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厄災の始まりは 神戸 から  作者: Ryu-zu
第三章 中央区 三ノ宮周辺 クラン創生
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腹減った~

健斗は一度王国に戻って眷属契約取得の確認をしたかった。


だが咲空は、もうそこまでしなくても良いんじゃないかと言う。


「んでも、やっぱり・・・  王国行って来る」

 『それじゃ~うちはもうひと暴れしてくるか~』


健斗は王国に高速で戻って1匹の獣を連れてきた。

 


ビントロング


ジャコウネコ科の中では最大種。



国内でもペットとして飼われたりもするほど人間に近しい。

神戸でも過去に、コーナン小束山店のペットショップで販売されていて、いつも肩に乗せてる小柄な女性店員のマルちゃんに言えば、肩に乗せたり抱いたり出来たもんだ。

体長1.2mほどの子供だったが、やはり小さくは無かった。



日本とカノ国以外のアジア~南アジア圏で広い範囲に生息しているが、近年、生息地の破壊や食用や薬用としての乱獲が祟り、数は激減しているらしい。



 「あれっ?ダムちゃん?」

女性の1人がビントロングを見て首を傾けてそうつぶやいた。


「それじゃーこの子で眷属契約のスキルを覚えてみましょう」


良く馴れているので、スキル取得は難しくなかった。


「それで、この子は誰が眷属にする?」

 「担当は私じゃないんだけど、一応私の眷属という事で」



 汝


 我が眷属となりてその身を捧げ


 我が命令に従順に従い


 我が身に危険を寄せ付けず


 我が生き様をその眼で見守り


 我が身が亡びる今際の時まで未来永劫共に生きると


 誓いなさい!



「アグリーメントッ」



女性は文言を唱え、ビントロングを無事眷属として迎えた。


「これでもう安心だね~」

 「あとは王国のみんながどうするのかですねー」


そんな話をしていると、ふいに奥の方から大きな音が聞こえて来る。


 ガッシャーン


窓の割れる音がして、咲空とシュヴァルツが飛び出してきた。


「おーいっどうした~?」

 『あっか~ん』


何があかんのか説明が無いまま咲空とシュヴァルツはこちらに向かって飛んできた。


 『魔法を使うゴブリンがおったー』

 『ビビったぁ~』


「おいおい、咲空ちゃんもシュヴァも怪我しとるやないか」

 『大したこと無いから、ちゃちゃっと治癒魔法掛けて~』


「・・・」


「嫌じゃ(笑)」

 『えぇぇぇぇ?』


 『う、うちの事はやっぱり遊びやったんやね・・・』

「アホォ~いきなり変な言い回しすんなや~」


 「こんな若い子に手を出してたんやね・・・」


「ちゃうちゃう、まだなんもしてへんって~」


 『「「 なんかするつもりやったんや? 」」』

 「いや~ロリコンやったんですなぁ、男として気持ちは分かりますよ~」

 「こ~んなに可愛い子やし、仕方ないですな」

 『てへへ♪』


「ほんまにちゃうって・・・・」

「・・・」


「そ、そろそろ戻らんと・・・」


 「逃げるんやな」「逃げるみたいやな」「逃げるのもまた男の選択!」


「ほんま~・・・」

「治癒魔法をみんなに覚えてもらおうと思っとったけど、もういいわ・・・」


 「あ~ごめんごめん」「あはは、ごめんなさーい」「すんまて~ん」

 『うちも?』


「おまえのためじゃ~」

 『うっわ~ 咲空(さくら)ちゃんから急に"おまえ"になったぁ~』


「おまえはもう一生おまえじゃ~」

 『えぇぇぇぇ~』

 『まぁえぇけど…』


「おまえのせいで俺が変態扱いされとんやぞ~」


 『なんでロリコンが変態なん?』

 「そうやで、若い娘を求めるんはまともな男の野生の本能だよ」

 「幼女好きの真性ロリコンはあかんけど、こんな可愛い子やったらOKちゃう?」


「もうロリ認定なんやな・・・」

「ゆぅとくけど、こいつってまだ13歳やねんぞ」

 「えぇぇぇぇ?高校1年くらいかと思ってた」


 『大丈夫やで、うちもう毛~生えとうし』

 『生理もあるから、子供もいつでも産めるで~』

 『処女やけど、宜しくねん♥』


「ほんでー まず治癒魔法を覚えるには、この子らの怪我の部分に手を当てて祈ります」


 「話すりかえたよ」「無かった事にするんやね」「あの子、獲物になったんやな」

 『スルーは一番嫌やぁ~』


「それじゃ~やってみましょう」


 「強引やな」「無理やりやな」「無理やりはあかんで?」

 『乙女のカミングアウトを無視された~』


「おまえらはもぅ えぇかげんにせぇよぉ~」

 「あははは、怒った怒った」「冗談通じん人やなぁ」


健斗は憤慨した顔をしているが、実際にはそれほど怒っている訳でも無い。




自己修復(セルフヒール)を覚えたシュヴァルツ含め、全員治癒魔法を覚えたので、ここを離れる事にした。


「名残惜しいけど、人を待たせてるから行くね」


 『ちょっと待っとって~、あの魔法使うゴブリンだけ倒してくる』

 『さっきはいきなりでビビったけど、もう大丈夫!』


咲空が勢いをつけて飛んでいった。

その後をシュヴァルツも付いて行った。


「ほんま、あいつらは・・・」


子供病院の生存者の捜索とかもしたかったが時間が足りない。

その旨を3人に伝え、毎日の狩りのついでに生き残った人たちを救済する事もお願いした。

「まぁ後の事は任せるな」

 「期待通りに出来るかわからんけど、頑張るわ」


 「また遊びに来てな」「いつでも歓迎やで」

 「男の浪漫を突き抜けていって下さいね」

 「ちゃんと避妊はするんやで」

「アホやで・・・」


大した時間もかからずに咲空とシュヴァは帰ってきた。


 『らっくしょうやった~』


「んじゃ~行こうか」

 『当分、狩りには困らんと思うけど、怪我せんようになー』


 「「「 またね~ 」」」





急いで栄町方面に飛んでいく2人と1匹。


咲空は飛空と言う飛行系スキルを覚えている。


シュヴァルツは雲走(うんそう)と言う変わったスキルを覚えていた。

4本の各足先が觔斗雲(きんとうん)の様な雲に乗り、空中を高速で走る事が出来るスキルだ。

足を止めると、惰性で飛んでいく。急ブレーキも掛けられるようになったみたいだ。


少し走っては足を後ろに曲げて滑るように飛ぶシュヴァルツ。

楽しそうだ。



 『朝、遅めにサンドウィッチ食べたのに、暴れたせいかな~お腹減ったよぉ~』

「生田川に着いたら、多分お肉が食べられるよ」

「それまで我慢しときや」

 『若者の腹は我慢と言う言葉を知らぬのだぞ』


アトム飛びをしている健斗の前に出て、その指を捕まえてガジガジと齧る。


「あほ~痛いわ~」

 『チッおっさんの味しかせんわ!』

「どんな味やねん!!」


咲空の頭をガシガシと撫でまわす。



ポートアイランドからまっすぐ北に飛べば生田川ICにすぐ付くのだが、母達と合流する約束をしているため、西の川崎重工の神戸造船所方向に飛び、大きく迂回してから追いかける。

少し無駄な気もするが、何かあれば嫌なのでその無駄も受け入れられる。


神戸駅付近を通過した時に、北側のロータリーを見に行ったが、もう先ほどの大戦闘は終わっていた。



まだちょっと距離はあるが、栄町上空に差し掛かった所ですぐに母達を見つける事が出来た。

まぁ空を飛んでるのがその3人と1匹?だけだからだ。

半獣半人はやっぱり1人と呼ぶべきかな?。


もうちょっとで追いつくくらいの時に、急に4人が急降下で視界から消えていった。







ちょっと前




『この辺ってけっこう魔物が多いよね』

 「マンションも多いけど、事務所ビルやホテルが多いのにね」


 『下に降りると、途端に視界が悪くなるな~』

『空から見下ろす癖が付くと、地上で見渡せる範囲の狭さに辟易すんな』

 「そりゃ~我儘ってもんちゃう?」


 『そこにゴブリンの固まり』

『ほ~い』


サクサクっと(ほふ)っていく。

そしてまた空中に上がり、獲物を探す。


獲物や何かを見つけたらその場で言うように見回っている。

 

 「なんか・・・ 索敵って覚えたで~」

『一緒やな』

 『やっとかぃ(笑)うちは早よぉから鑑定と索敵覚えたで』

『ガキが~ 腹立つ自慢も大概にしとけよ(笑)』


 『口の悪いババぁじゃ』

『「おまえが言うなぁ~!!!」』


  「ヤマガワに シュウダン セントウチュウ」

『三ノ宮クランの連中ちゃうかな?』

 「挨拶しとく?」

『そうやな~ 敵対するつもりは無いし、トラブル回避の為にもそれがえぇかな』


そう言って山側に浮きながら進んで行く。


 『うちは黙っとう方がえぇよなぁ』

 「自覚あるんかい(笑)」


『どうせ初めての大人にはよぅ喋らんやろー』

 『リトルは喋ってもえぇんやで~』

  「マタ ビックリ サレルダロう」


 「はよ麗里も喋らんかな~」

麗里の顔を見たら、申し訳なさそうに下を見た。


 「ちゃうちゃう、麗里~ごめんよ~」

 「うちが不甲斐ないばっかりに麗里に肩身の狭い思いさせてごめんよ~」


『なんや、お姉ちゃんのドヤ顔が憎たらしいてしゃぁないわ(笑)』

 『へっへっへ』


とても楽し気に和気藹々(わきあいあい)としている






女性軍の前に、戦闘中の大パーティーが目に入った。


『こんにちわー』「こんにちはー」『こんちわ』ペコリ


オークの群れと戦っている所に、反対側から爬虫類系の恐竜の様な大トカゲの様な魔物が襲い掛かる。

その後ろからは2足歩行をするワニのようなハチュ系の魔物がドタドタと走り寄る。


『挨拶しとう場合ちゃうかな?』「ちゃうみたいやな」


フワフワと浮いてる女性3人と熊が1匹と何か良く分からない熊男が1人。


  「なっ、に、人間か~?」

  「まだ出て来るか~」

  「もうこれ以上敵が増えんなよぉ~」


  「こりゃ積んだかな?」

  「諦めんなっ!俺らがあかんかったら、あっちは全滅やぞ~」

  「早よぉ~こっちを片付けてあっちに応援に行かんと~」


  「その前にこっちが全滅の危機やって理解しとうけ?」


今、戦える人が20人ちょっと居るパーティーだが、奥の数人は怪我で戦力外な感じだ。

全部で30人近く居るが、魔物の数が多すぎる。


『こりゃ~このままやったらあかんかもな』

 「手伝うのはえぇけど、敵が多すぎへんか?」


 『ここのパーティーはみんなレベルもソコソコやから治癒掛けたら持ち直すんちゃう?』

 『だいたいレベル10~18くらいやで』

 『まぁうちには負けとうけどなw』


姉とリトルはもうレベル20になっていた。


『この人数に治癒掛けて回るんか?』

 『ふふふ、うちのリトルを舐めてもらっちゃ~困るでぇ』

 「なんであんたがドヤ顔すんねん」


まだまだ余裕の女性陣だった。


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