EX.Episode.5:旭の憂鬱
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今回は旭さん視点の閑話です。
会話が多めになってます。読みにくいかもしれません、すみません。
私の名前は丸山旭。
ダンジョン対策機関、DCOの日本支部の職員だ。
私は少し特殊な業務をしている。
それが、担当受付だ。
通常、担当受付は5人ほどの特別枠ダイバーの方達を担当するのだが、私の担当ダイバーはたったの1人。
いや、1人と1匹と言った方が正しいか。
これは私が仕事ができないから、とかいう理由ではない。
というかDCOに就職するのはとても難しいことなのだ。
だから自然と職員は皆優秀な人達が集まってくる。
なのになぜ、私の担当が1人なのか。
それは担当ダイバーに理由がある。
私の担当、夕凪陽人君。そして陽人君のバディのルナちゃん。
この子達は日本では他にいない、一般人の特別枠ダイバーなのだ。
★ ★ ★ ★
今日は一日非番の日だ。
昨日から陽人君はダンジョンにこもっている。
彼らは3日間ダンジョンに滞在するという初めての試みをしている。
その中一日がちょうど私の非番の日だった。
心配だが、彼らはおそらく日本で1番優秀なダイバーと言える。
明日無事に帰ってきてくれることを願っていた。
もちろん何かあればすぐに駆けつけられるようにしている。
そして今日は久しぶりに友人と会う約束をしていた。
約束の場所に行くと、すでに友人は到着していた。
「侑香!久しぶり!」
「旭〜!久しぶりだね〜!元気してた〜?」
この小柄で髪を明るく染めた女の子は松村侑香。私の高校からの友人だ。
今日は侑香とショッピングの約束をしていた。
たわいないことを話しながら、いろんなところへと行くが、私の頭の隅には、ダンジョンにこもっている彼らのことがあって、時々ぼーっとしてしまっていた。
夕方、侑香と一緒に行きつけの居酒屋に入る。
ここは個室になっていて、よく男性から声をかけられる私たちにとってはよくくる場所だ。
「ねえ、旭?今日どうしたの?ぼんやりしてない?」
「なんでもないよ!ちょっと考え事してただけ。」
「んー?怪しい。もしかして男の人のこと考えてる?」
「ちっ、違う!そんなんじゃない!」
「あれ〜?何その反応?隠しちゃダメだよ〜?」
「ほんとに違うって!はあ、」
「好きな人でもできたの?」
「そうじゃなくて...侑香は私の仕事のこと知ってるでしょ?」
「うん、知ってる。それと関係あるの?」
「えっとね、担当のダイバーの人が昨日からダンジョンにこもってるのよ。出てくるのは明日。」
「ああ、それで心配してたの?」
「うん、ワンちゃんも一緒だから会えないの寂しくて...」
「ワンちゃん!?てことは特別枠の人だったの!?旭、私の想像より遥かにすごい仕事してんじゃん!」
「あんまり大きな声で話さないでよ。個室とは言っても聞かれちゃうかもしれないじゃん!」
「はいはい、ごめんね。それでさ、ワンちゃんといえばあの動画だよね〜!男の人とワンちゃんがモンスター倒すやつ!あの人と知り合いとかじゃないの!?もしかして担当だったり!?」
「ちっ、ちがうよ!担当の人の犬とは全然違う!」
「担当の人のワンちゃんはどんなコなの?」
「えっとねぇ、まず毛並みが最高にモフモフで〜、人懐っこくて〜、お目目が可愛くて〜...」
「あっ、長くなりそうだからもう良いわ。」
「え〜?語りたかったのに〜!あっ、そういえば侑香は彼氏とうまくいってる?」
「ああ、あいつ?2ヶ月前に別れたよ!」
「ええ!?なんで!?」
「だってあいつさあ。『俺はダイバーになる!』とか言って試験に行く前に『気合入れていくぞ!』ってピンクのモヒカンにしたんだよ!?あれはない。もともと終わりかけてた気持ちもそれで完全に終わったの。」
「ピンクのモヒカン...やばい人じゃん。」
「ね!そう思うよね!それでもう嫌い通り越して無関心だよ。今何してるとかも知らない。新しい恋見つけないとなあ〜。」
「そうだね〜」
「旭は誰か良い人いないの?職場にムキムキ自衛官とか来るんじゃない?」
「んーあんまり良い人いないかなあ。」
「へえ?ほんと?担当の人はどうなの?」
「いっ、いや!陽人君は違うよ!そんなんじゃない!」
「なに!?その反応!陽人君!?もしかして年下?ね!どんな子?好みなの?イケメン?」
「もう、ちがうったら!陽人君はねえ、今大学生ですっごく良い子なの!顔は、普通にモテそうだと思うけど...」
「ふーん、じゃあ今度その子紹介してよ!私年下もありだからさ!」
「なっ!ダメ!陽人君みたいな純粋で良い子はあなたにはもったいないわよ!」
「旭はその子のこと気になってるんだ〜?ねえ、旭って年下が好みじゃなかったっけ?」
「気になってなんかない!ま、まあ年下の子を甘やかしたいって願望はあるけど...って何言わせてんのよ!」
「旭が勝手に言ったんじゃん。で?何かお世話してあげたんでしょ?旭って料理得意だったよね?」
「べっ、別にお弁当作ってあげたのは親切心からだから!下心なんてない...あっ!」
「へえ〜!!お弁当作ってあげたんだぁ!陽人君はなんて言ってくれたの?」
「ああ、なんで言っちゃうの私...。おいしいって言ってくれたわよ!」
「じゃあ胃袋は掴めたって感じかな?よかったじゃん、一歩前進だよ!」
「そうかなあ、なら良いんだけど...ってちっがーう!前進しようとしてない〜!」
その後私はからかわれ続け、侑香と別れる時までたじたじだった。
★ ★ ★ ★
次の日、私は東京駅ダンジョンの前まで来ていた。
今日の夕方、あと20分ほどで、彼らがダンジョンから出てくる、約束の時間だ。
空は夕焼けで赤く染まり、私はダンジョンの入り口の近くで待っていた。
すると入り口から二つの影が現れた。
「あっ!旭さーん!ただいま戻りましたー!」
「わおん!」
2日ぶりに陽人君を見ると、安心感と少しの胸の高鳴り。
いやいや!ないから!侑香に言われてちょっと意識しちゃってるだけだから!
その考えを振り払い、誤魔化すためにルナちゃんを撫でる。
ルナちゃんに甘えられるとその考えはどこかに行ってしまった。
見たところどこも怪我などはしていないようだ。
「おかえり!2日ぶりだね!怪我はない?」
「はい!大丈夫です。」
「じゃあ家まで送るね!明日報告を聞くからDCOに来てくれる?」
「わかりました。いつもありがとうございます。」
その後、車で彼らを家まで送り届け、職場へと戻った。
そして携帯を見てみると、侑香からメッセージが来ていた。
『どう?ちょっと会わないだけでドキッとしたでしょ?』
私は思わず叫んでしまった。
「ちがうからぁ!!」
その途端、職場が静まり返り、全員の視線がこちらを向く。
「はっ!!なんでもないです!なんでも!」
次会ったら絶対シメる。そう決まった日だった。
初の旭さん視点のお話でした。
今後もあるかもしれません。
ピンクのモヒカン...?あれ...?
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