第一話 私、就活中です。
…ピピピッ…プツ。
「ふぁ〜…。もう、7時か…。起きよ。」
俺は、ベッドから出ると歯磨きをして、リビングに向かう。そこには、スーツを着て食事を摂る父親と俺の朝食を作る母親。
「おはよ〜。」
「あら、起きたの?もうすぐできるからちょっとまってて。」
俺は、リビングで新聞を広げると今日の記事を読み始めた。気になる記事にはチェックをつける。後で見返すためだ。そして、昨日の新聞の気になる記事を切り取り、ノートに貼る。
そうこうしてる間に食事ができて、食事を摂る。
それから数時間後…
俺は東京ドームの前にいた。
「ここでコンサート観たのは、大学3年の時だから4年前か。もっと経ったように感じるけど…。」
俺がここにいる理由は、就活のためだ。
俺は、大学卒業後、イベント業界を目指していたが、コロナのため採用の取り消しにあい、夢半ばで挫折。夢を諦めて、地元に帰り大手の建設会社に就職した。
社長も会長も父親と仲が良かったため、コネ入社できた。
昔から人付き合いは家族と外とで使い分けていた俺は、
親からの心配をよそに成績を伸ばしていった。
ただ、先輩達は自分なりの営業スタイルを築く俺が気に食わなかったようで雑務や無理難題を押し付けるようになった。助けてくれる上司もいたが、俺の精神はどんどん擦り切れていった。
社長達も良くあることらしく、見て見ぬふりをしていた。
この業界ではよくあることなんだとか。いわゆるブラック企業なのだ。残業時間も会社が管理し、規定時間以上やってもその1/3以下しかつけてくれない。
こんな会社にほとほと愛想が尽きた俺は、数十億単位の仕事をいくつか、ライバル企業の仲の良い社員に渡して、会社を辞めた。当分の間、その会社に業績を抜かされる目に合うだろう。そうなれば先輩達は、馬車馬のようにはたらかされるはずだ。大変気分がいい。
まぁ、そんな理由で俺は就活をしている。卒業から2年だった為、新卒枠として1からやり直すことにした。
別につらくはない。
俺はもっと辛く大変な目にあってきたからだ。
友人に話しても家族に話しても馬鹿にされるので、
最近では誰にも話してない。
でも俺は、実際に体験したんだ。
異世界召喚を…