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17話 スラム街の交流

 



「てめえ!! 俺らに手を出してタダで済むと思うなよ、俺らの後ろにはカラスがついてんだ!! おい、おい、やめろ、よせ!!」




「カラス? 意味わかんね、それが今のお前を助けてくれんのか?」




 3人組の最後の1匹。イキるのか怯えるのかどっちかにしてほしい。



「ひ、ひぎ?! や、やめーー」



 思い切り首を掴み、腹に膝を入れる、くの字に折れ曲がり下がった後頭部を掴む。



「はい、いってみよう」



「はな! ぎゃべーー」




 そのまま壁に野郎の顔面をぶつけて潰す。




 遠山がつぶやく。



「よっわ、え、死んでねえよな?」




 ずるりと、男がうつ伏せに崩れる。



 あまりにも手応えが無さすぎる。まだ18くらいのガキっぽいとはいえ全員遠山より背は高い。




 なのに、心配になるほど呆気なく全員ぶちのめしてしまった。



 あまりにも力が弱い、なんだこれは。



「よし、息はしてるな…… うん、まあこれで死んだらてめえらが弱かったってことで」




 白目剥いて気絶している3人を引きずり、一箇所に固める。壁際に積んでおけば邪魔にもならないだろう。





「にしても、軽いなマジで。うーん、……栄養が足りてねえのか? にしては身長は高い…… だが背丈の割には肉は薄いのか? うーむ」



 片足を掴み、朝のゴミ出しくらいの気軽さで人間を3人山積みにした遠山が首を捻った。




「ゲホッ、ゲホ…… あ、アンタ…… どうやって」




「お、サイフみっけ。よかったよかった。あ? よう、クソガキ。いいザマだな。この様子じゃあトンビに油揚げを、ってやつか。たしかにてめえにスられたコイツは返してもらったぜ」




「……う、ぐ。……やれよ」




「あ?」




「……スリしてる時点で、覚悟は出来てる…… 殺すんだろ? 一思いにやってくれ、ちくしょう……」




「へえ、クソガキ。コソ泥はコソ泥なりのプライドがあるわけだ。なるほどなるほど」




「……羨ましいよ、アンタみたいに強い奴が…… 俺もアンタみたいに強けりゃ、くそ……」




「ふん、コソ泥に褒められても嬉しくねーな。それに俺は別に特別強いわけじゃねー。どう考えても相手が弱すぎだ。まあ、そんなよえー奴らにボコられてるてめえが1番ミジメだけどな」





「……くそ、くそ」




 さて、どうしたものか。



 正直、あの間抜けヅラ3人をボコボコにしたことで、火のついていた遠山のキチガイスイッチはだいぶ落ち着いていた。



 それに、スリの少年のその有様。かなり痛ぶられたようだ。顔中青あざ、擦り傷、出血。





「これじゃ弱いものいじめだな……」




 捕まえたら絶対にボコボコにしばき倒そうと思っていたが、あまりにも傷んでいるので少し考える。しかも、このスリ、かなりーー




「……おい、コソ泥、お前、歳は?」




「ゲホッ……11だ…… なんだよ、歳の数だけ骨でも折るのか? へ、冒険者らしいやり方、だね」





 ガキじゃん…… 小5じゃん。



 遠山は偉く覚悟が決まっているガキを見て本格的に悩む。



 めちゃくちゃ、やりにくい。




 さっきのめした奴らみたいに背丈があったり見るからにクズの雰囲気であれば気持ちよくぶちのめせるが、これはやりにくい。



 顔立ちも幼く、帽子の脱げたその姿から顔もよく見える。



 整った顔だ。目はまんまる、鼻は小さいが形が良い。唇もツヤツヤして、まるでーー




「お前、男か? それとも女?」



 走り方や運動性能、骨格から男だとは推測できるがあまりにもその顔立ちが中世的で判別に迷う。



 女といっても充分納得できる顔だ。男でも、成長したらモテモテだろう。羨ましい。



「俺は、男、だ…… くそ、アンタみたいに鋭い目だったりすれば俺も舐められねえのに……」




「おお、オブラートに包んだ表現どうも。はあ、なんかやりにくいなあ」



 遠山が地面にはいつくばったままの少年のもとにしゃがみ込む。なるべく視線を合わせて、




「お前、なんで俺から金をスッた? スリなんざいつかこうなるのがわからねえのか?」




 少年に問いかける。



 あることを確認するために。




「へ、へへ、表の、真っ当に生きてるアンタにわかるかよ、ネズミの死体を食べて飢えを凌ぐ辛さとか、自分より小さなちびすけが、昨日までにいちゃんにいちゃん言ってたちびが、飢えて死ぬ時の気持ちがわかるのかよ!! ゲホッゲホッ!!」




「リダやニコと違って俺には頭も愛嬌もない…… だから、スリでも、なんでもして、金を稼ぐんだ! アイツらに腹いっぱいーー ゲホッ!!」




 ヤケになっている。目を細め、自重気味に唇を歪めて少年が叫ぶ。



 痛々しくもあり、どこか気高くもある。



 だが、どちらにせよ薄汚い盗人であることには変わりない。しかし、それでいてガキでもある。何も知らない、ガキだ。




「あー、もういい。わかった」




 やはりか。



 遠山はどんどんやりにくくなってきた。


 思わず、顔を覆う。



 聞こえていたのだ。



 矢印の導きに従い、街の表通りから大きく外れたこの廃墟じみた街並みに入った時、少年を見つけて、忍び寄っているときに聞いてしまっていたのだ。




 この少年がなぜ、スリをしてるのか。今はもう白目剥いて動かない奴らとのやり取りを遠山は息を潜めて聞いていた。





「……はあ、どうしたもんかなー」




 ムカつく奴を、ぶちのめすのも遠山の欲望だ。ならばそこに嘘をつくつもりはない。




 だが、普段なら身を焦がす衝動であるそれ、遠山の欲望はいまいちやる気がなかった。






「ルカ?!! ルカ!!」




「ちょ、嘘でしょ? ルカ!!」




「あ?」




どうしたものかと頭を悩ませているそこに、新しい声。



少し低めの少年の声と、甲高い少女の声。



「リダ…… ニコ…… ごめん…… しくじった」




「ルカ……!? ちょっと、そこのアンタ!! ルカになんてこと!!」



ショートボブの赤毛の少女、目のつりあがった気の強そうな少女だ。年はおそらくこのスリガキと変わらない。



ボロ布のスカートとチュニックの粗末な格好。




 面倒くさいことになってきたぞ。




遠山が少し顔を顰める。たしかにこの状況、側からみれば遠山が少年をいたぶっているようにみえなくもない。




 そしてあの2人の少年と少女、様子からしてこのコソ泥の仲間だろうということは想像出来る。




 さて、どうしたものか。遠山が対応を少し考えていると




「待て、ニコ…… 怒鳴るな。周りを良く見ろ」




少女を、嗜めたのは少し大人びた様子の刈り上げヘアの少年だ。



浅黒い日焼けした肌と、切長の目が年齢を少し高めに見せている。




「はあ?! 周り……? あ! あの連中…… 年長の、この前カラスから仕事貰ったとか言いふらしてた下品な連中!」




少女が山積みになって白目向いてる奴らに気づく。



「アイツらが倒れてて、ルカが倒れてる、そしてそこの兄さん、服装からしてスラム街の人間じゃあない筈だ…… そういうことか。ルカ!!お前、またスリをしたのかよ!!」




大声で刈り上げの少年がスリガキに怒鳴った。




え、ええ…… どういう思考回路でその結論に行き着くんだ?



遠山が黙って様子を見守る。




「え、ちょ、どう言うこと?! リダ、説明しなさいよ!?」




「簡単な推理だ。倒れてるのがルカだけじゃなく、あのボンクラ全員が倒れてること。無傷で服装のいい表の住人がいること。どう考えてもルカじゃあのボンクラどもには勝てねえ。状況から考えて、大方ルカはボンクラどもからスリの獲物を横取りされかけたんだ、そこにルカにサイフをスられた兄さんが現れ、ボンクラどもをのめしてくれたんだろうよ」





「お前、賢いな」




少し遠山は笑っていた。早口で語られたその少年の予想は全て当たっていた。



「え、じゃ、じゃあ、あの人、ルカを助けてくれてたってこと? ご、ごごごめんなさい!! あたし、勘違いしちゃって!! 恩人に乱暴な言葉を!」




少女は思ったより素直な子らしい。涙目になりながら頭を何度も下げてくる。




「ぐ、つ、都合のいいこと言ってんのはわかってる!! その服装、一端の冒険者か旅人さんとお見受けした!! 頼む、そこのバカは俺の弟分なんだ!! 弟の粗相は俺の責任だ!! スリの落とし前は俺に!! 全て俺にむけてくれ! 殴っても蹴ってもいい」




刈り上げの少年は意を決したように地面にずさりと、跪き、あたまを思い切り石畳に擦り付ける。



土下座に近い格好だ。




「や、やめろ、2人とも、なあ、アンタ、俺だ、悪いのは全部俺なんだ、だから、殺すなら俺だけにしてくれ。頼む、ムシがいいのはわかってるから、2人はいい奴なんだ、だから……」




ボロボロのスリガキが、地べたを這い、身体を持ち上げて遠山にか細い声を向ける。



「ルカ!! てめえは黙ってろ! 兄さん! コイツらん中で年長は俺だ! 頼む、俺1人でどうにか、どうにか!」




「ちょ、待って、まってよ、アタシやだよ! ルカもリダもヤダ! しんじゃやだよー!! うわーん!!」





 地べたに頭を擦り付ける短髪の少年、ぼろぼろになり、涙を流しながらも自分の行いの責任を取ろうとするスリのガキ、そして2人をおろおろと見て、大泣きするショートボブの茶髪の少女。




 3人の、遠山からみれば児童ともいえる子供たちに囲まれ、泣きかけの声で懇願される。




 遠山は思わず顔に手をやり





「や、やりにくぅぅ……」




 こんなん、無理だろ。



 完全に毒気を抜かれた遠山はため息をつきながら皮袋の中身を確認していた。




 ここで買えるメシっていくらするんだろうか、と考えながら。









 …………

 ……

 …




「お、俺は、夢を見てるのか、ニコ、これ夢か?」



「わ、わわかんないわよ! アタシだって何がなんだか!?」




「…………うまそう」




少年、少女は大きく目を見開いて呻いた。



スラム街の中心区、違法な店、主に冒険都市で真っ当な商売が出来なくなった人間や、そもそもハナからまともな商売をする気がないものが集まる出店地区。




「へい、まいどありー。クズ肉の串焼き、3人分で銅貨5枚、確かに。ヒひ、あんちゃんも物好きだねー」



「うるせえ、タコ。2度とこねえよ」




廃材で作ったボロい屋台。なんの肉かわからない焼きすぎのカチカチの串焼きを遠山は受け取る。




広場にはこれまたボロい箱やらなんやらで無理やり作られたような椅子やテーブルが乱雑に並んでいる。




見るからに浮浪者じみたおっさんや、目の死んだ女やら、一目で落伍者だとわかる連中が思い思いに飯を食ったり、ボロい瓶の中を一気に煽ったりして騒いでいる。





ショッピングモールのフードコートの治安を最低より悪くしたらこんなふうになるのだろうか。



「ほら、ガキども。んな目で見るな。3人分ある、座れ」



遠山は空いてる席に座る。椅子の表面をローブの裾で払い、テーブルに置かれたままのゴミを隅によけて、少年たちを席に促した。





「い、いいのか? 兄さん、俺の弟分はアンタから盗みを働いたんだぞ」




刈り上げの少年が信じられないとばかりに声を上げる、しかし目線はテーブルに置かれた串焼きへと釘付けになっていて。



「………」



遠山は黙って下を俯くスリガキを一瞥して、ため息をついた。




「その報いはもう受けたろ。ほんとは指の骨3本くらい折ってやるつもりだったけど、もういい」




「……こわ」



まだ足を庇いながら歩いていたスリガキがぼそりと。



遠山が少しその態度にカチンときた瞬間、それよりもカチンと来た奴がいたようだ。



「ルカ! アンタ何よ! その態度は!! にいさんに謝りなさい! 見逃してもらえるどころかご飯奢ってくれたのよ、ご飯!!」





ぼかり。


小さな拳、しかし腰の入ったいいパンチがスリガキの顔面を捉えた。




赤毛の少女の渾身の右ストレート。




筋がいい。




「いて!! ニコ、やめろよ! まだ痛むんだから」



たたらを踏みながら、スリガキが声を荒げる。




「ルカ!! ニコの言う通りだ!! お前、そこのにいさんに言うことがあるだろ!」



刈り上げの少年がドスの効いた声でスリガキに怒鳴る。



なるほど、コイツらの関係が少しわかってきた。



遠山がその様子を観察していると、スリガキが近寄ってきた。





「……悪かったよ、ごめん」




「は?」




謝り方が気に入らず、つい本気で殺意を向けた。




「ヒッ、ご、ごめんなさい!!」




それがわかったのだろう。背筋をびしりとただし、スリガキがあたまを下げる。



その小さな身体が小刻みに震えていた。



やべ、本気で脅かしすぎた。



遠山がためいきを深く、スリガキに声を向ける。



「バカガキが。人にメシおごって貰ったら謝る前にまず言うことがあるだろ」




「え?」



「え、じゃねえ、タコガキ。俺の目、見ろ、わかるよな、お前が言わないといけない言葉がよ」



空き箱の椅子から身を乗り出し、スリガキと視線を合わせる。



遠山の栗色の瞳と、スリガキの栗色の瞳が交じった。




「う、あ、ありがとう、ございます……」



こんどこそ、本気で謝ったのだろう。俯き、しかし最後には視線を上げて遠山の目を見ながらスリガキが頭を下げた。




「ん、それでいい。そこのガキンチョども。お前らもさっさと座って食っちまえ。飯は熱いうちに食うのが礼儀だ」




遠山が、がきんちょたちを対面のベンチに促す。



3人がおずおずとベンチに座り、置かれた串焼きを見つめていた。




「……買った食べ物を、店の近くで食えるのは久しぶりですよ、にいさん」




「横取りされんのか?」




遠山はジロジロと感じる視線から予想する。




「う、うん、アタシたちみたいな子どもはどうやったって大人にはかてない、から」




赤毛の少女が俯いて、小さくつぶやく。



子供たちは恐らくこの場ではヒエラルキーの底辺なのだろう。



広場の浮浪者どもは皆、子どもたちへ視線を送っている。



「チッ、おい、そこのおっさんども、なんか用か? ジロジロみてんじゃねえぞ」




「ひっ」



「な、なんでもねえですよ、冒険者様……」




遠山が浮浪者たちを睨んで声を向ける。それだけで蜘蛛の子を散らすやうに奴らは愛想笑いを浮かべてどこかへ消えていく。




なるほど、弱者だ。




ここにいる連中はみな弱い、そして弱いから自分よりももっと弱い連中から奪うことでしか生きることが出来ないのだ。




「最悪の生き方だな…… お前ら、ここにきて長いのか?」




遠山の1番嫌いなタイプだ、自分の弱さを、更に弱い奴にぶつけることでしか向き合うことが出来ないタコ以下のクソども。



ほんの少し湧き上がる怒りを抑えて、少年たちに問いかける。



「生まれた時からここにいるよ、ずっと」



「ああ、ルカの言う通り、俺らはガキだが物心ついた時からここにいる。だが、にいさん、なんてアンタみたいな人がスラムに……? いや、待て…… 人探し、か?」




スリガキの言葉を捕捉していた刈り上げヘアが、言葉を止めて、それから少し黙って、答えに一気にたどり着いた。





今度こそ、遠山は割と本気で驚いていた。





「……おまえ、さっきから察しがすげえな。シャーロックホームズみてえだ。なんでそう思う?」



 頭の回転が速い奴は好きだ。会話にストレスを感じなくて済む。遠山はその日焼けした短髪の少年に興味を持つ。




「簡単な推理です、まずアンタのそのローブ、高級品だ、学がねえ俺でもわかる素材の良さ。外套に金をかけれるような人がスラムに真っ当な用事があるとは思えねえ」



「ふむ、それで? それだけじゃねえだろ?」




小気味良い会話が続く。


刈り上げヘアは片目をつむって、鼻をかく。



それからまっすぐ遠山を見つめた。




「ここは冒険都市のスラム街だ。冒険者のアウトロー連中だって普段は寄り付かねえ街の暗闇。カラスと揉めるのを冒険者は嫌がります。だが、アンタはサイフをスられたとは言え、この街に入り込んだ。もちろん、ルカを追うのが目的だったとは思うが、それならもうサイフを取りもどした時点で用は済んでるはずだ。俺たちみたいなのに、飯を奢るメリットがない」




「ふうん」



いいね、いい感じだ。



遠山は言葉を挟まず次を促す。




「あんたは多分、混ざってる人だ。損得勘定と、それを無視する感情が混ざってる。無駄なことはしねえが、無意味なことはしてしまうタイプと見た。俺たちに飯を奢る、これは無駄かもしれねえが、無意味じゃない、そして、あんたは俺たちにスラムは長いのか、って聞いたな。そこだ、あんたは確認したかったんだ、俺たちがこの場所に詳しいのかどうかを」



驚いたことに、遠山のプロファイリングまで済ませているらしい。



遠山は自分の欲望に、少し火がつき始めるのを感じる。


コイツならもしかしてーー




「ここまで来たら答えは1つ。スラムのことは知らないが、あんたの求めるモンがスラムにはある。だがここには価値があるモノなんてない。あるとしたら、人だ。訳ありの人間が身を隠すには絶好の場所だからな」




「驚いた、マジですげえな。ガキンチョ、名前は?」




合格だ。申し分ない。



遠山は改めてその少年の名前を問う。



「合ってたか。俺はリダ。この辺で同い年の孤児のまとめ役、といっても俺と、ここにいるニコとルカ、そんで残りの2人を合わせて5人程度のグループだけどな」



リダ。なるほど、この少年がリーダー格か。



遠山は品定めを始める。



「へえ、なるほど。そこのスリガキがまだ生きてるのはお前のおかげか」




隣で俯いているスリガキに向けて遠山がニヤリと笑う。



「……あんた、俺になんか当たり強くない?」




「ガキ、指の骨を折らねえとやっぱりわかんねえか? 口の利き方から教えてやろうか?」



静かな口調、その中に少しの怒気を混ぜる、混ぜてみる。


「ヒッ…… 、ご、ごめんなさい」




予想通り、スリガキはそれに気付いたらしい。




なるほど、頭の回転の良いリダと、勘のいいスリガキ。



この2人が、がきんちょだけで生活が成り立っている要か。





「チッ、そこでびびんなよ、俺が悪いみたいだろうが。リダ、だったよな? おまえの頭の回転には正直驚いた。お前の言う通り、俺はここで人を探してる」




遠山は懐から革袋を取り出す。



銅貨が残り25枚、それとドラ子が()()にくれた金の首飾り、冒険者章とかいうもんがはいった遠山の全財産。





「……にいさん、これは?」



リダが片目を瞑り、遠山へ静かに問いかける。


考えているのだろう、遠山の行動の意味を。



にやり、遠山は笑う。




「前金だ。お前たちと商売の話をしたい。いくらかかる? 俺の人探しを手伝ってほしいんだ」




「わ、わ、すごい、リダ、きちんとお金もらって雇われてる」




ぴょこんぴょこんと椅子に座ったまま、ニコと呼ばれていた赤毛の少女がはしゃぎ始めた。




なるほど、ここでは子供に金を払って仕事を依頼する奴はいないらしい。遠山が、子供達の反応から情報を探る。




「…………」




スリガキ、ルカも目を丸くして固まっている。自分が盗んだ革袋と、それから遠山を交互に見つめていた。




「い、いいのか? 俺の仲間はあんたから盗みを働いたんだぞ」




「リダ、お前が手綱を握ってるんだろ? なら信用する。お前の性格や人間性じゃない、俺の狙いに気付いたその頭の回転を信用する、力が借りたい、そして、ルカ、だったか?」




「……うん」




「次はねえ。もし、俺からホコリ1つパクってみろ。お前だけじゃない、この場にいる全員、お前の友達全員に代償を支払わせてやる、わかったな?」




「わ、わかった、わかり、ました」




スリガキ、ルカが何度も、なんども深く頷く。



もしこれでまた、自分のものに手をかけた瞬間、気兼ねなく始末出来る。



遠山は己の中にある歪なルールを遵守していた。




「……にいさん、あんたただのお人好しじゃないんだな。てっきり、たまにいる金持ちの道楽かと思ってたよ。俺たちを可哀想な存在って見下してるやつだ」




「理解が早くて助かるよ、リダ。仕事に大事なのは正しい相手への認識だ。対等にフェアに行こう。お前たちは俺が憐れむような可哀想なガキじゃない、そして俺もお前らがカモだと舐めていいようなお人好しじゃあない」




対等に。それが遠山の他人に対する基本的なスタンスだ。



能力と話の通じるオツムがあれば例え相手が赤ちゃんであれ敬意を持って接する必要がある。



少なくとも、リダは遠山にとって充分敬意を払うに値する人間だった。




「俺は人を探してる、お前らは俺が探してる人の情報、もしくはそいつ自身の居場所を俺に教える、対価は金だ。何か異議はあるか?」




「ない、あるわけがない…… 値段は、アンタの言い値で構わない」



「リダ、お前は頭はすこぶる良いが少し甘いな。ダメだ、値段は売る側が決めろ、それがルールだ。健全な経済活動のな」




遠山の言葉に、リダが押し黙る。それから手のひらを開き、5本の指を立てた。




「銅貨…… 5枚だ。それだけありゃ他のチビにメシが買える」




「OK、なら俺は銅貨10枚払おう、契約成立だな」




「な?! なんで、わざわざアンタが多めに払うんだ?!」




さらりと遠山が革袋から銅貨を10枚取り出し、テーブルの上に置く。




リダ、ニコ、ルカ。3人の取引相手が目を丸くしてさけんだ。




「簡単だ、お前らに後先なくすためだ。俺は絶対にそいつを見つけたい。このスラム街にいるある男をな。そのためにお前らを最大限利用したいんだ。もし、逃げたり、見つけれなかった場合は、銅貨10枚分の代償を払ってもらう。それが仕事だ、違うか?」



「……あんたみたいな人は初めてだ、兄さん。乗った! 仲間たちに誓い、必ずアンタの探し人を見つけてみせる」




「契約成立だな」



遠山がリダに向けて手を差し出す。


右手。




「これは?」



「握手だ。俺んとこの故郷ではあんましねえんだが、なぜか仕事の約束を果たすときはこうするんだ」


 

「わかった、にいさん。銅貨10枚分の仕事は必ずやってみせるよ。ニコ! ルカ! チビどもを呼べ、俺たち全員でこのにいさんの期待に応えるぞ!」



がっちりと掴まれる握手。



驚くほどに、リダの力は弱く、手のひらは小さい。



やはり、栄養……? どうもこの世界の人間の強さに差がありすぎる気がする。



「わ、わー! すごい。銅貨10枚!? すごいわ! これでみんなにひもじい思いをさせなくていいのね!」



「ニコ、喜ぶのはまだはやい! なんとしても、にいさんの期待に応えるぞ!」



遠山の思考をよそにこどもたちが大はしゃぎしている。



「……あの、にいさん」



「あ、なんだ、スリガキ」




「……スリガキじゃない、ルカだ、……ルカです。そのほんとに、ごめんなさい。あなたみたいな人からサイフ、盗んで……」




少し驚く。


自分から再び、謝ってきたのは予想外だ。




「……ルカ、顔上げろ」



「う、うん」




遠山がじっと、ルカを見据える。



「俺は正直てめえが嫌いだ。サイフをパクられた時の怒りは今でも鮮明に思い出せる。てめえがスリしようが何しようがどうでもいいが、俺のモンに手を出したってのが気に食わねえ」




「ご、ごめんなさい」



ルカがどもりながら答える。



いつのまにかルカも、リダも黙ってその様子を見つめていた。





「だが、アレだ。お前はやり方を知らないだけ、なのかもしれない。いいか? 金って奴はな、正しい稼ぎ方がある、それがなんだかわかるか?」





「わ、わからない……」



首を振るルカ。遠山な対等に、その盗みをした人間を見つめる。



「それはな、稼いだ金を眺めたりした時に、たのしいと感じるかどうか、だ。預金通帳の金額を眺めて、それを稼いだ時の仕事を思い出す、その時にな、まあきつかったけど金が入るんなら良かったな、と思えるかどうか、それが大事なんだよ、それが正しい稼ぎだ。ルカ」




「たの、しい?」



遠山の言葉にルカが、小さくつぶやいた。



「そうだ、てめえスリで手に入れた金を眺めてどう思ってた? 他人の大切な金だ。それを稼ぐのに誰しもがそいつにしか分からない苦労をして、お前と同じように誰かの為に稼いだ金だ。それをパクって、数える時、お前は何を考えてた?」




「おれ、……仕方ないって、思ってた。恵まれた奴から盗むのは仕方ないことだって。……たのしくなんてなかった」



声はか細く。遠山は大げさにためいきをつく。



「それは最悪のパターンだな。根本的に才能がねえ。正直な、カネを稼ぐ方法に善悪はない、俺はそう思ってる。何かを傷つけて稼ぐ金も、誰かを助けてもらう金も、変わりはねえ。だがな、てめえの仕事に、てめえのやった事に対して言い訳をする、これは最悪だ。マジで才能ねえからやめた方がいい」




「でも、なら俺は……」



「知るか、てめえで考えろ。俺は胸を張って言えるぞ」



思う。はじめての探索。




「怪物ぶち殺して金を稼ぐのは楽しかった」




大トカゲの化け物のあたまをめった打ちにして駆除し、尻尾をひきずって死骸丸ごと持って帰った初探索のことを。



1匹30,000円。死骸の損壊が酷かったから半額になってしまったこともいい思い出だ。



「気に入らねえ奴、絡んでくるバカをぶちのめすのもたのしかった」



たまに探索を邪魔するバカもいた。皆例外なく、もうこの世にはいない。仲良く怪物の腹の中、だ。





「全ては俺の欲望のままに。そこに嘘は許されない、誤魔化しも、正当化も許されない」



「あ、う……」



遠山の言葉に、何かに打たれたかのようにルカが固まる。




「おまえも考えてみろ、ほんとに自分のやりたいことを、後悔しない、自分だけの欲望を見つめてみろ」




「俺の、ほんとに……」



「まあ個人的には悪い奴やムカつく奴には何してもいいと考えてるからな。そういう奴らからは盗んだら奪ったりしてもいーんじゃねえの。まあ、ルカ、あれだ」




「わ」



ぽすっと、ハンチング帽越しにルカの頭を遠山が撫でた。



嫌がるかと思ったらそうでもないようだ。ルカは抵抗しない。



「お前の欲望、それはお前だけのもの、誰にも触ることの出来ない唯一無二のものだ。好きにしろ、その権利がお前にはある」




「おれ、だけの……」



「うまく使えよ、欲望は使い道は難しいが、それは最高最強の味方だ。それはお前自身でもある。自分に言い訳をするってことはな、欲望を裏切ることでもあるんだ。繰り返してると、お前、ほんとに腐るぞ」





「う、うん、わかった…… 考えてみる、アンタの教えてくれたこと」



「ああ、そうしろ。それがお前の欲望なら、俺は否定しない。好きにしろ、それが大事なことだ」




にかりと遠山が笑う。



仲間からは毒を持った獣が嗤うとおまえの笑いになるとよくからかわれたものだ。少し、昔を懐かしむ。



「てか、ルカ、おまえ見た目より頑丈だな? かなりいためつけられてたろ?」



「……昔から、傷の治りだけ早いんだ…… にいさん」




「あ、あのルカが大人の話を聞いてる……? ち、ちょっとリダ、なにあれ」




「わ、わっかんねえ。ナニモンだ、あのにいさん……」




信じられないものをみたかのように、リダとニコは固まっていた。



「さて、なんか真面目な話しちまったところで仕事にもどるか。お前らに探してもらいたい人のことなんだがよ、トカゲだ。トカゲ男。名前はラザール」




「トカゲ? リザドニアンのことか?」



「おお、なんかそんな呼ばれ方もしてたな。まあ、そいつだ。目立つ容姿だし、みたことはないか?」




「……実はちょうど今から1ヶ月前、リザドニアンの流れ者がスラムにやってきたことがある」



遠山の言葉にリダが答える。



「ほう」




「直接会ったわけじゃねえが、少し有名だ。なにせ"カラス"の連中も奴を探していたらしいからな」




「カラス? 鳥の?」




「冒険都市、いや、帝国の闇に巣食う連中だ。盗み、暗殺、脅迫。暗い仕事を一手に請け負ってる、いわば犯罪者ギルドっていったところか」



「ふうん、スリガキ、いや、ルカ。お前と揉めてたあのザコども、確かなんかカラスがどーたらこーたら言ってたよな」




ーーカラスがついてんだ!



さっきの場所に置きっぱなしにしてきた雑魚ども。最後の1匹が気絶するまえにそんなことを喚いていたような。




「うん…… アイツら前に自慢してたから。カラスから仕事をもらえたとかなんとか、大騒ぎしてたの覚えてるわ」



ニコがつぶやく。



「なるほど、ラザールめ。さすがだな、厄介そうな連中に目をつけられてやがる」





 早めに来てやはり正解だった。さっさとラザールを見つけてスラムから出た方が良さそうだ。





「あとは、帝国の官憲や、教会の騎士なんてのも一時期よくそのリザドニアンを探してた。……なんでも、竜を殺した男の手がかりだって」




「アタシ、今でも信じられないわ。蒐集竜サマよ? 人間が殺せるなんてあり得るのかしら。アタシたちみたいな孤児でも竜の恐ろしさは知ってるのに」




「ニコ、だがあれは真実だ。噂だけならまだ眉唾だったが、実際に騎士やらなんやらがスラムに来てるってのが何よりの証拠さ、おっと、にいさん、悪いな、話が逸れた」





「いや、微妙に逸れてねえんだよ。……おっと、これは半分くらい俺のせいか? やべえ、ラザールに謝んねえと」



あのドラゴン、やはりすごい奴なのだろうか。



表社会から溢れた存在であろう路上生活の孤児たちですら竜に対する認識は、偉そうなあの連中と同じらしい。



「? まあ、とにかくそんなこんなでそのリザドニアンはスラムでも噂になってんだが、妙なことがある」




「へえ、事情通だな。カネを払った甲斐がありそうだ。リダ、なんだそれは」




「……誰も、そのリザドニアンの居場所がわかんねえんだ」




雲行きが怪しくなってきた。




「話が見えん。いるのか、いないのか?」




「いる、それは間違いない。俺も何度か見かけたことはある。でも、そいつがどこで寝泊まりしてるとか、どこを拠点にしてるとか、一切わかんねえ」




「普通さ、スラムってのは広いようで狭いから、大体誰がどこで生活してるのかわかるものなの。特に新参者で、リザドニアンでしょ? いやでも目立つ筈なんだけど」




「ふむ、なるほど、既にスラムを出たっていう線はないか?」




 自分で言いながら、なんとなくそれはないだろうな、と遠山は感じていた。なぜなら矢印は依然としてこのスラムの至るところを指し続けている。




【オプション目標 スラム街を調べろ】




 このメッセージが至る所にぴょこんぴょこん飛び跳ねてる。




さて、どうしたものか。



そういえばコイツら、まだ肉に手をつけてないな。話を先にしたから遠慮したのだろうか。



遠山が一旦、串焼きを食べることを促そうとした、その時だった。



「あー、こんなとこにいたー! リダ、ニコ、ルカ!」



「あーうー」




呑気、かつ元気そうな幼い声と、言葉になっていない声が近づく。




「ペロ!? シロ?! アンタたち、ダメじゃない! 勝手にこんなとこ歩いてちゃ!」



ニコがいのいちにベンチから立ち、その新しく現れたちびっこたちに駆け寄る。




なるほど、しっかりお姉さんだ。




「あー、ニコ、なんか食べ物の匂いするー いいなー」



金髪の天パ。



年の頃はおそらく3人よりも更に幼い、そしてその背中には更に小さな子ども、下手したら2歳か3歳くらいのスーパーちびっ子がおんぶひもで括られている。




「もう、ほら、あげるから食べなさい。あ、待って、そこのローブのお兄さんにきちんとお礼言うのよ、ご馳走になったんだから」




「ペロ、俺のも食え、シロと分けろ。悪いな、あれが残りの俺がめんどう見てるガキだ」




ちびっこ2人にがきんちょたちがそれぞれ食べ物を与えている。





「……お前ら、肉食わなかったのはアイツらにわける為か?」




気付き。



肉を見つめる様子からして相当腹を空かせていたコイツらが一向にたべものに口をつけない理由がわかった。



「まあ、な。年上が年下の面倒見るのは当たり前だろ?」



「リダ、ニコ、俺のを分けようよ、お前らもたべないと、2日ほど食べてないじゃん」



ルカが自分の串焼きをリダとニコに分ける。




「ああ、悪い、正直かなり食べたかった、ん、うめえ」



「ほら、ニコも」



「ありがと、ルカ。いただきます、お兄さん」



ルカの差し出した串焼きにそれぞれ2人が順番に噛み付く。



一口、ほんとに一口ずつしか食べていない。



いや、無理だろこれは。





「……ちょっと待ってろ」



遠山は財布を握りしめ、席を立つ。



「あ、ああ?」





 いや、もうあれですやん。そんなん見せられたらあれですやん。



 遠山は色々言い訳を考える。



別にこれは同情とかそう言うのじゃない。そう、リダの話が思ってたより分かりやすく必要な情報がすんなり手に入ったことによる正式なボーナス、うんぬんかんぬん。





 席を外した遠山は迷いない足取りで、顔を顰めながらまた、その屋台の前に立っていた。





「おや、お早いお戻りで。……物好きだね、毎度あり」




 わかっていた、と言わんばかりに笑う店主に銅貨5枚を支払い、遠山はまたなんの肉かわからない串焼きを持ってみなしごたちのもとに戻る。




「……お前らもきちんと食え、ガキが飯食わねえでどうする」




 遠山が頭をかきながら、雑になんかの葉っぱで包まれた串焼きを渡す。




 今度はきちんと熱々のままだ。




「う、そ、ほ、ほんとにいいの? あ、ありがと! お兄さん!」



 少女、ニコが目をぱちくり、受け取った串肉を見て目を輝かせる。




「……すまん、恩に切る、ありがとう、にいさん



 刈り上げ短髪の利発なガキ、リダが深々と頭を下げる。




「…………かっこいい」




 その様子をどこか、キラキラした栗色の瞳、ルカが見つめていた。




 小さな歓声に迎えられ、スラム街での捜索が始まった。




 もぐもぐと串焼きを食べてご満悦の2人のちびっこにも、トカゲ男を知らないかと問う。




 まあ、流石に幼すぎるかと遠山が思っていると1人のコロコロよく笑うちびっこ、ペロが頭を捻って答えた。





「あ! もしかしてー、ラザールのこと? ぼく知ってるよ! 今日もいたもん!」








 ぽすん。


 遠山にだけ聞こえるメッセージの音。



 ペロの頭の上に文字が踊った。




【オプション目標達成 スラム街のみなしごと友好的に接する】



【サイドクエスト目標更新、トカゲの足取りを追う】






「おっと、そういうパターンか」



 遠山は最速で、帝国からも逃げおおせたトカゲ男の足取りに近づいていた。




TIPS€ 冒険都市 スラム街


TIPS€ 冒険都市、南区の色町より更に奥、普通の人間は立ち入りもしない冒険都市の闇の入り口。廃屋同然の家が並び、廃材を利用した小屋や、商業区から廃棄された布やらを利用して作られたホロで路上生活者は雨露をしのいでいる。


スラム街の更に奥には帝国随一の犯罪者ギルド、"カラス"の本拠地があるとかないとか。


色街などの大きな金が動く夜の世界にもカラスの濡れ羽は届いている。


天使教会や冒険者ギルドは共同で"カラス"の撲滅を通年目標に掲げているが、ここ100年なんの進展もない。後ろ暗い金が満たすのは夜の住人の懐だけではないのだ。

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― 新着の感想 ―
ちゃんと怒る時は怒る、容赦のないところが鳴人の良いところですね。あっさりと終わらせずモヤモヤを残さないやり取りがとても読んでいて楽しいです。
[気になる点] 無駄なことはしねえが、無意味なことはしてしまうタイプと見た。俺たちに飯を奢る、これは無駄かもしれねえが、無意味じゃない、そして、あんたは俺たちにスラムは長いのか、って聞いたな。 『無…
[一言] 遠山が地面にはいつくばったままの少年のもとにしゃがみ込む。なるべく視線を合わせて、 なんかもうここだけで泣きそうになるんだ
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