ」

「! それも食べたいです! 今度お願いします!」

「うん。じゃあオークカツ丼も食べようね」

「楽しみです!」


 ああ、何だか明日はオークカツ丼の歌が聞けそうだなって思いながら俺は久しぶりの親子丼もどきを味わった。


 

  ◆◆◆



 夕食後、収納の中であまり使われなかったものがかなり減ったため、【補充】が必要なものをピックアップしたいと言って俺のインベントリの中にあった食材も出して一度整理をしたいと言い出した。道端物々交換で魔石やら金貨やらも素材になりそうなものもそのまま入れているのでそれも順番にやっていくそうだ。

 さすが『お助け妖精』だ。


 俺はと言えばコッコがくれた<ボーキサイト>を使ったアルミニウムの作成を調べている。

 女神が新たにくれた特殊アイテム本は、実はまだ『カフェレシピ』くらいしか活用できていないんだ。これの構造が分かったらいいなぁって思うものもあるんだけど、この世界では手に入らないようなものもあって、そうなると欲しいものが何から出来ているのかっていう話になって、素材の本を見る。さすが女神。よく考えているよなって思う。


「まぁ、急いで何かをしなきゃいけないものでもないし、こんな風にいきなり素材が転がり込んでくる事もあるしね」


 スローライフを目指しているんだから、少しずつ手にしていく楽しみっていうのもありだよね。


「ええっと、ボーキサイトを水酸化ナトリウム溶液に溶かして水酸化アルミニウムを取り出して、水酸化アルミニウムを加熱してアルミナにして、さらにアルミナを融解塩電解してアルミニウムを取り出す……うわ……雑……」


 まるで出来る気がしないけど、ここに書いてあるって事は最悪ごり押しすれば出来るって事だな。うん。

 大体水酸化ナトリウム溶液って確か生石灰とか塩とかで出来なくはないけど、多分自分でやったら色々溶けそうだしやばそうだ。

 これはもう少しレベルが上がらないとごり押しも利かないかもしれないな。せっかくボーキサイトが手に入ってもハードルが高いなぁ。それともアイテム本があれば最低限の素材でいけちゃうのかなぁ。


「はぁ…………」

「アラタ様、どうしたのですか? 何か困った事がありましたか?」


 溜め息を聞いてコパンが傍に飛んできた。


「ああ、大丈夫だよ。今日コッコからもらった石でアルミホイルが出来るかもって思ったけど、石だけおいてアイテム魔法を使っても出来るかどうか分からないなって思って。他にも必要なものがあるみたいだから」

「なるほど……。でもアイテム魔法もレベルが上がってきているので、そのうち出来るようになりますよ」


 ふんわりと笑ってそう言われると本当にそういう気になる。ああ、癒しって大事だな。やっぱりこう信じる力ってあるって思うんだ。


「そうだね。そのうち必ずホイル焼きを作るよ」

「はい! それも楽しみにしています。あ、食材の在庫確認が出来たのでお時間のある時にでも【補充】をしておいてください。こちらに書き出しました。とりあえず私の収納には三十ずつストックがあると思っていてください。残りをアラタ様のインベントリに入れておいていただくので、少なくなってきたら【補充】をしておいていただけると助かります。あまり使わないものは私の方に入れているので使いたい時には声をかけてください」

「分かったよ。ありがとう」


 コパンの収納も俺のインベントリも時間経過はなしだから、材料が傷んでしまう事はなくて安心だ。


「あとコッコともしかするとラタトクスとの接触が今後も続くかもしれないので該当するものは多めに【補充】しておいていただければ私の方に収納しておきますね」

「ああ、そうだね。『神気(高)』の小麦は人気があるからね」

「そうですね。あ、それと鉱石、魔石の類は先程言った通り順番に確認します。金鉱石、銀鉱石は【補充】が出来ませんが、その他の【補充】が出来るものは増やしておいていいかもしれません」

「うん」

「それと、今日ラタトクスと交換した金貨ですが、やはり二百八十年ほど前に消滅した国のものでした。その頃はまだそれぞれの国の通貨があったようですね。その国がどの辺りにあって、どういう経路でこの森の中に埋まっていたのかは分かりませんが、そういったものがあったという事は女神様にお知らせをしておこうと思います。ちなみに金貨は八十三枚ありました」

「八十三…………ええ! 八百三十万円⁉」

「その国のものとして何か付加価値がつくともっとですね」

「…………ラタトクス達にもっと多く渡さないと駄目だったな」


 俺の言葉にコパンが噴き出すように笑って「では次回があればおまけをしましょう」と言った。


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遅くなりました<(_ _)>

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