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厄災の始まりは 神戸 から  作者: Ryu-zu
第6章 閑話
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次元の狭間 定着

(ラグレア)俺の新しいスキルは、異空間住居(ディメンションハウス)だ』

(真凛)あれっ?私のスキルもまったく同じですね」


(ラグレア)まぁ使ってみるか?俺から使うぞ?』



ラグレアが異空間住居のスキルを使うと、目の前にゲートがユラユラと現れた。


そのまま猫と女を抱いたままそのゲートに入る。



(真凛)うっわぁぁ~」


(ラグレア)・・・』

(ネコ)・・・」


そこは次元の狭間と同じように真っ白な世界だったが、天地があり足が地面に着く感じがある。

少し後ずさると、壁に当たる。


先ほどまでの上下左右前後が無い空間とは明らかに違う。


ラグレアは真凛に回していた手をほどき、猫を床に置いた。



(ラグレア)今までのおかしな感覚から普通の感覚に戻ったか・・・』

(真凛)地に足が着くって良いですね~」


猫はウロチョロとラグレア達の周りを歩き回る。


『まぁ一旦座ろうか…』


ラグレアは自分のステータス画面を見ながら真凛に問いかける。


『俺のこのスキルは、色々とリフォーム出来るようだ、真凛のは?』

「私のも改装出来るみたいですよ。ポイントが必要みたいですが」


『んじゃ~真凛の部屋に入ってみるか?』

「ちょっとワクワクします♪」



真凛はスキルを唱えると、目の前にユラユラとゲートの様な物が現れた。

ラグレアと真凛はネコをそのまま残し、2人でゲートを(くぐ)る。



『おやっ?』

「あれっ?」


2人は真凛の部屋に入ったはずなのに、ゲートを潜った先にはネコが居た。


(ネコ)???」



『一回二人共外に出てみよう』


2人は、目の前にずっと出続けているゲートに入る。


出た所は同じく真っ白の世界だが、方向感覚が働かない世界だ。


『ここは・・・次元の狭間だな・・・』


真凛を持つ手を離し、スキルを使うように促す。

手を離しても、遠ざかる訳でも無くずっと同じ位置で変わらない。


「足が付かないからやっぱりさっきの空間とは違う所ですね・・・」


試しに2人は、別々のゲートを開き、そしてそこに入ってみる。




やはりゲートの中は同じ場所だった。


『・・・』

「・・・」



『これはある意味迷子にはならないって事だな』

「そうですね、(はぐ)れたらここに帰ってくれば会えるわけだし」


ラグレアはまた座り込み、ステータス画面を呼び出す。


『これは、凄い数の項目があるよなぁ・・・ 真凛のやつもそうなのか?』

「そうですね・・・リストの細分化や下階層まで見ると、ものすごい項目数です・・・」



2人は暫くの間、無言でステータス画面に釘付けになってしまっていた。




『おっ?芝生が敷き詰めれるようだぞ』


ポイントを見ると、ラグレアはレベル33で330ポイントがあった。

1レベル10ポイント計算になるが、芝生に使うポイントは12ポイントと余裕の値段だ。


『真っ白な世界はいい加減精神に異常をきたす、少し緑が入れば気持ちも変わるだろう』

「確かに、こんな所に一人で放り出されてたら気が狂いそうですね」


『試しに芝生を敷き詰めてみるぞ』


ラグレアは、持ちポイントよりも遥かに少ない使用ポイントなので失敗しても構わないとの思いで、色の無い真っ白な世界に少しでも色が付けば良いだろうと単純な考えで使用してみた。


『おっ?おおおおおおおおっ!』

「うっわぁ~凄い凄い、すごいぃ~」


ラグレア達が座っている地面が、いきなり緑の芝生に覆われた。

その範囲は、今まで真っ白でどこまでも続いている感じの世界観が、端の方まで見えるようになった。


『下が緑になった事でこの空間の広さが分かるようになったな』

「うん、端っこがハッキリとしたからすごくわかりやすくなった」


すぐ後ろに真っ白な壁があり、その前にユラユラと揺らめくゲートが消えずに存在している。


『歩いてみるか』


ラグレアは立ち上がり、ゲートを背にして向かって左に歩き出した。

その後をネコがチョコチョコと尽いて来る。


真凛は反対の方向に歩いて行く。

壁に突き当たると左に方向転換してまた歩き出す。


「283…284…285…286・・・」


「ん~っと、私の一歩が約70㎝くらいだから、286歩でだいたい200メートルかな?」

「こっちはどうだろう・・・」


真凛はまた方向を変えて歩き出す。



端の方でネコと芝生の中を見ているラグレアとすれ違う。


『この芝生の下はちゃんと土があるぞ。それもそこそこ深いようだ』


『真凛の方は何かあったか?』


ラグレアの問いかけに真凛は答えない。


(235…236…237…238…)


『おいっ?どうした真凛?』


(255…256…257…258…259…)


ラグレアを無視するような恰好で歩き続ける真凛。


『・・・』


返事をしてくれない真凛の後ろをトボトボと尽いて行くラグレア。

その横をチョコチョコと尽いて行くネコ。


『そういや、ここに入ってから少しお腹が減って来たよなぁ?』


『・・・』


『真凛よ、トイレは大丈夫なんか?』


返事が無い。





「ふぅ~やっぱり286歩だから200メートルだね~」

『???』


「ふふふっごめんなさいね。ここの広さを(はか)ってたの。

 ここは縦横共に200メートルくらいだから4万㎡の広さって事ですよw」


『そっか…200メートル四方って事か… しかし、4万㎡と言われてもピンと来ないな』

「ん~(たたみ)換算にしたら、24000畳くらいかな? 笑」

『余計にわからんわw』


「今、急に[測量]ってスキルを覚えちゃったよw」

『ほぉ~おめでとう、だよな』

「覚えたのは良いけど、何の為に使うのかちょっとわかんないけどねw」



『んじゃ~次は住居だな』

「もうここしか私たちの生きる場所は無いんでしょうね」

『まぁそれも色々と考えて行かないとな・・・』



『さっき見た時にお城みたいな建物があったんだが、どこにあったか・・・』

「私はルネッサンス調のおトイレがあったのを見たけど、どこらへんかなぁ~」


「また一覧から探すのが大変ですね~w」


それでも2人は、今までの沈黙と静寂の世界から(のが)れられた事が、思いの(ほか)嬉しいようだ。

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