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8 ボーンチャイナの試作

やりましょう!父親は私たちに十数枚の銀リネを先行投資としてくれました。領主にとってこの程度のお金は小遣いのようなものです。まず、チャリトン様にお願いして陶器工房を見習わせてもらうことにしました。彼は城の文官の一人を私に同行させました。そして、城で退屈すぎて食堂のチーズを盗もうとしていたエレニも一緒に連れて行くことにしました。

私たちは馬に乗って城の東門を出て、アキスオポリス川に沿って上流へ進みました。途中で小川に向かい、谷に沿って進みました。半刻も歩かずに陶器工房に到着しました。文官によると、この陶器工房も父親が若いごろ投資したものです。他の工房は一般的に正門から入ると庭があり、主要な建物は庭を囲むように配置されています。しかし、陶器工房の正門は直接主屋に設けています。工房の西側には小川があり、東側には小さな丘があります。丘の上には陶器を焼く窯があり、半ばには小さな煙突があります。

「どうして他の工房は城下町にあるのに、この陶器工房だけこんなに遠い所にあるの?領主に嫌われたのかな!」エレニが不満そうに言いました。

「ここは陶土の産地に近いから。十分ほど歩けば着く。パナギさん、いますか?」文官がドアを叩きました。

「ギィー」と、部屋の門が開き、白髪の老人が顔を出しました。「文官殿、最近窯を焼く時期ではないな、急ぎの注文か?」

「違う、クリューセース坊やが工房を見学したいだけだ。」文官が説明しました。

「おお、そうかそうか。クリューセース坊や。こちらが我々の工房だ、お入りどうぞ。」パナギ師匠は私たちを屋内に案内し、紹介を始めました。

この主屋は主な作業場のようです。左側には陶輪と作業台があり、右側には木の棚が並んでいますが、今は空っぽです。作業台の上には小さな壺やブラシがたくさん置かれており、隣には大きな水槽があります。

「こちらが主な作業場だ。我々はここで形を作り、乾燥させる。その作業台で釉薬をかける。見ての通り、今は特に作業はなく、工房は空っぽだ。」パナギ師匠が説明し、私たちを部屋を通り抜けて中庭へ連れて行きました。

中庭の左側と右側には棚があり、左側の棚には杵が一本、隣には陶土の山が積まれます。大きな水缶といくつかの大きな木の棒があります。

「ここは原料を砕く場所だ。砕いた陶土を水と混ぜて陶泥にする。あとは作業場へ送り、成形する。」パナギ師匠が説明しました。

次は右側の棚です。こちらにも中央の作業場と同様の棚がありますが、ほとんど空っぽで、残りのスペースは薪でいっぱいです。

「ここは完成品を置く場所だ。また薪の置き場としても使われる。」パナギ師匠が説明し、棚の端にある陶碗を手に取って私に見せました。

これは茶色の陶碗で、上にはほとんど透明な釉薬がかかっています。棚には青色や赤色の釉薬がかかった陶碗もあります。基本的に、この世界の陶器はまだ原始的で、前世のような白くて精巧な高級磁器はありません。したがって、貴族でも平民でも、陶器は日常の生活用品であり、腐りやすい木製の食器より少しだけ良いくらいです。

貴族や富豪は正式な場では金属製の器具を使用します。例えば、アチリス男爵家では普段は木製の食器を使います。宴の際には銅製の食器を使います。実際、銀製の食器セットもありますが、これは母上の大切なもので、伯爵が領地に来た時にのみ使用されます。

「窯の様子も見せてくれませんか。」と私が言いました。

パナギ師匠は私たちを山の斜面に建てられた窯の近くまで連れて行き、「ハルト、出てこい!客が来る!」と呼びかけました。

「え、今客が来るって、まさか!」中年の男が窯から出てきました。彼は頭にタオルを巻いていました。元々白かったはずのタオルですが、もう黒ずんでいます。

「クリューセース坊や、見苦しいところを見せちまったな。こちらは弟子のハルトだ。見ての通り、彼は窯の修理をしている。」パナギ師匠が言いました。ハルトは私に一礼し、私たちを窯の中に案内しました。

「うわ、真っ暗!」エレニが叫びました。私も同じ感想で、窯の中は真っ黒な炭のようです。ハルトは掃除と修理をしていたのでしょう。足元には粘土の塊があり、これは窯の壁を補修するためのものでしょう。

窯の構造は前世の登窯に似ており、釉薬の技術もあります。したがって、高級がないのは高温技術や釉薬の問題ではなく、カオリンがないからです。

「理解しました。パナギ師匠、ハルトさん、去年カラティス城で錬金術師に会い、白い磁器を作る方法を教えてもらいました。試してみたいです。」と私は言いました。

「なんど素晴らしいことだ。今の状況では、俺が一人前になる時、この領地にはもう陶器と磁器が必要なくなるかもしれない。成功するといいな!」とハルトが言いました。

私とパナギ師匠、そしてハルトは、やりたいことと今後の計画について簡単に話し合いました。その後城に戻りました。私たちの領地は広くて人が少なく、石が露出した高山がたくさんあります。長石や石英も豊富です。さらに、毎年秋には大量の牛骨が出ます。以前は一部を接着剤工場で消費していましたが、残りは砕いて肥料として埋めるしかありませんでした。したがって、ボーンチャイナの製造自体は問題ないはずです。

翌日、私はエレニを連れて近くの村に行きました。この時期、農村では冬の肉食の準備をしているので、安価な牛骨を簡単に手に入れることができました。城に戻って台所で牛骨を斧で切り、鍋で煮込みました。

朝から煮込んで昼になり、昼から夜まで煮込みました。その間、母親が昼食と夕食時にパンを持ってきてくれました。

鍋からは良い香りが立ち上り、表面には牛の脂肪がどんどん増えていきました。私は慎重に薪を追加し、エレニは傍らで座っていました。

「いい香り!」とエレニが言いました。私はパンを切り、二本の細い木の棒を使って骨をすくい出しました。骨髄を取り出してパンに挟み、塩を少し振りかけてエレニに渡しました。

「わあ、一人で木の棒を使ってものをつかめるなんて、どうやってやるの?」とエレニが驚きました。

「簡単だよ、練習すれば誰でもできるよ。熱いから吹いて食べて。」私はパンをエレニに渡しました。

「ふう、ふう!あちっ、熱い!」

結局、火伤してしまいました。エレニは時々狼のようであり、時々猫のようです。

「美味しい、ありがとう。」とエレニが笑顔で言いました。

どれくらい煮込めば良いのか分からなかったので、午前の鐘前から夜中の鐘まで煮続けました。エレニはすでに毛布に包まれて炉のそばで寝ていました。私は穴杓子を使って骨をすべて取り出し、井戸水で洗い流しました。

「起きて、美味しいものですよ!」と私はエレニを揺り起こしました。

「何、何が美味しいの。」とエレニが眠そうに言いました。

私は骨髄を挟んだパンと、牛骨スープで煮た大根と青菜を入れた大きな木の碗を渡しました。エレニは目を大きく開き、両手でパンを握り、木の碗を左手で受け取りましたが、三本目の手がないことに気づき、「むむむ」と私に叫びました。まったくだ。

私は箸で大根をつまんで彼女に食べさせました。彼女は満足そうに噛みしめて、「美味しい」と言いました。

「食べたら寝てね、明日も続くから。」と私は言いました。

「うん!」

翌日、私は朝の鐘を聞き逃し、食事を終えて父親を探しました。領地の特産品開発を理由に石膏、雲母、長石をもらいました。これらの役に立たない鉱物は城の倉庫にたくさんあります。

昨日煮たスープはすでに台所で使われていました。牛の脂肪は丁寧に保存され、スープは昼に肉、ジャガイモ、野菜を加えて、昼食のメインディッシュにされます。素晴らしい!私も食べたいですが、今日の昼は母親が作ってくれたサンドイッチだけでしょう。

昨日洗った骨を持ち、馬に乗って出発の準備をしましたが、出発の際にエレニに付きまとわれ、「今日は美味しいものはないよ」と言っても彼女を止めることはできませんでした。それで一緒に鍛冶工房へ向かいました。エレニは驚いた顔をしていました、きっと陶器工房へ行くと思っていたのでしょう。

「クリューセースだな、今日は何をするんだい。」とドリアン師匠が言いました。

「この骨を焼いて高い温度で砕きたいのと、鉄製の食器を一セット作ってもらえますか?前金として銀リネを一枚支払います。」と私は言いました。

陶器工房でもこのような高温にすることはできますが、今回は試作であり、少量の骨を焼くために大きな登窯を点火する必要はありません。鉄を鍛える際には鉄鉱石、石灰石、木炭を砕いて粉にし、約1000度以上の温度で加熱する必要があるので、鍛冶工房で行うのが良いでしょう。

さらに、ボーンチャイナの陶胚は可塑性が低く、陶輪で成形することはできません。前世では通常、旋圧法か石膏型に注入して乾燥させる方法が使われていました。旋圧法は精密部品の製作が必要で、現在のように電動工具がないと難しいです。たから石膏型を使うことにしました。そして、石膏型を大量に作るためには、まず鉄製の母型を作るのが良いでしょう。

「君が何をしようとしているのか分からないが、とにかく今日は工房も暇だから、アルトロとファビオラを呼び戻してくる。」とドリアン師匠が言いました。

さっそく取り掛かろう。私たちは鍛冶用の炉に木炭を入れ、鉄の箱に骨を入れて焼き始めました。エレニには牛に風箱を動かしてもらい、私はドリアン師匠たちと一緒に鉄製の食器を作り始めました。銅で母型を作るもいいけど、鉄よりずっと高いです。なぜなら銅はお金そのものです。

食器と言っても正確には部品です。例えば、ティーカップの本体とハンドルは別々で、ティーポットも上下二つに分かれています。失敗した場合は塗装して装飾として使えますが、鉄はすぐに錆びるので直接食器として使えません。

この牛の風箱設備は、父親が領地の産業を開発のために、カラティス城から職人を呼んで作らせたものです。当時は最新技術でしたが、うまくいけば来年には廃れるでしょう。

焼き終わったら、擂鉢で牛骨を水と共に砕いて粉にしました。今日の仕事はこれで終わり、ちょうど夕食の時間でした。母上は私とエレニに昼食のメインディッシュを少し残してくれていましたので、感動しました!

磁器の製造を決めた三日目、私はエレニと早朝に城の倉庫の管理人を訪ね、昨日言った鉱物をもらいました。それから鍛冶工房へ向かいました。ドリアン師匠たちはまだ鉄製の食器を作っており、私は彼らに挨拶しました。

今日の仕事はボーンチャイナの配合を試すことです。ボーンチャイナには大体半分が骨粉であることは覚えていますが、残りの陶土、石英、長石の割合は分かりません。念のため、エレニと一緒に数十枚の異なる配合の磁片を作り、炉に入れて焼きました。最終的に原料の割合を決定しました。

その後、ドリアン師匠たちと一緒に型を作り始め、夜にはほぼ完成しました。

四日目、ついに正式な食器作りの段階に入りました。まず鉄製の型を使って石膏型を作り、水を多めに混ぜた磁土を注入し、途中で注射器のような木筒で圧力をかけました。作り終えた後、石膏と磁土が乾燥するのを一晩待ち、炉に入れて焼きました。五日目は前日に焼いた骨灰と同じくらいの温度で一回目の焼成を行い、冷却した後、六日目に釉薬をかけて二回目の焼成を行いました。七日目に彩釉をかけて焼成し、ついに完成しました。

私たちは最も簡単な彩釉だけを使用しました。釉薬の色については後で研究することにします。彩釉の段階は後で印刷方式で行うことができ、工数を少し減らすことができます。

「わあ、途中で見てたけど、これは本当にすごい!」とエレニが感嘆しました。

「お疲れ様でした、これなら商品として売れるでしょう。次は商会との交渉のことだな。」と私は言いました。

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