Episode.21:黒魔石の価値
今回ダンジョン攻略はありません!
9月29日正午時点で、日間ランキング6位になりました!
読者の皆様、ありがとうございます!
陽人視点スタートです!
俺とルナがダンジョンから出ると、30分前くらいに旭さんから着信があったようだ。
ダンジョンの中は電波が通じないので気付かなかった。
とりあえず旭さんにかけなおしてみる。
『もしもし!?陽人君?ちょっとすごいことになったよ!ニュース!ニュース見て!!』
旭さんに電話をかけるとすぐに旭さんが出て、興奮したような声でニュースを見ろと催促してきた。
スピーカーにして繋いだまま、ニュースを見てみる。
話題のニュースランキング1位にはこう書いてあった。
《従来の魔石の150倍のエネルギー量を持った【黒魔石】が日本のダンジョンから発見される!!》
「ええ!?150倍!?」
『すごいでしょ!?すごいでしょ!?陽人君が前に持ってきたアレだよ!研究チームが研究してたらしいんだけどね!』
「150倍はすごいですね...!」
『ね!それで報酬出るから日本支部に来て欲しいの!』
「わかりました。ちょうど終わったとこなんで今から行きますね」
『今終わったの!?なら今から迎えに行くわ!ちょっと待ってて!』
旭さんはそう言うと電話を切った。
俺はルナが進化したこと言うの忘れたなーとか思いながら待つことにした。
★ ★ ★ ★
ダンジョンから出ると主人はお姉さんに電話をかけ始めた。
すぐに相手は出て、なにか興奮したような声で言っていた。
電話が終わると、主人と一緒にディーシーオーに行くことになった。
少し待つと担当受付のお姉さんが車を運転してダンジョンの前までやってきた。
車から降りてきたお姉さんはボクのことを見て固まっていた。
いつものようにすぐに撫でてくれるのかなと思っていたので、とりあえず擦り寄ることにした。
「くうん?」
するとお姉さんは手を口元に当てて変な声を出した。
「かっ!」
主人は首を傾げている。
「かっ?」
「わふ?」
「かわいいぃぃぃ!!!」
主人はなぜかよろけていた。
あとで主人に聞いたがアレはずっこけるっていうらしい。
お姉さんはボクの背中を撫でながら顔を首あたりに埋めていた。
「なに!?なんでルナちゃんがこんなにモフモフふさふさ激かわ美人犬になってるの!!??」
「ああ、進化しました。あと正確には犬じゃなくて狼ですね。」
「え!?狼!!??進化したら狼になったの!?」
ボクを撫でながら主人とお姉さんはいろいろ喋っていた。
その後ボクと主人は車に乗ってディーシーオーまで移動した。
★ ★ ★ ★
車で迎えに来てくれた旭さんはルナを見て、まあ予想通りというか、そんな反応をしていた。
ルナが擦り寄っていくと、かわいいと叫びながら背中撫でたり頬擦りをしたりしていた。
さすがはルナ。旭さんでさえも一瞬で虜にしてしまう毛並み、かわいさ!
ルナのことを軽く説明して、車に乗ってDCOへ向かう。
道も空いていて10分くらいで日本支部に到着した。
旭さんに案内され、今まで使ったことのない個室に通された。
そこには金剛さんが待っていた。
「おう!ハルト!久しぶりだな!お前の見つけたあの黒い魔石、すごいモンだったなあ!」
「はは、まさかあんなにやばい物だとは思ってませんでした。」
「アレはな、実は他の国のダンジョンでも見つかっててな、研究しようとしてたところだったらしい。ウチの国は黒魔石研究で最初の成果だ。アレを提供してくれたハルトのおかげだ!感謝する!」
「いえ、自分には必要ない物だったんで。」
「そうか。早速だが報酬の話をしよう。アレには通常の青い魔石の150倍のエネルギーが含まれてるって正式に研究結果がでた。それであれの基本価格は通常の魔石の150倍、同じ大きさの魔石は1000円で買い取るから、あれは15万円だな。」
「はあ!?15万!?あの黒い石ころに!?」
「ああ、妥当だ。報酬額は15万。もし今オークションに出してたらもっとすごい値段がつくだろう。」
「あの、えっと...」
「なんだ?言いたいことでもあるのか?」
「いや、その今までのダンジョンの成果の報告全くしてなかったんですけど...実は...」
俺は申し訳なさそうにアイテムポーチから机の上にもう二回り大きい黒魔石を出し、置いた。
金剛さんは絶句して、俺とその黒魔石を二度見してから、横にいたルナと俺のアイテムポーチ、腰につけた剣を順に見た。
「えっと、どこから説明しますかね?」
「全部だ。時系列順に全て話してくれ」
俺は鑑定眼で見た情報を伏せ、説明することにした。
「えっとまずこの剣ですけど、東京駅ダンジョンの3階層のボスを倒した報酬です。名前は"狂鹿の剣"って言うらしいですけど効果はわかりません。でもめっちゃ切れます。で、その黒魔石はそのボスを倒した時に落ちた魔石です。そしてこのポーチですけど、これあのアイテムポーチです。容量は100Lらしいですね。新宿の3階層のボスを倒した報酬でした。ルナの件ですけど今日の2回目の進化でこうなりました。種族は【黒狼】。黒い狼ですね。こんな感じです。」
金剛さんは天井を仰ぎ見たあと、俺にいろいろと聞いてきた。
「なるほど。なかなか濃い報告だな。その階層ボスはどんなやつだった?」
「東京のボスはでかいヘラジカですね。ステータス音声によると"マッドエルク"っていう名前でした。新宿のボスは牛です。闘牛って例えたらわかりますか?こいつはステータス音声によると、"マッドブル"っていう名前でした。」
「ふむ、確かフランスのアイテムポーチを落としたボスの名前もマッドブルだったはずだ。中国の方は違うモンスターだったらしいが。しかも100Lか、今のところフランスの物と一緒だな。中国の方は50Lらしい。」
「なるほど、なら当たりですか。」
「というかそのコンパクトさで50L入るのも破格だがな。ましてや100Lとなるとな。」
「これオークションに出したらいくらつきますかね。」
「いくらでも。それを欲しいと思うやつはいくらでも出すだろう。出すのか?」
「いえ、これは売らずに自分で使います。めっちゃ便利なので。」
「そうだろうな。それで?ルナはなんでこんなんになった?」
金剛さんはルナを抱き上げ、膝に乗せて撫で始めた。
ルナも気持ち良さそうに身を任せている。
「ルナのレベルに上限があったんです。自分のステータスからルナのステータスが見れるんですが、それが2回目の上限に達すると、今の姿に進化しました。」
「一度目も驚いたが、二度目でここまで変わるとはな。黒狼だったか。能力に差はあるのか?」
「完全に違いますね。スピードもパワーも底上げされてます。武器なしだと俺は負けるかもしれません。」
そう言うと、金剛さんは驚いたようにルナを見つめた。
「こんなに可愛いのに?信じられん。」
おや、金剛さんもルナのかわいさにやられていたようだ。
「はい、それで黒魔石なんですけど、オークションに出そうと思います。」
「わかった。実はウチの特別枠に物を鑑定できるスキルを持ったダイバーがいてな。そいつの鑑定を通してからオークションの許可を出そう。そいつを呼ぶからちょっと待っててくれ。」
なんと鑑定できるダイバーがいるらしい。俺の鑑定眼と一緒なのか気になった。
「わかりました。」
少し待つと、なんと俺たちの試験官をしていた高崎さんがやってきた。
「あ、どうも。お久しぶりです。」
「おや、君は確か私が試験官をした...」
「あ、はい、夕凪陽人です。」
「そうでした。夕凪君。それを持ち込んだのは君ですか。将来有望ですね。」
「ありがとうございます。それで、鑑定できるっていうのは...」
「ああ、それは私のユニークスキルで【鑑定】というものがあるんです。生物には使えませんが、物で有ればなんでも鑑定できるのですよ。」
俺の鑑定眼はモンスターなどもみることができた。てことは鑑定眼の下位互換のスキルが鑑定ってことか。
「なるほど。すごいスキルですね。」
「早速それを鑑定してみましょうか...ほう、なるほど。支部長、これは黒魔石で間違いありません。大きさは中ということです。」
「うむ、ならばオークションに出しても問題ないな。さて、出品手続きをしようか。あとは報酬だな。高崎、丸山を呼んできてくれ。あいつはハルト担当だからな。」
「わかりました。では、夕凪君、また会いましょう。」
「あ、はい。さようなら。」
高崎さんはさっさとでて行ってしまった。
すぐに旭さんが書類を持ってやって来て、書類に目を通し、目の前でパソコンから出品が行われた。
入札期限は2日後。最低価格は75万円からのスタートだった。
その日は黒魔石[極小]の報酬をダイバーになるときに作った報酬用の口座に振り込んでもらい、新しく獲得したアイテムとルナの写真を撮られて終了した。
家でオークションサイトを確認すると、すでに日本円で100万円を超えていた。
2日後には現実味のない高額で落札されることになる。
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