第五話 召喚魔法②
俺は今、長野の山中に来ている。
ついさっきまで自習室で勉強していたのだが、
昼休憩がてら抜け出してきたわけだが。
サメハダーから言われたように召喚獣達をこの国の至る所に開放してやることにした。我が子達は、気性がとっても穏やかだから、人を襲うことはまずない。
現にあの子は今では、北海道のマスコットキャラクターとまで言われだした。まぁ、研究者達から言わせると一体どこに生き残っていたのかという疑問とどうしてここまで誰にも見つからなかったのか、そしてどうして日本近海に現れたのかということらしい。
まぁ、そうだろうな。
生きた化石が、遊泳してりゃあそう思うか。
多分、あいつを研究しようと無理に採取しようもんなら、即座に殺させると思うけどな。
「さて、今日は誰を読んでみようか…。」
山にいるし、定番のやつを呼んでみますか…
『陸の王者よその身を我もとに示せ 精霊王 神喰』
俺の前に現れたのは、ファンタジーではど定番の
フェンリル。精霊王って言ってるだけあって壮観。
だけど、こいつは精霊国で王をやっているのが退屈すぎて王座を息子に譲って流浪の旅をしている時に仲間にした。
プライドが異常に高いけど、話してみると結構良いやつ。
まぁ、俺以外の人間についてはゴミ同然に見てるから、
話しかけようもんなら、殺されるけど。
「エドワードよ。ここはどこなのだ?儂は、さっきまで国で寝ていたはずなのだが。」
「ここね、俺が元いた国。」
「元…勇者が召喚される国か?」
「そうそう。」
「にしては、魔法の気配がないの。魔素はあるくせに、魔物や魔族の気配がないわ。」
「この世界の住人は、魔法の知識ないからな。そもそも、人間しか住んでないしな。」
「魔法無しでどうやって生きておるんじゃ?」
「それは自分の目で見れば?お得意の千里眼でさ。」
「まぁ、それは後で見ておこう。それで?儂になにか用か?」
「別に?暇だろうから、俺の世界でも見せてやろうかと。」
「見せる?」
「好きに見て回っていいよ。ただし、虐殺とか街滅ぼすとかやめてね。」
「それは人間次第じゃ。」
「この国の北の端には、既にネーレウスはいるから。序に会ってみたら。ただし会うときは、夜か人化して行ってね。」
「何故だ?」
「あいつ、人気者で人間に囲まれてるから。」
「…羨ましい。」
「ん?」
「なんでもない。わかった、では、好きにさせてもらうとする。」
「じゃ、楽しんでね。ラグナロク」
「ああ。」
俺は、ラグナロクに別れを告げると自習室に戻った。
それから3日後…
夕方にテレビを見ているとニュースで
北の某大国が、大型の狼のような化け物と戦っている様子が映し出された。ただ、すぐに映像は消え、アナウンサーより街がいくつか壊滅し、多くの死傷者が出ていることが放送された。
間違いなくラグナロクだけど、あいつ先に手を出すやつ
じゃないからな。まぁ、なんか余計なことしたんだろうな。地図上から国自体が消えなきゃいいけど。
あと召喚するとしたら、あいつだけど。
あれ連れてくると空の生態系が崩壊しちゃうから無理だな。とりあえず、あいつらだけでいいや。