第十八話 挨拶いびり
「いびる」と心の中で思ったならッ! その時スデに行動は終わっているんだッ!と男前になれそうなキュアリィのノマールいびり。
今回はノマールの挨拶に目をつけました。
果たしてどんないびりが撃ち込まれるのか?
どうぞお楽しみください。
学園が終わる夕方。
キュアリィはヴィリアンヌの部屋を訪れました。
「失礼いたしますヴィリアンヌ様」
「キュアリィ。今日はどんな風にあの平民をいびったのか、報告なさい」
「はいっ」
「!」
キュアリィの元気な返事に、ヴィリアンヌの身体がびくりと震えます。
「……? ヴィリアンヌ様?」
「……報告を続けなさい」
何事もなかったかのように振る舞うヴィリアンヌに、キュアリィは気を取り直して報告を始めました。
「今日は挨拶の間違いをいびりましたわ」
「……ほう」
ヴィリアンヌは満足そうに頷きました。
(挨拶の間違いを今更?と思うは素人。あえて春学期はそのまま流し、秋学期に指摘! 積み重ねた失敗の分、恥も大きくのしかかって来るという訳ですわね!)
「よくやりました。これからもその調子でどんどんいびりなさい」
「かしこまりました」
キュアリィは一礼をして、部屋を出て行きました。
時は遡ってその日の朝。
「おはようノマールさん。今朝もお早いですわね」
「おは、……ご機嫌よう、キュアリィ様」
「あら、いけませんわノマールさん。別荘でのお約束、お忘れになったの?」
「で、でも昨日のお休みの間色々考えたら、やはり失礼ではないかと……」
身の置き所を探るようにもじもじするノマールに、キュアリィは溜息を吐きました。
「あのですねノマールさん、私はノマールさんが別荘の朝、『ご機嫌よう』ではなく『おはよう』と言ってくれたのが、とても嬉しかったのです」
「あ、あれは寝ぼけていて……」
「私の事をお友達と思ってくださっているのだと思えたのですわ。ですから、ね?」
「……わ、わかりました……」
意を決してノマールが口を開きます。
「お、おはよう、キュアリィ様……」
「おはよう、ノマールさん」
満足そうに頷くキュアリィに、ノマールは顔を赤くして俯きました。
(次は『様』ではなく『さん』付けで呼んでもらいたいですわね……。それにはまずウォミーさんとソフィティアさんからお願いしましょう。いびりは焦らずじっくり、ですわ!)
読了ありがとうございます。
『様』外しはなかなかハードルが高そうですが、ウォミーとソフィティアとの三人がかりなら、ノマールもいずれ……。ふふふ……。
次話もよろしくお願いいたします。