第七話 要請
謎の宇宙船からの攻撃から3時間後…
同居している祖父母のいる畳の部屋で俺は迷彩服を着込んだ自衛官達と向かい合っている。
真ん中に座り物凄く怖い形相でこちらを見ているのが、習志野駐屯地所属 特殊作戦群一等陸佐の高松秀衡さんという方らしい。その両側に副官として三等陸佐の松本さんと小清水さんがいる。
彼らの要件は簡単だ。日本防衛のために協力しろというところだ。まぁ、聞くところによると今回の攻撃は世界中で発生しており、一度目の攻撃以降直接攻撃は行われていない。まぁ、航空戦によって軍人の撃墜は、多少あるみたいだが、民間人の被害は日本では
ここが最大らしい。推定でも一万人が死亡し、二万人が行方不明とのことだ。
その中でどういうわけだか、俺の家だけがポツンと生き残っているわけだ。そして、彼らは衛生からの映像で津波の瞬間この家の周りを光が包み、津波を防いだことを確認し、更に攻撃を加えた敵船が消え去ったのだから、ここに来ることは当然かもしれない。
まぁ、この展開は予想してたが、ハイそうですか。
と協力するわけがない。今では、この日本最大戦力は、俺な訳で彼らに命令される筋合いはない。
その気になればこいつらが動く前に異空間に閉じ込めることができる。詠唱すれば宇宙船の規模でも閉じ込め付ことができるが、3人程度なら思い浮かべるだけでも可能だ。
だからこそ、ここは強気に出よう。
「現状、敵からの接触はないが、今後同じような攻撃が都心部等に行われる可能性や、全面戦争の危険性もある。だが、あの宇宙船の攻撃を防ぐ手段が君にはあると我々自衛隊は判断した。そこで、日本防衛のため、協力してほしい。」
「嫌です、お引取りください。」
「「なに…?」」
「私は家族を守るために仕方なくこの力を使いましたが、身も知らぬ国民のために私が犠牲になるなんて話にならない。」
「彼らが憎くはないのか。」
「憎い?何がです?」
「この街には君の友人がいたはずだ。彼らが殺されたことに何も感じないのか!?」
「残念には思いますが、彼らの為に命をかけるほど、仲の良い友人がいたわけではない。それに、あなた方は協力してほしいというが、階級の高い自衛官が言っては、それは命令に等しいのではありませんか?」
「これはあくまでも要請だ。」
「では、断ります。これで要件はお割れですよね。出口は、あちらです。お帰り下さい。」
「従わないのであれば…」
「従わなければ、何か命令書か、令状か何かを出して命令しますか?」
「そうすれば君が協力するなら、そうする他ない。我々には、時間がないのだ。」
「やってみたらどうです?その代わり命の保証はしませんが。お忘れかもしれませんが、私がその気になればあなた方だけでなく、その胸ポケットに入れてある盗聴器で話を聞いている方々全員を即座に殺すことだって可能なんだ。」
「…それは、脅しているのか?」
「命令するならば、身を守るためには仕方ありません。」
「…何か条件をつければ協力してくれるのか?」
「そうですね…。まずは、特殊作戦群に私だけの部隊を創設していただきましょうか。名前はなんでもいいです。ここは仮に特務隊とデモしておきましょうか。それから…」
俺は、彼らに条件を散々につけてやった。
整理してみよう。
(一)特殊作戦群に俺だけの部隊を創設。
(二)俺の階級を陸将とする。
(三)俺への命令指示等は行わない。
(四)あくまでも日本国内の対応のみとする。
(五)俺だけは一夫多妻制を認める。
(六)日本中すべてのホテルを無料で利用できるようにする
(七)東京ディズニーリゾートの永年入場券
(八)ミラコスタの一室提供
(九)一回の攻撃に付き十億円の報酬
(十)敵が撤退した後も、この条件は継続する。
言ってみるとそんなでもない。
好きなように遊んで暮らせるなら、ちょっとの作業は仕方ない。