誕生日会と集められた三傑
「ジャン様? 手紙にはなんと?」
「ルイス殿下が13歳になったから誕生日会が開かれるらしい。是非来てほしいと……今までこんな招待とかあったかな?」
「ジャン様が幼少の頃はありましたが、それ以降はなかったかと思います。最近のジャン様の活躍を知って、呼んでいるのかも知れません。ルイス殿下の誕生日会ともなると、沢山のお客様と重鎮が集まると思いますから」
「呼ばれたら行くしかないよね。ベイル今すぐにジェイドとグロッセを呼んできて」
「かしこまりました」
「お呼びでしょうかジャン様」
「ルイス殿下の誕生日会に呼ばれたからしばらくここを留守にする事になった。その間ダラムはジェイドとベイルで協力して頼めるか? グロッセは僕の護衛として一緒に王都まで来てほしい
「そういう事でしたらお任せ下さい」
「護衛は俺に任せて下さい!!」
「ベイルもよろしく頼む。それと妹のエミリも頼んだよ」
「かしこまりました」
「僕の旅の準備をベイル、グロッセもすぐに出発するよ」
ダラムをすぐに出発し、王都へと向かった。
数日馬車に揺られてやっと王都に到着するが、休む暇もなく宿を取りパーティーの支度をする。
「グロッセこの格好どう思う?」
「カッコいいっすよ! 俺達の黒い防具とお揃いで黒いですし、ジャン様の白い髪が余計に際立っていい感じっす」
「地味すぎない?」
「でもジャン様、着る衣装ってこれしかないっすよ?」
「はぁ〜。分かってるよグロッセ……これで行くしかないんでしょ。れじゃあ行こうか」
「はい」
全身黒の衣装に身を包み、王城へと向かう。
(ジャン、俺がパーティーに出ちゃっていいのか? こういうのこそジャンの出番じゃないの?)
(僕はこういうの苦手なんだ。ユウタの好きにしていいよ)
(いいのか? 知らない貴族に喧嘩売っちゃうかも知れないぜ?)
(その時はその時に考えるよ)
(貴族のパーティーに出てくる飯には興味があるんだ。俺は隅っこで飯を堪能するよ)
王城に到着すると、何百台にも及ぶ馬車が庭に止まっており、馬車から降りて周りを見渡すと、とんでもない数の人が訪れているようだった。
盛大な誕生日会を警備している兵士に招待状を見せると、王城の中へと案内され、長い廊下を歩き、大きな扉を開けると、何千人と収容出来るような大広間が目の前に広がった。
俺と同い年位の男女もかなりの数、参加しているようだった。
そんな事より、俺はこの世界に来て初めてご馳走と呼べる飯が目の前に並んでいて、テンションが上がった。
片っ端から手に取り、部屋の隅にあるテーブルに並べて俺はガツガツと食べ始める。
部屋の奥にある階段から国王っぽい人とルイス殿下が降りてきて、何か挨拶のような事を始めていたが、俺には関係ないと思ってひたすら食事を続ける。
流石は王城で開かれるパーティーの飯といった感じで、とにかく美味しい。
「あんたどうやら生き残ったみたいねジャン」
声に振り向くと、赤いドレスに身を包みグラスを持って話しかけてくるロベルタの姿が。
「アウル家は終わったなんて言われてたけど、あんた大活躍したらしいわね」
久しぶりに見たロベルタは、以前にも増しておっぱいがデカくなっていた。
「あれ? お前って身長縮んだ?」
俺は手を使ってロベルタと身長を比べた。
「あんたの身長がデカくなったんでしょ! 学校からジャンがいなくなって一年近く経つんだから成長もするでしょ」
「あ〜そういう事か。ずっと戦ってたりして忙しかったから気が付かなかったわ」
「ジャンってそういう性格でしたか? お久しぶりです」
そう言いながら近づいてきたのは、全く見たことがない奴だった。
青い髪に片眼鏡をしているそいつは、青色が多く入った衣装を着ていた。
(ジャン、誰だこいつ)
(三傑のもう一人。レオン・クロウだよ)
(なんだよ、また三傑の一人かよ)
「%#$@%%$#%%#%@$#%」
「食べるのをやめてから話したらどうですか……?」
「久しぶりって言われても俺は全然お前の事覚えてないからな〜」
「それは酷いですね。同じ三傑でロベルタや殿下も含めて皆が同い年だと言うのに」
「それで? 俺になんか用なのか?」
「いえ、久しぶりにジャンを見たものですから挨拶しにきたんです」
「そうか、じゃあどうもこんばんは。これでいいだろ? 俺は飯食うのに忙しいんだ」
俺は二人を無視して食事を再開した。
そんな中、一人の騎士がこちらに近づいてきた。
「御三方、ルイス殿下がお呼びになっております。別室に案内しますから付いてきてもらえますか?」
凄い面倒くさいと思ったが、仕方がないので後を付いていく。
案内された別室に通されると、ルイス殿下とその護衛が何人かいた。
「やあ、ジャンは本当に久しぶりだね。三人とも座ってくれるかい」
ローテーブルを囲って四人がそれぞれのソファに座る。
「私と呼んだ三人以外は部屋から出てもらえるかな?」
ルイス殿下が、座っている俺達以外の人間全てを部屋から追いやる。
「この部屋には魔法がかけられていて、外に声が漏れる事が一切ない。今はただ同い年の子供同士として接してくれて構わない。楽にしてくれ」
そう聞いた瞬間俺は、ドンッと足をテーブルの上に乗せた。
「あんた何やってるの!?」
ロベルタが立ち上がって、俺に向かって怒鳴る。
「ルイスが楽にしてくれって言ったんだからいいだろ?」
「ああ勿論だジャン、好きにしてくれ」
「それで? 何で俺達を呼んだんだよ! 何かあるんだろ? さっさと話せよ」
「ジャン、流石にルイス殿下の前で横暴過ぎますよ?」
「いやいいんだ、この場ではどんな態度も発言も許す。ロベルタとレオンも昔のような口調で話してもらっても構わない。三人の本音が今は聞きたいんだ」
「話はなんだ!?」
「私の願い、野望の為に三人には是非私の力になってほしい! 私はこの国の国王になった時、この国の一人の民として、代表者として、自分の使命として大陸全土の統一を目指す!」
ルイス殿下は立ち上がり、強く言葉を発した。




