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厄災の始まりは 神戸 から  作者: Ryu-zu
第6章 閑話
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次元の狭間 真凛の戦い方


「きっつぅ~」


やっとこさゴブリン1体を倒した真凛は、息も絶え絶え(たえだえ)に感想をつぶやいた。


(ネコ)お疲れだのぉ~」

『あぁご苦労さんw』


「丁度レベルも上がって、20ポイント入ったよ…」


そう言いながらも自身の頭を片手で押さえている。


『どうや?血は止まったのか?』

「まだ結構ドクドクと出てるよw」

(ネコ)笑いごっちゃないでぇ~」


(真凛)このまま血が止まらなくて死んじゃうって事は無いよね?

 かなり痛みも酷くなって来たし・・・

 どうしよぅ・・・お薬なんかここには無いし・・・)


(ヒュン)


「あっ?あれっ?」

『どうした?』


「ヒールッ!」


真凛の頭の傷が見る見るうちに治っていく。



『おっ?治癒魔法なんて・・・、今おぼえたのかっ?』

「うん、今ちょっと痛いし早く治らないかなって思ってたら・・・」

『ほぉ~それなら少々の無理は出来るようになったの~w』


(ネコ)じゃが、死ぬほどの怪我は下級治癒魔法じゃ治せんから、そこら辺は気をつけよ」

「うん、怪我するとやっぱり痛いからぁ、やられない様にしないとねぇ~」


(ネコ)んじゃ次は1レベル上のを出すぞぃ」

「んじゃ~私は2レべ上のん出すね~」


『お前ら見てたら羨ましくなって来たわぃw ちょっとリストから探すか・・・』


ラグレアは小山エリアの岩に腰掛けて膨大なリストを眺め始めた。




(ネコ)今度は厭牙(えんが)を使ってみるか)


ネコは厭牙を唱えた。



ゴブリンに噛みつきに向かう、仮想体(バーチャル)の様な大きな牙を持つ顔が飛び出て来る。


グギャッ?


ゴブリンの頭部に噛みつくとそのまま首を引きちぎり、そして消える。



一瞬の結末だった。

ゴブリンは自分が死んだ事さえ気づいていない。



(ネコ)・・・ こ、これは強力過ぎるじゃろ・・・」


ネコは戦う武器(スキル)を手に入れた。






「こんのぉ~ くっそぉ~ にゃろめ~」


真凛は格闘術と火魔法を駆使してゴブリンを責め立てる。

だが、致命傷を与えるほどの強いモノは持ち合わせていない。


火魔法も、大主人である五十惟に生活火魔法を習い、その派生系として覚えた火球(ファイアボール)火壁(ファイアウォール)、水系生活魔法からの派生の、水球、水投槍しか持っていない。


坂東瑛伖(えいと)の眷属になった事でその威力はかなり上昇したが、如何(いかん)せんまだまだ自身のレベルが低いため、火力自体はそれほど凄い物にはなっていなかった。


ラグレアから借りた剣も使ってはいるが、職業を格闘士に選択した為に、あまりヒット率は高くなかったのも戦闘に時間が掛かる要因の一つになっている。




(真凛)ん~何か新しいスキルを覚えたいなぁ・・・)


真凛は思案する。


ネコは逆に、今までに無いあまりにも強力なスキルを覚えた事で、少し戸惑いをみせている。



リストを眺めていたラグレアがふとネコと真凛が佇んでいるのを見てリストを消し、近寄っていく。


『二人共どうしたんや?どこかやられたのか?』



「・・・」

(ネコ)・・・」


『んっ?』


ネコと真凛は何も言わずにラグレアの顔をジッと見つめていた。


(ネコ)ワシのっ!」「私のっ!」



同時に口を開いた2人。



(ネコ)あぁ真凛よ先に話せっ」

「ネコさん、お先にどうぞっ」


(ネコ)あぁ・・・ 改めて言えといわれると言い(にく)いもんじゃのぉ・・・」


『どうしたっ?』


(ネコ)なんかのぉ~とんでもスキルが手に入ったんじゃが、どうにもこうにも戸惑いしか覚えんのじゃ・・・」


『贅沢な悩みやのぉ~(笑』

「ホント、私とは真逆の悩みやん・・・」


ネコは今まで戦闘は避けて死肉を漁る生活をしていたのに、簡単に敵を殺せるスキルを持った事で何かが変わっていくのがとても不気味で怖い気持ちになる。



『真凛は魔法も色々あるし何を悩む事があるんや?』

「・・・ これと言った強めのスキルも魔法も無いんですよ?」


『んでも、今もゴブリンと戦ってほぼ無傷で倒してたじゃないか?』

「1対1での戦闘で、本当にギリギリ勝てる程度ですよ?」


『まぁ上を見たらキリが無いと思うぞ?』

「目の前にその"上の人"が居るのに、どうしても自分と比べてしまうでしょ?w」


『俺かいっw』

「今の大きな目標ですw」


(ネコ)ラグレア氏はとんでもない奴じゃよw

 それを目標にするのはかなりきついと思うがのぉw」


『真凛よ、おまえは職業と恩恵が噛み合ってない典型的な不和性能やからな』

「どうしましょうかぁ・・・」

(ネコ)真凛の職業はなんじゃな?」


『真凛の職業は格闘士で、こいつの主人からの恩恵は魔力増強なんや・・・

 噛み合わんよのぉ~w』


(ネコ)ん~?悩まんでも良いじゃろ?格闘に魔力を(まと)わせれば良いじゃろうに?」


「ネコさん、意味がイマイチわかんない?どうやれば?」


(ネコ)どっかの将来海賊王になるとか言う奴の兄貴が使ってた火拳とか、そこのコックが使ってた燃える蹴り足とか、想像や発想はいくらでも出来ると思うがのぉ~?」


『???』

「・・・」


(ネコ)魔法剣士って職業があるんじゃから、魔法格闘士って分野があってもおかしゅう無いじゃろうに?」


「・・・」


『まぁ魔法剣士の格闘版って事かいな?』


(ネコ)じゃな、今のこの世界は発想と想像だけでいろんな事が出来るように変わったんじゃ。

 それを上手く活用していかんとなっ!

 まぁ覚言うワシもその(たぐい)に入っとらんかったのは自覚しとるが、さっきの新スキルを覚えた事でハッとしたんじゃ」



「ん~やってみようかなぁ・・・」

『真凛よ、また悪い癖が顔を出しよんとちゃうか?

 まずはやってみて、結果はその後の話やからのぉ?』


「わかった、やってみるっ」

『よしっその粋だっ! ネコよ、何か助言は無いのか?』


(ネコ)ん~ まずは想像(イメージ)しやすい火を纏わす事からかのぉ~。

 前のワシのグループに居た奴が、槍に火を纏わせる火乗(プットオンファイアー)と言うスキルを作っとったな」


「よしっ!まずは拳に火を乗せる事から始めるね~」



真凛はやっと前向きに行動する事を覚えたようだ。

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