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第二十二話 最後の平民いびり

いびりの力を一つに集め、ノマールを救えキュアリィ!と叫ばれそうな、キュアリィのノマールいびり。

とうとうヴィリアンヌに今までのいびりが、ヴィリアンヌの望むものと違う事が知られてしまいました。

果たしてどんな結末がキュアリィとノマールを待っているのか?


どうぞお楽しみください。

「何ですのあの劇は!」


 文化祭の後、怒りの収まらないヴィリアンヌは、手近にあったクッションに怒りをぶつけます。


「あの話……! きっと平民の体験談ですわ! ただでさえ気に入らない話なのに、演出も演技も衣装も文句の付けようがないのがまた腹立たしい!」


 さらに力を込めてクッションを殴りつけますが、クッションはぼすぼす音を立てるだけ。

 苛立ちの解決にはつながりません。


「ヴィリアンヌ様、キュアリィ様をお連れしました」

「! 入りなさい!」


 カルキュリシアの言葉に、ヴィリアンヌはすぐさま答えます。

 扉が開き、キュアリィが入ってきました。


「お呼びでしょうかヴィリアンヌ様」


 キュアリィの顔は得意満面

 演劇の成功の興奮が冷めやらぬ様子でした。

 それがまたヴィリアンヌの感情を逆撫でしました。


「何をしているのあなたは!」

「え!? あの、ヴィリアンヌ様……?」

「全然いびりが足りてないじゃないの! 平民はこの学園にいてはならないのに!」

「!」


 その言葉にキュアリィの顔が青ざめます。


「そ、そうだったのですね! 私ったら何て勘違いを……! わかりました! すぐに対処いたします! 申し訳ありません! 失礼いたします!」

「え、ちょ」


 礼をすると、ヴィリアンヌの返事も待たずに部屋を出て行きました。


「……ま、まぁあれだけ慌てて出て行ったなら、今度こそあの平民をいびり倒す事でしょう。うん、そうに違いないわ」

「ヴィリアンヌ様、汗すごいですよ」


 何かを間違えているような、それでいて何を間違えているのかわからない奇妙な焦りが、ヴィリアンヌを包んでおりました。




 キュアリィはヴィリアンヌの部屋を出たその足で、ノマールの部屋へと向かいました。


「ノマールさん! まだいらっしゃる!?」

「キュアリィ様!? ……きゅ、キュアリィ、さん、どうされたんですか?」

「あぁ、良かった……」


 扉を開けたノマールを見たキュアリィの顔が安堵に崩れ、すぐに引き締まります。


「こうしてはいられないのです! すぐ我が家に来てくださる!?」

「え、あ、はい、もちろんですが、どうされたのですか?」


 息を整えながら、キュアリィは鎮痛な面持ちで話します。


「……公爵家令嬢であるヴィリアンヌ様が、『平民は学園にいてはならない』と仰ってたんですの」

「! そんな……」

「でも私はノマールさんと一緒にお勉強したい! ずっとお友達でいたいんですの!」

「……! キュアリィさん! 私もです!」

「だから私、ノマールさんに我が家の養子になっていただけないかと思っているのです!」

「え!?」

「もちろんちゃんとご両親がいるノマールさんですから、学園にいる間だけで結構ですの! 養子になれば立場は貴族になりますから……!」

「キュアリィさん、そこまで私の事を……!」


 ここまで思いをかけられたノマールに、断るという選択肢はありませんでした。


「ありがとうございます! よろしくお願いいたします!」

「ありがとうノマールさん! では馬車に乗って、お父様とお母様にお話させていただきましょう!」

「はい!」


 手を取り合って走り出す二人。

 その暖かさを確かに感じながら、キュアリィはヴィリアンヌへの感謝を胸に沸き上がらせていました。


(ヴィリアンヌ様のお言葉がなければ、この学園のしきたりを知らないままノマールさんとお別れするところでしたわ……! ありがとうございますヴィリアンヌ様……!)

読了ありがとうございます。


この後キュアリィの両親は、ノマールと何度もあっており、人柄もよく知るという事もあり二つ返事で了承。

これでヴィリアンヌにノマールを追い出す口実はなくなってしまいました。


そして因果応報。

これまでのいびりの結果が、ヴィリアンヌに降りかかる……!


二話に渡ってヴィリアンヌを主役に描きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ヘイヘイヘーイ、ヴィリアンヌ様ビビっていらっしゃる〜!
[一言] 急転直下!!! ポンコツちゃん……もといヴィリアンヌがどうなるのか今からわくわくです。きっと可愛いんだろうなあ。
[良い点] どこまでもすれ違う、キュアリィとヴィリアンヌ。 どんだけいい子やねん、キュアリィ。 [一言] 主演・ヴィリアンヌの「ザ・ファイナルいびり」、楽しみです!
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