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厄災の始まりは 神戸 から  作者: Ryu-zu
第五章 六甲アイランド小戦争
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六アイ戦争 交渉人1

4人はズイズイと奥まで入って行く。



 (守衛)おいコラ、おまえらは何もんじゃ?どこに行くつもりじゃ?」


ボアオークの警備隊の1人が声を荒らげ走り寄り問いかけて来る。


ポイは薄っすら微笑みを交えて警備員に近づき聞いた。


(ポイ)すみません、ここの責任者にお会いしたいのですが?」

 (守衛)はぁ?おまえらみたいなどこの誰かもわからん連中を通す訳ないやろっ!」


(佐助)それなら力づくで会いに行くだけやぞ」

 (守衛)はぁ? お~いこっちに来てくれ~」


ボアオークは見回っている警備兵に大声で応援要請をしたようだ。


(藤子)ちょ、ちょっと佐助さん、それはだめです!」

(市之丞)佐助さん、暴力無しでお願いします・・・」


(ポイ)佐助さんらしいけどw、交渉に来てるのはうちらやから下手(したて)に出ないとね」

(佐助)ちっ!んじゃ俺は黙っとく方が良いみたいだな…」


(ポイ)もぅ~乱暴者なんやからぁ~w」

(佐助)そ、そんな事ないんやけどなぁ・・・」



(警備兵)何をゴチャゴチャ言っとんじゃ?さっさと帰れっ!」


応援に来た警備兵が市之丞の肩をドンっと押して帰れと怒鳴る。


(藤子)ちょ、ちょっと何をするの~」

 (警備兵)じゃかましいわぃ!」


その警備兵は藤子にまで手を上げようとしたので、さすがにポイは警備兵を(たしな)めようと間に入る。


だがその前に佐助がその警備兵の横尻を蹴り上げた。

市之丞も藤子に危害を加えようとした瞬間、警備兵に高速パンチを見舞った。


 ドスンッ


殺意のこもってない攻撃だがその威力はかなり高く、警備兵のボアオークは尻もちを着く。



(ポイ)はぁ~? はぁ~・・・もうぅ~あんたらは~」

(藤子)あははっ!これは交渉決裂の予感しかしませんよw」


(市之丞)藤子、大丈夫か?どっか殴られてないか?」

(藤子)イチさんも佐助さんもありがとねwどこも何も無いよw」



ピリリリーピリリリー


警備兵は紐で括って首から下げていた小笛(ホイッスル)を、左胸のポケットから取り出し大きく吹いた。


やにわに、あちらこちらからボアオークの警備隊や防衛部隊が集まって来る。



(ポイ)あ~あぁwこれは交渉失敗の図だね~w」

(藤子)どうしましょ~」



大した時間も掛からず、4人は細い通路を背にしてボアオークに半円状に囲まれた。



(佐助)こりゃ~ここでも戦闘を始めなけりゃあかんのかぁ~」

(ポイ)誰のせいですかねぇ~w」

(市之丞)そうですよ、佐助さんは手が早いんだから」


(全員)おまえもじゃっ!」



後ろに退路があるとは言え、これだけ大勢に囲まれてるのに余裕を見せている4人が腹立たしい。

気の短いボアオークが4人に向かって苛立ち、怒鳴り散らす。


(ボアオークA)このクソガキャ~!その人数でカチコミ掛けるとか舐めとんか~」


(ポイ)カチコミってw 私たちはお願いがあって交渉に来たんですよ?」


 (警備兵)いきなり攻撃してきといて何をぬかしとんじゃっ!」


(市之丞)あんたを殴ったのは謝るが、先に手を出して来たのはそっちだろ?」


(ポイ)だからぁ~私たちはここの責任者に会いたいって言ってるだけでしょっ!」


気の長いポイでも、さすがにこの対応は心底イラつく状況だ。




(市之丞)なぁ・・・聞くだけ聞いてくれんか?それからそっちの話を聞くわ」


戦闘態勢に入っているボアオークの気を抑さえて市之丞が話し出す。

その話術は、市之丞が持つパッシブスキルの[交渉術]が効いている為にボアオークは耳を傾ける。



(ポイ)聞いてっ! あんな(あのね)、今うちらの仲間がねっイーストの10番街ってわかる?そこの前でオーク軍と戦ってんねん」



ポイも[話術]と言う隠密系のスキルを持っている。


(ボアオーク達)な、オークやとぉ~?」



猪顔ボアオークと豚顔オークは生来の敵対関係にある。

女性体が産まれにくいオーク、ハイオークは、DNAが近しいボアオークの女を攫い繁殖用に飼育する。

早い話が繁殖の為だけの性奴隷である。

優勢遺伝子を持つオーク族は、ボアオークで繁殖させても、F1 ((注1)では必ずオーク族が産まれて来る。


ボアオークは男女半々、やや女個体の方が多く生まれるために目を付けられたのだろう。



(警備隊長)それなら少し事情が違うな」

(防衛部隊長)誰か、将軍を呼んできてくれないか?」


半円形の包囲網の後ろで戦況を見守っていた隊長クラスが、さらに上の上官を呼びに行かせた。



(防衛部隊長)ちょっと前を開けてくれ」


その一言で半円状の覆いに一筋の道が開ける。


防衛部隊の隊長と警備隊の隊長の2人が佐助たちに近づいていく。

佐助は身構えているが、他の3人は只々様子を見ているだけだった。


(ポイ)ん~なんとか話は出来そうな感じになってきたなぁ)


(防衛部隊長)しばし待たれよ!今、上官を呼びに行っている」




暫く待つと、クーリルボアと言う騎獣イノシシに(またが)った、緑味が強い体毛のカラードボアオークがドシドシと言う音と共にやって来た。


(将校)おぅ、狐人よっ(くだん)の話は本当なのか?」

(ポイ)はいっ!イーストの10番街に巣くっているオーククイーン筆頭に1000人規模の軍と今私たちの仲間が戦っています」


将校クラスの幹部ボアオークがポイを名指しで聴聞し、ポイが答える。




ドガッドガッドガッ

 ドガッドガッドガッ


奥の方から同じくクーリルボアに乗った一団がやって来る。



注¹:F1=交雑種第一世代 Filial 1 hybridの略

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