おまけ話・今はもう、叶わぬ喧騒よ
【条件未達成】
【このルートは消滅しました】
【そして、叶わぬ喧騒に思いを馳せろ】
〜あり得ない未来・竜祭り後のある日〜
「アッ！？ うっそでしょう！？ ナルヒト！ 待った！ 待ったです！」
「待ちませーん。フォルトナさんが攻撃を選びましたー。はい、フォルトナの攻撃宣言で、魔術カードオープン。"魔術式早期詠唱"を使用、手札から、"竜大使館"をそのままノーコストで発動しまーす！」
「いやあああああああああ！？ ズルイ！ ズルイですわ！ アリスお姉様！ このチベスナがわたくしをいじめるんです！」
「ふかか。フォル、らしくないな。オレの従者なら見事、ナルヒトの計略に正面から立ち向かって見せよ」
「ッ！！ やる気が湧いてきましたァ！！ ムンムンと！ オラッ！ シャコラ！ 来いや！ チベスナ！！」
「うるせえ！ 誰がチベスナだ！ この星形ドラゴンオタクが！ もうお前は俺には勝てねえんだよ！ はい、フィールドカード、"竜大使館"の効果により、コスト無しで、山札から"竜大使館"勢力のカードを場に召喚しまーす」
「げえ！！ やだー！ アリスお姉様！？ ナルヒトが陰湿なコンボ決めてきます！ ずっる！ それ、ずっる！ アリスお姉様のカード！ それあなたしか使っちゃダメなカードとか！！ よくないですよ！ ゲームの開発者のみのカードなんて！」
「うっせえ。トゥーンだから効きまセーン、よりましだろつが。はい、英雄カード・"蒐集竜アリス・ドラル・フレアテイル"の第一の効果発動。場に現れた瞬間、フィールドの"パワー"5以下のカードを全て破壊しまーす」
「お姉様！ わたくしにも貴女のカード使わせてください！」
「ナルヒト以外ダメなのだ」
「チクショオメエエエエエエエ！ いやああああああああ！！ わたくしの王国兵達があああああ……なんちゃって。反転カード発動！ "継承の声"！！ ヒューム勢力のカードが"竜"勢力のカード、もしくは英雄カードの効果、攻撃で破壊された時、秘蹟カードを手札に加え、対応するカードがあった場合、即時フィールドに特殊召喚しまーす！ おやおやおやおやあ！？ 幸運にもお！？ はい！ 来ましたァ！ 秘蹟カード"幸運"！ 手札から速攻で効果発動！ 第二効果！ 山札から無条件で任意のカードを場にコスト無しで特殊召喚！ もちろんわたくしが選ぶのはァ！ 英雄カード"力の英雄・ウィス・ポステタス・ヘロス"！ さらに秘蹟カードオープン！"王の巨人兵"！！ 手札にある英雄カード"フォルトナ・ロイド・アームストロング"の隠し効果発動！ 山札にある"王家"勢力のカードを墓地に送り、王家勢力の秘蹟カードを苗床無しで使用可能ですわ！」
「うっそだろ！？ てめ、秘蹟使うなよ！ そんなんズルだろ！ なんでそんな確率で手札にコンボカードが揃うんだよ！！ てか、自分を使うなや！ 恥を知れ、恥を！」
「運もおおおおおお、実力のうちでええええす！ ベロベロばあああああ！！ ふふーんだ！ 今、アガトラではフォルトナ起点の英雄と秘蹟組み合わせロールが環境なんでえええええす！」
「泣かす」
「やってみなさいな」
ひだまりの中、呑気な声が響き渡る。
オタクと竜と王女。幼き頃に子供として振る舞えなかった者たちが、口汚く罵り合いながら遊ぶ。
ああ、でも、皆、その顔は、笑顔ーー。
「飽きもせず、まあ、続けますね〜うちの姉も」
「まあ、なんだ。仲がいい事はいいことじゃないか？」
「そうですね〜、まあ、あのバカ姉もようやく対等な遊び相手が出来たって感じですか」
「君は混ざらなくていいのかいーー」
屋敷の丸テーブルで騒ぐ彼らをキッチンから眺める2人の大人。
白い鱗のリザドニアン、 ラザールと、緑に白が混じるボブカットの美人が微笑ましくみつめる。
「トレナ・ロイド・アームストロング？」
「ええ、私は大丈夫ですよ。ラザールさん、眺めてるだけで幸せですから」
ふふッと、フォルトナとそっくりの美人が微笑んで。
「ほんと、夢の光景みたいに」
休日の午後が、ゆっくりと過ぎていく。
本編もまた描きます。毎日のほんの息抜きになれば幸いです。
