次元の狭間 ネコと言う猫
「ふぅ~やっとこさ倒せたわい・・・」
低レベルの死闘を制したネコが草原エリアの真ん中で一人佇んでいる。
死肉を喰らい晩飯にする。
「先ほどのカリカリフードも美味かったが、やはり肉じゃな♪」
ネコが死肉を半分くらい食べた時、ゴブリンの死体は床に吸い込まれるように消えて行った。
「ん?死体が消えたぞ?自動処理されたのかな?」
そこそこ食っていたので、少し残念だなって程度だが、やはり全部食べたかった。
「まぁ良い、それよりもこの狩場の項目を先に探しとくか」
ネコは小山エリアの岩が突出した所に昇り、自分のステータス画面を呼び出しスキルのリストを肉球でスライドさせる。
少しお腹も膨れて、半日の緊張から解き放たれ、その開放感から睡魔に襲われる。
小一時間も寝ただろうか?
ネコはギャーギャー叫ぶ声に目が覚める。
「おっと、完全に爆睡してしまってたわい」
声のする方向を見ると、そこには1匹のゴブリンがこちらを襲おうと岩の下から必死に腕を伸ばす。
全く届かないが、それでも尚必死に攻撃をしようとしている。
「また真凛が出してくれたんかいのぉ?」
そう言ってネコは、ゴブリンとの戦闘をする為に岩の上からフワッと浮き、下に降りた。
レベルが5になった事で、先ほどよりは楽に戦える。
バシュッ!
グギャ~
ガシュッ!
プギャ~
ザシュッザシュッ!
グッ・・・
今度は泥試合にならないように、空中から猫の爪でゴブリンLv3を切り刻む。
先ほどよりもかなり早い時間で敵を倒せた。
(ヒュン)
「ふむっ 1体倒すごとに1レベル上がる感じだな・・・」
また岩の上に上がり、スキルリストを眺めて楽しもうとステータス画面を呼び出した。
「おやっ?1レベル10ポイントと言ってたが、2体倒して25ポイントも上昇しとる?」
「ん~要検証じゃな・・・」
リストをサクサクと肉球でクリックしては色々な項目を眺めている。
「おやっ?タブレットとな?何が出来るんじゃろ?
おっと~しもた、ポチッて押してしもた~」
ネコの手元に10インチ位のブックタブレットが現われた。
「しもたのぉ~4ポイントも使こてしもた~レベル4のゴブリンがぁ・・・」
そのタブレットは異空間に収納出来る優れモノだったが、ネコにタブレット、いや、猫に小判って話だろう。
「おぉ~~~あったあった」
膨大なリストの中から、狩場に関する項目を見つけたようだ。
「よしっ、次はレベル5のゴブリンを出すかのう」
自信がレベル6になった事で、今度は1レベル下のレベル5のゴブリンを召喚した。
バシュッ!
グギュッ
ガシュッ!
ウギュッ
ザシュッ!
アウッ…
先ほどよりは時間が掛かる。
2レベル違うだけでも、やはり強くなっている気がする。
「ん~何かスキルか魔法が欲しいのぉ~ 後で探してみるか…」
元々戦闘種族では無いガリレオキャットに、デフォルトで攻撃スキルは無い。
それでも空中からの攻撃は、低レベルのゴブリンなら無傷で戦える。
時間は掛かるが。
「よしっレベルが上がったようだ、ポイントは15ポイントか」
ネコはふと思う所があり、タブレットを異空間から取り出し、メモを開き記録する。
猫にもタブレットの使い道があった・・・
「こりゃレベル差が影響しとるんかな?」
ネコは思う通りに、次は同じレベル7のゴブリンを召喚した。
「ふぅぅぅ~~ これはきついのぉ~
やはりと言うか、同レベルは20ポイントか」
「次は1レベル上・・・ は、まだ辞めておこう」
そう言って、2レベル下のゴブリンLv5を召喚した。
「ん~2レベル下だと10ポイントか・・・」
タブレットに書き込みながら思考を巡らせる。
「次は3レベル下じゃの」
レベルも8になったネコは、またゴブリンLv5を召喚し、サクッと倒す。
「また10ポイント… ふふっ何やら楽しくなってきおったわぃw」
ネコは89ポイントも貯まったのでまた岩の上に飛んで行き、リストをスライドさせる。
「クフフフフッ」
『おぉ~ネコよ、ここにずっと居たのか』
「ネコちゃん、そろそろ私たちは寝るけど、あなたはどうするの?」
「あぁワシもそっちに行くわいな」
2人と1匹は歓談をしながら狩場を後にして、うろこの家に戻る。
--翌朝--
『ふぁぁぁ~~~ おはようネコッ』
昨夜は、ラグレアとネコがキングベッドで、真凛は隣の部屋のクイーンベッドで熟睡した。
「おはようございます。もう10時半ですねw」
『おうw寝すぎたようだ』
「こんなに寝たのは、産まれて50年になるが、初めてじゃのぉ!おはようさんっ」
3人は緩々と起きだし、1階の食堂へと降りて行く。
ネコは床で食事をしながら昨夜の検証を二人に話す。
2人もそれを聞き、自分たちなりの懸案を話す。
それもまた楽しいようだ。
「んじゃ~ワシは狩場に行くぞぇ」
ネコは4本足でスキップをしながら狩場に向かった。
『俺らも後で行くぞっ』
「ちょっと一服~」
タバコを吸う訳では無いが、食後のまったりとした時間を真凛もラグレアも求めた。
リビングのソファーに座り、真凛はペットボトルのミルク紅茶を、ラグレアはブラックコーヒーのボトル缶を飲んでいる。
「暖かいままなんですね~」
『あぁこの異次元倉庫は中で時間が進まないらしい』
2人は朝の一時を楽しんでいるようだ。
「にゃんじゃぁ~?」
ネコが狩場に着くと、中には40体程のゴブリンがウロウロしていた。
「勝手に湧いとる・・・」
中にはゴブリン同士で争ってる奴も居るが、あちらこちらをウロウロとしているのがほとんどだ。
「こりゃワシだけじゃ死ねるわいw」
ネコはトボトボと歩き出したが、ハッと閃いた事が有り、タブレットを取り出し時間を見る。
何やら天を仰ぎブツブツと何かを言っている。
「よっしゃ、たぶんこれじゃなw」
何かを悟ったようにニコやかな顔でラグレア達が居る家に戻る。




