悪魔軍 隠密特化の奴ら/
トオル達と別れて、リーと佐助は中学校の北の道に出て、イースト6番街の前を通ってウエスト地域に向かって歩いて行った。
「今、藤浜の所のメンバーがここを責めてるらしいね」
「ここはゴブリンの巣窟だって言ってたような」
「自分も戦えるようになりたいけど、この身体ですからね~」
「ウェイズは進化はしないのかな?」
「良くわかりません、自分の居た世界では戦闘のほぼ無い地域に住んでましたから」
そんな会話をしていると、目の前に数体のゴブリンらしき魔物がこちらに向かってくる。
ウェイズは佐助の肩から降りて、バフ効果の呪文[剛力]と[早風]を二人に掛けた。
[剛力]はSTRが25%アップする呪文、[早風]は素早さが30%アップする呪文だ。
2人は何の問題も無くゴブリンを屠ったが、そのバフ呪文の効果に驚きを隠せない。
「凄いなぁ、力が沸いて来るって、こんな状態を言うんだろうな」
「身体強化のスキルがレベル2になってるけど、そんなん比じゃないね」
身体強化Lv2は全てのステータスが10%30分間アップする優れたモノだが、実感は然程ない。
暗闇を歩いてるうちに、二人には暗視のスキルも備わった。
ウェイズは猫目と言うスキルを元々持っている。
「さてさて、何から手を付けたら良いかなぁ~」
「大主、憚り乍らまずはキングが滅殺された遺体を見に行くのも一手かと」
「遺体から情報を読み取れるようなスキルでもあれば良いのにな」
「サイコメトリーかぁ、そのうち手に入りそうなスキルって気はするけど」
6番街の前を西に向かって真っすぐに歩いていたが、トオルが言うその死体を見に行くためにその建物の角を南(左)に曲がり次の交差点まで向かう。
交差点に着くと、今度は西(右)に曲がる。交差点角には4つ星のホテルがあり、その隣にはファッション美術館がある。
「主よ、この辺りですな」
しかし、そこには遺体は一体も無かった。
「でも大主ここらには人間の血の匂いがプンプンしています」
--数時間前--
「おい、何か人が並んで寝転んでるぞ?」
「全員隠密起動して注意しろ!」
黒豹人の手下3人と大耳狐人の手下2人の7人が怪しい人間の所作に警戒を怠らない。
「ンッ?何モ生気ヲ感ジマセンガ?」
「肉体の波動も感じられないので、死んでるんだと思う」
一応警戒はしながら隠密軍はその遺体のそばにまで歩いて来る。
「んっやっぱり死体だな」
そこには、上半身と下半身が繋がっている遺体は一つも無かった。
首だけ、もしくは胴から下半身と切り離されている。
「おいっアンダル、どう思う?」
大耳狐族のネームド、アンダルと言う名の人狐に問いかけた。
「まぁ戦いに負けて粛清されたか虐殺されたか、何かを探されたかだな」
「探す?体内に何か入ってたって事か?」
「身体を切り刻むって事はそんなことも考えられるって話だ」
「こんな大きな戦闘があったなら、本部の誰かが気づくと思うんやけど?」
少し背の低い方のポイと言うネームドの人狐がフサフサの尻尾を立てながら感想を言った。
「グリートさん、私も強者に軽~く殺戮された説を推します」
雪豹の変異種の桃毛が映えるセイラが、黒豹人のグリートに自説を説く。
「あの一番隊のクロコダイルウォーリアを倒した女達がやったのかもな」
「あいつらなら、こんな低レベルのやつらを瞬殺出来るでしょうね」
「まぁあいつらには関わらない方が良いだろう」
その時、トオル達は向かいのホテルの最上階で首無し実験で大盛り上がりしている。
「まぁ一部の奴の食料にはなるだろうから、ポイ、仕舞っときな」
人狐のポイはきれいに並べられている人間の遺体を空間倉庫に仕舞い込んだ。
「それじゃぁ行こうか、今日は偵察だけにしとこうと思う」
「そうやな、戦闘になったらちょっと俺らじゃ心許ないしな」
隠密軍はウエストの5番街北側の2つの大きなマンションを活動範囲にしている、ボアオークの生息地を目指して歩いて行く。
「佐助、ファッション美術館行く?」
「主よ、もうこの服が気に入ったから特に用は無いですかな」
「なぁ~もうその"主"と呼ぶのは辞めてくれないか?」
「ん~ でもなんと呼べば?」
「普通に リー でも レイン でもいいよ」
「それじゃぁ皆さんがリーさんと呼んでいるので、自分もそう呼ばせて頂きます」
「ウェイズとジャドも聞いてるね?あんたらもだよw」
「わかりました、リー様」
「急ですなぁw 了解しましたリー殿」
暗闇に紛れて、銀色の眼しか見えない二人の眷属がリーに答えた。
「・・・」
「あのねっ佐助もウェイズもジャドも、敬称は略してもらえる? 理由はね、
もしも何かあった時に私を呼ぶのに、いちいち敬称を付けてたら一呼吸遅くなるでしょ?
それは避けたいから、普段から リー と呼んでてほしいの、いいかな?」
「わかりました、リー・・・」
一行はスーパーの前を通り過ぎて、六甲ライナーの高架も通り過ぎ、ウエストの11番街の前に着いた。
道路側にある高層の建物は女子学生会館と言って、女性の学生の仮住まいや寮や宿泊施設になっている。
その南側にはウエスト11番街が聳え立っている。
「それじゃぁ今日は11番街から順に数字を下がった番街を調べていきましょう」
「了解!」
4人は気配探知や索敵で生存者や魔物の位置をお互いに言い合いながら隠密行動を始める。
--ちょっと前--
「ここの5番街を超えると、ボアたちの一大生息地だよ」
黒豹人のグリートが皆に伝えた。
ちらっと見える範囲にでも、沢山のボアオークが闊歩している。
「ちょっ!ボアオークのカラードが居るよ~?」
ユキヒョウの変異種の桃豹のセイラが発見したものを皆に告げる。
通常のボアオークの毛色は赤茶けた薄いオレンジからウスチャイロの柔毛で、個体差はほとんど無い。
だが、これだけ沢山のボアオークが集うと、中にはリーダー足る個体も進化で出現してくる。
「ん~ 騎獣しとる奴もおるのが怖いな」
大耳狐人のアンダルが、クーリルボアを騎獣として使役しているのに驚いている。
クーリルボア 中型の猪型魔獣 性格は大人しく、ボアオーク以外にも騎獣として使役する事もある。
見た目は、首が長く後肢が発達し、猪種では唯一直線的以外に自由自在に走行ができる。
二手に分かれ、遠巻きにボアオークの生息地を一通り見て回った隠密魔獣軍。
結果報告を皆で言い合うために、5番街の一室に集まりそれぞれが報告を語り合う。
「ん~なんか平和そうな感じで、オークに蹂躙されてる様な様子は無いなぁ」
「でも何て言うのかなぁ、戦闘準備をしているように感じたんやけどな」
「私は外周を見て来たのですが、騎兵や歩兵が戦闘訓練をしていましたよ」
「殺傷力の高そうなヤバ目の武器を作っていましたよ」
「もう少し様子を見てみる必要があるな」
「今日は取り敢えず様子を見に来ただけだから、一旦帰って報告だけするか」
大耳狐人と黒豹人の二人は、これからどうやってボアオークを説得していくか話し合っている。
他のメンバーもそれぞれの意見を出し合う。
色々な意見を言い合ううちに緊張も解けて来る。
異常に気合が入っていたのが途切れ、皆の顔には笑顔も出てきている。
しばらくの歓談の時間が過ぎ、皆の気が緩んできていた。
「みんな、ちょっと待て!」
「俺らの住処に何かが入り込んどるぞ・・・」
「よしっ4つの班に分かれて回り込んで殲滅するぞ!」
そこそこの人数の人間が、自分たちの縄張りに入ってきた何者かを包囲していく。
作者の独り言:もうストックが無くなって書き上げるのにヒイヒイ言ってます。
でも、少ないながら、アップしたら必ず読んでくださっている読者様が居る限り頑張ろうと思ってます。
中国武侠ドラマはとにかく長い。
今年、比較的短い(46分x58話)楚喬伝を見ていたけど、最終話が中途半端で終わり何かモヤモヤしたままだ。
大人の事情でシーズン2はなかなか製作開始にはならんだろうし。
とにかく、主演のチャオ・リーインと、皇女役のリー・チンがもの凄く可愛いドラマだった。
楚喬伝~いばらに咲く花~はU-NEXTやAMAZON-PRIMEなどで無料配信されています。
悪魔軍の中の隠密忍者[レイン・リー]とは、過去に実在した香港女優のお名前です。
2008年以降、活動を辞めてしまったため、もう見れないのが寂しいですね。
ご結婚したのか亡くなられたのか、完全引退なされたのか、全く情報がありません・・・
ってか、勝手に名前使ってます(笑)
芸名は李彩華←これでレイン・リーとは読めないよねえ?
自分が彼女を知ったのは、大旗英雄伝(2007)の中の温薫薫役でした。
吹き替えの落合るみさんの声がまた色っぽくて良かったです。
主役の韓国女優のチュ・ジャヒョンも当時はまだ26~27くらいと若く、とても可愛らしかったですけどね。
2022年現在、43歳になられてもまだ映画にドラマに活躍している様です。
現在は"蒼穹の剣"か"慶余年~麒麟児、現る~"のどちらかをみようかなぁ~って思ってます。
どちらにも、楚喬伝で皇女役を演じた[リー・チン]が出てるのでちょっと楽しみです。
でも慶余年はU-NEXTじゃないと見れないようで、アカウントを作るかどうか悩み中。
ドラマ見だすと書けないんだけどなぁ・・・




