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厄災の始まりは 神戸 から  作者: Ryu-zu
第6章 閑話
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次元の狭間 脱出

ラグレアは先ほどから目に付いていた黒い穴に近づいていく。


(ラグレア)この穴は違う次元に繋がっておるのか、はたまたブラックホールなのか…)



様子を見ていると、いきなりその黒い穴に引き寄せられる。


『くっそ~、近づきすぎたかぁ~~』


抵抗するが、狭間に浮いている状態で踏ん張れる所も無く、ラグレアは吸い込まれた。







真凛は刻々と近づいて来る光る道をもうハッキリと認識出来る位置まで来ていた。

体感的には、明石海峡大橋やレインボーブリッジよりも遥かに大きく感じる。



光の道は、片方は次元の狭間の境界線の向こうから伸びて来て、もう片方は狭間の中でウネウネとしながら少しづつだが伸びていってる。



(真凛)これって、この先が伸びてまたどこかの世界線と繋がるのかしら?)


真凛は光の道の上に立ち、切れている端っこを見ながら物思う。


(真凛)じゃぁ繋がってるこっちはどっかの世界に行けるんじゃない?)


そう思いながら、真凛は道をテクテクと歩いて行く。



狭間の境界に着くと、そこの先には、薄い青と水色が混じり合ってユラユラと揺らめくいつものゲートとは色が違う、薄紫に薄い黄緑が混ざり揺らめくゲートが境界の壁になっていた。



「ここの先に行っても、住居には戻れるのかなあ?・・・」


そこにゲートがあるのだから、その先には何かの空間はあるのだろう。

ゲートを潜って出た空間から、自分たちの住居に帰れるかどうかは分からない


「行って帰れなければ詰んでしまうしなぁ・・・」


「どうしよっかぁ~」



「えぇ~い、行っちゃえ~w」


真凛は笑いながら光の道の先のゲートを(くぐ)った。









ラグレアは抵抗も虚しく、黒い点穴に吸い込まれた。


『ちっ!やっちまったなぁ~』


穴の先は薄暗い空が全体を覆っている赤紫の台地だった。



『ここはっ? ん~別世界…かなっ?』


暫くキョロキョロとしながら前へ歩いて行く。


『俺は何回吸い込まれたら学習するんやろうかw』



足元を良く見ると、薄い茶色の土の台地が小山を作りながら広範囲にわたって広がる。

見た事も無い低生の草がパラパラと生えている。

光の加減で赤紫に反射し、夜更けか早朝位の景色を(かも)し出していた。


気温はやや低めで少し肌寒いが、震えるほど寒い訳でも無い。



(ラグレア)今は夕焼け時か夜明けの時間なんだろうな・・・)



しばらく歩くが、どこまでも台地が続く景色に、フッと我に返った。


『こりゃまずは家に戻れるかどうか、それをちゃんと確かめてからの探索にしないとあかんかったのぉ』


ラグレアはゲートを開き、急いでその中に飛び込んだ。




ゲートの先は異空間住居の入り口だった。


(ラグレア)良しっ!ちゃんと戻れた! 真凛はまだ帰っとらんのやな)


そしてまた異空間住居内の設置型ゲートをくぐると、そこは最初の次元の狭間だった。








真凛はゆっくりとゲートに侵入し、顔だけで向こうの様子を覗き見る。


「うっわぁ~森だ~河だぁ~」


そこは山の高い所から眺める、壮大な森とそこを流れる大きくうねった川が目に飛び込んで来た。


真凛はゲートをくぐり抜け、その大地に足を踏み入れる。

興奮が最高潮に達する。



「あ、あれは町やんなぁ~!」


真凛が立つ右手は高い山々が並び立ち、前方と後方はやはり山脈や山岳の様相を呈する。

左手には、前方から流れて来る大きな川がくねりと曲がり大海へと続いている。


その川の流れ着く海岸線付近に、数多(あまた)の住居の様な建物や小さなお城や壮大な石壁が見て取れる。

海岸線に沿って、街道らしき物も見える。

海辺には波止場の様な物や川を跨ぐ橋の様な構造物も見て取れる。


(はる)か向こうには、上半分を切り取った様な山の上に大きなお城が薄っすらと見えた。

真凛は[遠目]のスキルで見るが、あまりにも遠すぎるために詳細は見れなかった。



(真凛)中世のお城のようだなぁ・・・

 地球じゃないよね?

 これって、異世界定番世界?w)



真凛は心が少し落ち着いて来たので、さらに四方を見渡した。




右手の山岳と前方の山脈の間から流れて来る大きな川の(ほとり)は壮大な草原になっている。


その両岸のあちらこちらに、海岸線の街並みとは様相が違う町がある。


海岸の街並みから川向うの草原の間に道路が通り、各小町へと道が続く。

対岸の手前側の草原にも大きめの道路がかなりの上流まで続き、また各町に道が続く。



真凛は昨日覚えたばかりの[測量]で距離を測ってみた。



ここから一番近い集落まででも40㎞ほどある。

海岸線の街並みまでは直線距離で200㎞を超えていた。

川の上流の方に小さく見える町でも150㎞ちょいあった。

遠くの大きな城は測定不能と出る。



今度は一番近そうな町を遠目スキルで覗き見る。


そこは、町の周りが木柵で完璧に覆われ、ざっと50軒くらいの家屋や畑があり、人では無い人が歩いている。


「す、すっご~いっ!異世界じゃ~~~!」


真凛の興奮度はまた上昇していく。


次々に近い町から順に遠目で覗いて見る。


そこは石垣で丸く城壁が作られ、小高い丘にお城の様な建物、そして先ほどよりもしっかりとした建築様式で作られた街並みが広がる。

住居数は先程の町の数倍は有り、200世帯以上はあるだろう。

中心地は色々な店舗が連なり、人々の往来も(にぎ)やかである。


住人は人間がほとんどだが、獣人もチラホラと見受けられる。

まるで領主の住む街のようだ。


「多分ここいらを仕切っている貴族の街なんだろうか?」


それからもあちこちの町を覗き見した。



フッと思い立ち、今現在、自分の立っている所の高さも計ってみた。


真凛の立つ所は、牧草の様な芝生の様な底生の草が生え拡がる放牧地の様な場所だった。

野生の山羊や馬がかなりの数闊歩(かっぽ)しているが、真凛の傍には寄ってこない。

アルプスの少女でも住んでいそうな所だった。



「標高2200m、海抜2325m って事は極地点と赤道の中間よりもやや赤道より。

 ん~日本の九州か沖縄くらいの緯度だね~」



(???)へぇ~そんな事まで分かるんだね~?」


(真凛)!っ」



真凛の背後から、いきなり何者かの声が響いて来た。


とっさに真凛は身構え、[ゲート]と詠唱した。

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