次元の狭間 生活空間
『これは・・・ なかなかの家だな』
「これでこんな豪華で豪奢なんだから、他のはとんでもなかったですねw」
玄関を入ると、左右に部屋があり、前方には広いリビングが現れる。
靴は履いたままの西洋タイプだ。
真凛はキッチンに入りステータスパネルを開く。
「ここに冷蔵庫だね」
リストの冷蔵庫をポチっとな。
「カップボードはこっちの壁に」
リストのカップボードをポチっと。
「電子レンジと炊飯器はカップボードの中だね~」
リストのレンジと炊飯器をポチる。
「コンセントも必要ね」
コンセントの設置場所を吟味しているとリビングからラグレアがキッチンに入って来た。
『おっ?おいおい、そんなもんまで有るのか?』
「うん、さっき見つけたw」
『じゃぁ探せば、ソファーやベッドもあるんじゃないかな?』
「もう見つけてますよw」
『・・・ 出来る奴だなっw』
「えへへっ」
異次元に飛ばされた事なんて、もう頭の片隅にも無い様な惚気た2人だった。
キッチンに必要そうな物と、リビングにソファーとテーブル、ダイニングにもテーブルセット。
テレビもあったが、どう考えても電波が届くはずも無いだろうと設置は見送った。
2階の15畳ほどの1室にヘッドボード付きのキングサイズのロングベッドを入れる。
背の高いラグレアでも余裕で寝れるサイズだろう。
横にはナイトテーブルと間接照明を置く。
全ての窓には遮光カーテンを付ける。
カーテンを閉めると部屋は暗くなる。
『真凛よ、寝る時はどうする?別の部屋が良いか?それとも?』
「ん~取り敢えずまだポイントに余裕があるから、隣の部屋にもベッドを入れとこうかな」
隣の8畳ほどの小部屋にクイーンサイズのベッドと腰高のナイトテーブルを設置した。
真凛はパンツの後ろポケットからスマホを出して時間を見る。
「もう日付が変わりますね・・・」
『あのバーベキューから12時間か・・・』
「あっ?充電が減ってる・・・」
『この部屋にもコンセントを付ければどうだ?』
デフォルトではどこにもコンセントも照明も付いてない。
照明に関しては、かなり明るい空間の為、それほど重要ではなかった。
キッチンには家電を取り入れたので何カ所かコンセントも設置した。
2人は「どこから電気が送られてくるんだろう?」と笑いあった。
コンセントを設置し、肩から襷掛けしたポシェットの中から充電ケーブルを取り出しコンセントに差し込み充電を始める。
「ほぉ~充電が始まったよぉ~やっぱ電気が来とるんやねw」
『キッチンや風呂場の水や温水もどこから来とるかわからんし、どこに流れて行くんやろなw』
『そりゃそうと、ネコはどこに行った?』
--少し前--
『ネ、ネコ~おまえは喋れたのかぁ~?』
「ネ、ネコちゃん、しゃべれたならもっと早くに喋ってくれてたら・・・」
「猫が喋るなんて恐ろ可笑しいじゃろうてw」
『まぁこれでコミュニケーションが取れるのがわかったから良かったのぅ』
「我らガリレオキャットは元々魔獣の中では最上の知能を持っとる」
『あぁ鑑定でおまえのステータスを見た時に、種族の説明で勝手に見たけどな』
「故に我らの中には言葉を扱える奴も結構多いんじゃよ」
「知能が有るなら知識もあるのかな?」
『そうだな、豊富な知識があるのなら、今のこの状況も理解できるように聞かせてくれんか?』
「がははっ知らない事は知らんがなw」
『じゃぁ次元の狭間に飛ばされた事は、知らない知識の範囲に入るのか?』
「ん~良くはわからんな、次元の彼方に行った奴も帰ってきた奴も知らんしな」
『そっか・・・』
「それよりも、ワシにもおまえらと同じスキルが発生しとるんじゃよ」
「えぇぇ~~~?じゃぁ3人で共有のスキルって事ぉ~?」
『それは興味深い話やのぉ~』
「んでの~色々と見とると面白いんじゃが、ポイントが40しかないんじゃよ」
「レベル4って事かな?」
「ほうじゃな、だからのぉーレベルを上げたいんじゃ」
『あぁモンスターの狩場が欲しいって事か?』
「ほぉほぉ察しの良い奴じゃw」
「私のポイントで作りますよ~ 65ポイント残してるので、レベル15のゴブリンを出せます」
「いや、レベル15じゃワシが殺されるじゃろうがw」
『レベル3を5体とか出来るんかな?』
「物は試しと言いますから、まずやってみましょうか」
2人と1匹は、家から離れていく。
ゲートを背にして左の奥に狩場のアイテムを設置する。
狩場は6角形の半透明なディスクの様な物が組み合わさった、直径50m程のドームで構成されていた。
入り口であろうゲートの様な感じの部分に触ると、中に強制的に進入させられた。
『ほ~』
「これは面白そうじゃな」
「ほんと、魔法みたいに色々な事が出来ちゃうのがちょっと怖い気もします・・・」
ドームの中は、右側に小山が連なるエリアから、中程は草原のエリア、逆側は森林っぽいエリアになっている。
『ネコよ、この項目は見つけてあるのか?』
「いやっあまりにも項目が多すぎて見つけられんのじゃよ・・・」
『じゃぁ真凛、レベル3か4くらいのゴブリンをまずは1体出してやってくれるか?』
「了解です、いきますね~」
ネコが倒せるくらいの強さが良いだろうと、レベル3のゴブリンを指定した。
草原エリアの真ん中辺りに1体のゴブリンが現れた。
ゴブリンはこちらを見つけると、ダッシュで走り寄り、攻撃姿勢を見せる。
『いけぇ~ネコぉ~w』
「がんばってぇ~」
うにゃぁぁ~
ふぎゃぁぁ~
グギャァ~~
レベル3とレベル4の素手での戦いは、なかなか決着がつかない。
『んじゃ~俺らは家の中の事を考えに行こうか』
「はいっ」
2人は、ネコが死ぬことは無いだろうと思い、狩場ドームを後にした。




