第九話 講義
市内全域を再生させた後、俺は総理一行に土下座で頼まれ、魔法についての講義を行うこととなった。
5億円の報酬付きで。まぁ、この講義を聞いたところで魔法が使えるようになるわけではない。それは、別報酬だ。
「西山総理、講義自体は、報酬があるので構わないのですが、どうして諸外国の大統領達もオンラインで参加されているんです?言いましたよね?私は、国内に付いてのみ対応すると。外国へは救援はしませんよ。」
「彼らはあくまでも今後の対応策のために魔法について知っておきたいらしい。」
「わかっているなら、いいですけど。契約反故にしたら、総理。覚悟していただきますからね。」
「そんなことはさせない。」
「まぁ、私はどっちでもいいんで別にいいですけど。」
俺には全言語翻訳スキルがあるから、俺の言葉は米国人が聞けば英語に聞こえるし、中国人が聞けば中国語に聞こえるようにその国の言葉に翻訳されて聞こえる。
「はじめまして、日本人の工藤大貴です。岸田総理の要請によりこの場にて魔法についてのご説明します。まず、数時間前の敵の攻撃ですが、あれは魔法ですが宇宙船の規模に拡大していますが、学校で最初に学ぶ簡単な魔法です。」
「あれが、簡単?」
「大貴くん。その魔法をここで披露することはできんか?」
「それは、お願いですか?この講義では説明するだけですよね?実践披露は契約に含まれていません。」
「傲慢だ!緊急時に個人の都合を優先するとは。」
「それでは、中国政府にはご退場頂きます。」
『雷よ、一条の光となれ、彼の者を目指せ 雷光』
俺は、中国政府に繋いでいる機器に向かって魔法を放った。その機器はショートし、中国政府は画面上からきえた。
「これが、彼らが使った魔法、雷光です。念のため言っておきますが、私は要請でこのような場を開いていますが、先程のように私を非難したり、横暴な振る舞いをされる
国家にはご退場頂きますので、ご理解ください。」
全員が画面上で頷いていることを確認し、話を再開した。
「魔法とは、簡単に言えば呼吸と一緒です。空気中にある魔素を取り入れることで体内で魔力化し、魔法として放出します。」
「それはつまり、この世界の人間でも、魔法は使えるということか?」
「ええ、その通りです。」
「君は先程、契約といった。ならば、日本政府が用意している以上の金額を出せばこちらにも享受頂けるのか?」
「日本国内にお越し頂けるのであれば、お教えしましょう。皆さんの国に私が行くことはどれだけ金を積まれてもありえません。」
「その条件を飲もう。至急、契約書の作成を始めてほしい。君の言い値で構わない。また、こちらから送るメンバーは君に絶対服従させることを約束する。反故にしたものは、君の意向で消してもらって構わない。」
「では、西山総理。米国用に契約書の作成をお願いしてもよろしいですか?条件については後ほどお伝えしますので、フォーマットの作成だけ先にお願い致します。」
「わかった、準備させよう。」
「他の国家元首の方で同じようなご要望がある方は、今後は西山総理宛にお願い致します。話をつづけさせて頂きますが、もし皆様が敵方に対して準備を行う場合、一度敵を撤退させなければなりません。したがって、こちらも報酬次第ですが、ご希望される国は、私の方で敵船を撃滅します。そうすれば、敵が戻ってくるまでの間に教授させて頂けるかと思います。どうするかは、皆様でお考えください。因みに、上級の魔法は核シェルターでも吹き飛ばしますので、参考までに。それでは、私はここで失礼致します。」
さて…どうなるかな。