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捨てられない人への分別しない片付け方について

作者: 蟷螂

片付けが苦手だ。というか殆どの人は片付けが苦手ではないだろうか。


そんな片付けが苦手な人でも強制力が働けば渋々ながらも片付けは行うだろう。友人が来るとか親に部屋の散らかり具合を怒られたとか、かたちだけは片付けられると思う。しかし、片付けた後部屋を眺めると何かしっくり来ない、何かごちゃごちゃしている。


その原因は物が多いからである。物が多いので幾ら収納しようが整理しようが片付かない。物が多いからすぐ散らかるのである。


ではどうするかというと要らない物を捨てるのだが、それが一番難しい。


理由は本人に要る物、要らない物の判断ができないからだ。出来ていれば今頃スッキリした部屋でくつろいでいることだろう。


何故片付けが出来ない、物が捨てられない、要るのか要らないのが判断できないのだろうか。



行動経済学から片付けられない人を考察


これを行動経済学の見地から考察すると以下の通りとなる。この行動経済学というのは従来の経済学に人の不合理な心理を説明しようと試みる学問である。


片付けをしている時に出てくる考えに、今は使わないが何かに使えるかもしれない、という思考がある。


そんな理由で残した物が活用される日は永遠に来ないというのに、だ。



この所有している物に価値を過剰に持つ心理、失うのが惜しくなる心理を「保有効果」という。


これは自分が持っている物は客観的な価値より高い価値を持つと思い込むバイアスのことである。バイアスとは思考や判断に特定の偏りをもたらす思い込み要因、得られる情報が偏っていることによる認識の歪みの事である。


この保有効果の実験では、所有者は所有していない人が考える値段よりも倍の値段があると思い込んでいたケースがある。


自分の物を中古ショップで売ったときに考えていたよりかなり安い値段でしか取引されていなくてがっかりするのはこのバイアスに基づくと言って良いかもしれない。



また片付けが出来ないのは、保有効果の他にもプロスペクト理論も働いていると見なすことができる。


このプロスペクト理論は損失回避性というバイアスで、人は得よりも損をするという事に敏感に反応するというものである。


片付けるという事は捨てる=無くす=損をする=勿体ないと心が解釈してしまい、何かと屁理屈を述べて捨てるのを止めようとするわけである。


さらに現状維持バイアスの働きも考えられる。片付けにおける現状維持バイアスは要るか要らないか判断する時に、今は分からないがそのうち必要かもしれないから今回は置いておこうとするケースだ。


またいざ片付けようとするとめんどくさく感じて(変化をきらい)片付けは来週にしようと結局やらない行動も現状維持バイアスで説明できる。



これらの行動経済学のバイアスは、特にゴミの分別が出来ない人には強力に効果を発揮していると思われる。


もうすでに価値がなくなっている(減価償却費として0円)ガラクタをどう処分したら良いか分からないだけなのに、


・せっかく買ったのに「保有効果」

・いつか必要になるかもしれない・メリカリで売ったら案外高く売れるかもしれない「損失回避性」

・結局、メリカリに出品するのがめんどくさくてやらない「現状維持バイアス」


以上が行動経済学の見地から片付けられない人の行動を説明したものである。



自分の考える片付けられない真の理由


そもそも捨てられない人は今手にしている物が必要なのか、不要なのか、そもそも「どう捨てたらよいのか」が分からない。


さらにこの状態で物をさらに買ってくるのだから部屋がもので溢れてしまうのだ。


さて、物が多いことに対する対策は捨てる事であり、今のトレンドの整理術の基本はまず捨てる事を推奨している。しかし、その捨てる(分別してゴミ出しするまでの過程が頭に浮かばない)ができないから多くの人は困っているのではないだろうか。


捨てるのに躊躇する。これが片付けられない人の多くのケースなのではないかと思う。


こういう人に捨てたとしても後で困ることは「ほぼない」と言っても無駄である。「ほぼ、ということは僅かにあるということじゃないか、そうなると困る。」と言い返してくるだろう。


またこういう人は捨てるにしてもどう捨てたら良いかわからないという人が多い。昔から親に勿体ないとか言われ続け、今でもSDGSだの言って捨てるに躊躇する風潮だし、さらに捨てるためには大量に区分けされた分別をしなければいけない。


このように分別が出来ずどう捨てたらよいのか分からない。これができないから困っているのだが、そこには片付け術もあまり言及していないのが不思議なくらいである。


世間の大半の人はゴミの分別など苦労していないのだろうか、それだと普段よく見る不法投棄などは実は幻想を見ているのではないか、と妄想したりする。



すぐ捨てない分別しない片付け術について


半年前に「そもそも分別して片付けようとするから出来ないのではないか。」と思ったことから往年のヒット整理方法「超整理法」のことを思い出した。


調整理法というのは書類の分別をジャンル別重要別にするのではなく、時間別に整理するという方法である。


この方法に倣って分別して片付け、即断即決で捨てるのではなくとりあえず箱に分別せず放り込むという方法を思いついたのだ。


以下は私が実行している片づけ方法である。



まず一番最初に行うのは整理ではない、 調べものである。 何を調べるのか、それは在住の市町村のごみの処分についてである。


面倒くさいと思う、それが面倒だから部屋が物で溢れていたのだろうから。 しか し、この調べものをすればあとは殆ど頭を使うことはない、だから頑張ろう。


まず、 市町村のごみ収集の日程、 そして分別の仕方をホームページから調べる。 これに関しては各市町村で分別の仕方がかなり違うので自分で調べてもらうしかない。


調べたら在住の市町村の分別表を印刷して手元に置いておく。



さて、 ごみの出し方は把握出来ただろうか、それでは次の作業の移ろう。


次にやる事は、 今使っている物だけ残してそれ以外の物は作業スペースに持っていく。


「今使 っている」というのはここ1か月使っている物の事でその辺は感覚的で良い。 そして「今 使っている以外の物」 というのは、明らかに要らない物、要るか要らないか分からない物、いずれ使うだろう物である。


とりあえず、今使っていると確信がある物以外は全部作業スペースに持っていく。


すると部屋に残るのは使っている物が残ることになる。 この状態で整理を行う、すると多分自分でも意外なほど整理が出来ることだろう。 だって今あるのは使っている物、必要な物だけなのだから。


今まで整理しても整理できない根本は物が多いからで、今使っている物だけならどのよう に使うかどこに置くか判断できるのだ。


この辺の整理整頓、収納方法は多分これまで出版された本で多く言及されているのでここでは省かせてもらう。



そして片づけが終わった部屋を眺めてみよう。


久しぶりにすっきり晴れやかな気分になれたのでは ないだろうか。


晴れやかになったところでこの気分を続ける作業に入る。


その作業は使っている物が置かれている位置を覚えるというもの。 物の定位置を決めて、次からは使った 定位置に戻す。前なら面倒に思っただろうが、すっきり整理出来た部屋を維持したいと いう気持ちが芽生えているはずなので、 「使った物は定位置に戻す」 というルールは続けるようにしてほしい。



さて、部屋が片付いて嬉しくなった次に憂鬱になる本当のお片付けの時間である。


逃げてはいけない。そんなに頭使わないから、ただ時間のかかる作業と思って臨んで欲しい。 作業スペースには絶望する量のガラク・・・未整理な物がある。


これを今からボックスに 放り込むのである。 ボックスは運ぶのに便利かつ折り畳みが可能なボックスをお勧めする。


この時に明らかに要らない、捨て方が分かるものは、市町村のゴミの分別に従って捨ててほしい。


それ以外の「いずれ使うかもしれない・要るか要らないかわからない・捨て方が分からない」を全部収納箱に放り込むのである。


特に判別はしなくて良いが、書類と衣服、ガジェット、 何かの部品とお菓子はさすがに一緒に放り込むと保存上問題が起きるので 別々の箱に収めた方が良いだろう。 分別するのはそのくらいであとは特に考えることもなく収納箱に放り込んでおく。


ちなみに書類は収納箱ではなくファイル入れに保管している。


そうやって使っていない物を全部収納箱に放り込んだら、 収納箱に日付を書き込んでおく。 もしくは日付とどういったジャンルの物を放り込んだかをメモをしておくのも良い。


この収納箱を押し入れに保管しておく。


一時保留で捨てたわけではないから必要だったと思えば捨てた日付をもと思い出し収納箱を特定して回 収すればよいのだ。


だから捨てることに躊躇するということに起因する片付けが出来ないという問題はこれで解決できる。


もっとも、ボックスに入れた物が再び回収される確率は数パーセントというのが個人の印象である。



さて、収納箱に入れて3年経過した物は捨てることにする。3年経過して出さなかったという事は、もう必要な物が入っていたという可能性は1%未満である。


また3年間保管していたのは放り込んでいた物に対する執着が薄れてくる時期でもある。


そしてこの時に自分の住んでいる市町村のゴミの分別に従って捨てるのである。


結局最後は分別しなきゃ行かないのか、と言われそうであるがその通り。しかし、最初にゴミの分別を頭に放り込み、それから3年経過しているのでゴミの分別表を見ながらであればどうにか分別して処分が出来るかと思う。



それでも、分別できないというのならば、廃品回収業者に連絡して箱ごと引き取ってもらい処分をしたもらう事になる。


金は掛かるが引き取ってもらった後のことは自分の責任ではないから、その辺のこころはスッキリしたのではないだろうか。


それも駄目だと言うならば最終的に片付けが得意な友人に有償で分別を頼むかである。


私はなんとかゴミの分別表を片手に徐々に3年経過した収納袋の中身を処分している。



しかし、今後も物は買ってしまうので物が増えていき、散らかっていくだろう。


そしたらまた「今使っている物」以外を部屋から作業スペースに移動させ、また収納箱に放り込み、3年間押し入れに保管して、最後に何らかの手段で処分する。


これが今私がやっている片付け方法で、汚部屋となっていた部屋は人が呼べる程度には整理が出来ている状態になっている。


extra:どのような収納箱が良いか


私自身はダイソーの布製収納箱を使っていた。 布の内側は防水加工されており大きいものでも400円とお買い得であった。しかし、現在ダイソー等でこの布製収納箱は販売されていない、 実に惜しい。


現在私が別途購入しているのはビニール製収納箱である。 ビニールではあるがしっかりし ているのでそうそう破けることはないと思う。 重ねるのだから布製やビニール製では弱いのではと不安に思われた場合は段ボール製の収 納箱を購入してほしい。



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