Episode.17:1匹と1人、新たなダンジョンへ[夕]
陽人視点スタートです!
"なにか"出てきます!いつもより長めです!
この階層に入った瞬間、俺の感知スキルが反応した。
それは威圧感。なにかいるという違和感。
ルナと共にコボルトにもマッドゴートにも対峙したが、違う。こいつじゃない。
ルナが俺に知らせてくれる。
「わおん!わふ!」ボア!2体!
「2体!?わかった。ルナは1体引き付けてくれ。」
そう言った瞬間、斜め前からマッドボアが2体突進してきた。
ルナは1匹を挑発して引き付けている。
身体強化ともともとの速さのおかげで、マッドボアは全く追いつけていない。
俺は前から突進してくるマッドボアを躱し、すれ違い様に身体強化の乗った剣戟を浴びせた。
胴体に大きな傷をつけたマッドボアは明らかに鈍くなった動きで突進してくる。
しかし、俺はまた躱して今度は首を斬った。
<マッドボアを討伐しました。経験値を取得します。>
「よし、ルナは...ッ!?なんだ!?」
ルナの方に行こうとした時、俺の感知スキルが今日1番の反応をした。
<眷属ルナがマッドボアを討伐しました。経験値を取得します。レベルが14に上がりました。>
ルナは問題なくマッドボアを倒したようだが、俺はそれどころではなかった。
右前の方から、大きな影が近づいてくる。
「わおん!!」大丈夫!?
ルナが戻ってきた。口にはマッドボアの魔石をくわえている。
俺はそれを受け取ってポーチにいれると、右前からくるモンスターを見つめていた。
そいつは大きな角を持った鹿だった。
ただ、デカい。肩までの高さが優に2メートルはある。
そして極め付けはその角。
かなり頑丈そうな角はいわゆるヘラジカのような形だった。
鑑定眼!
【マッドエルク】
「マッドエルク!?やっぱりヘラジカみたいなやつか!」
マッドエルクから伝わってくる威圧感は今までのモンスターよりも遥かに強い。
それだけでこのモンスターがいかに強力かわかる。
おそらくこの階層のボスモンスターなのだろう。
遠目に見えていたマッドゴートやマッドシープは見えないところまで逃げていった。
「ルナ、こいつと戦わなきゃ次にはいけない。ここで倒そう。」
俺はそう言って剣を抜いた。
「わん!!!!!」
ルナも気合十分。俺達とマッドエルクの戦いが始まった。
★ ★ ★ ★
<マッドボアを討伐しました。経験値を取得します。レベルが5に上がりました。>
よし、レベルアップだ。魔石を持って主人のところに戻ろう...えっ!?
なんだ!?この匂い!嗅いだことのない匂いだ。
でもボクの本能が言っている。
強い!!ボクだけじゃ絶対に勝てないような相手だ。
主人の方に近づいてきている。早く戻ろう。
主人の下に戻り、そのモンスターが視界に入る。
おっきすぎる!主人よりもおっきい!
主人はあいつの名前をマッドエルクと言っていた。
やらなければやられる!やるしかない!
「わん!!!!!」
そいつは突進してきて、ボクらを踏み潰そうとしてきた。
ボクは身体強化を使い、背後に回り込む。
そして後ろ足に噛みつこうとしたが、そいつは後ろ蹴りを放ってきた。
避けられず、後ろに吹っ飛ばされる。
「キュゥ〜」痛い!
めっちゃ痛い!立ち上がるのも痛い!
でもまだ動ける!
あの後ろ蹴りを喰らわないように今度は真横から攻撃しよう。
主人はあいつの胴体に攻撃しながら傷を作っている。
ボクだってできることはあるんだ!
行くぞ!
「ワオーーン」
よしこっちに意識が向いた。
その隙に主人がまた剣で攻撃する。
するとまた主人に向かって攻撃しだした。
ここだ!!
「ガウッ!!」
ボクはそいつの後ろ足に噛み付いた。
よし!この感じで攻撃を続けたら勝てる!
★ ★ ★ ★
クソッ!こいつ強い!
ルナがいつものように回り込んだら後ろ蹴りで吹っ飛ばしやがった。
しかもめちゃくちゃタフだ。何回斬っても倒れない!
ルナは痛そうにしている。俺の可愛いルナを蹴っ飛ばしやがって。絶対ブチ殺す!
何回も剣戟を浴びせていると、起き上がったルナが遠吠えのように吠えた。
マッドエルクはそちらに注意を向けた。
「隙ができた!ナイスルナ!」
俺はそのうちに首と目に剣を当てた。
そいつはまた俺の方に攻撃してきた。
そしてその時、ルナが後ろ足に噛み付いた。
なかなか効いたようでマッドエルクはよろけた。
よし!いけるぞ!
俺とルナはそれを繰り返しながら、戦う。
そして戦いが始まってどれくらいだろうか。
とても長く感じたその戦いは俺とルナの勝利で終わりそうだった。
マッドエルクはもうボロボロで、身体中の至る所に傷がついていた。
そしてついに。
「ガオゥ!」
ルナが噛み付いた瞬間、マッドエルクが倒れ、形を失っていった。
<階層ボスのマッドエルクを討伐しました。経験値を取得します。レベルが15に上がりました。>
「よし!倒した!やったなルナ!」
「わふぅー」疲れた
「お疲れ。蹴られたとこは大丈夫か?」
「わおん」大丈夫
鑑定眼でみてみると、ルナの体力は10減っており、約3分の1が減っていた。
<階層攻略報酬として、【狂鹿の剣】を獲得します。また、スキル【感覚強化】を夕凪陽人と眷属ルナに付与します。>
そのメッセージが聞こえた後、マッドエルクの倒れた場所に、魔石と一緒に刀身が淡く光る一振りの剣が現れた。
それを鑑定眼でみると。
【狂鹿の剣】
この剣を装備した者の身体能力10%アップ。
装備者の攻撃力に応じて斬れ味を強化する。
「すごいな。なかなかの武器だ。鑑定眼によるとこれを装備するデメリットもないし、装備はしていいな。」
そしてその剣を手に取り、魔石を拾い上げる。その魔石は黒い色をしていた。
そしてルナを撫でて、体力が回復するまで休憩していると、スマホのアラームが鳴った。
「えっ!?もうこんな時間か!めちゃくちゃ長く戦ってたんだな。もう動けるか?ルナ?」
「わふ」いける
よし、ならここから出るとしよう。
★ ★ ★ ★
そしてボクと主人はダンジョンの外に出た。
ちょうど夕暮れ時で、空が赤く染まっていた。
少し約束の時間を過ぎてしまったようで、お兄さん達が慌ただしく動いていた。
しかし、ボクと主人が出てくると、
「あっ!帰ってきた!たいちょー!!帰ってきましたよ〜!!」
お兄さんがそう呼ぶと、なんか色々身につけた隊長さんが走ってきた。
「ああ、良かった!無事だったんですね!今、ちょうどDCOに連絡するところだったんです。いやぁ何事もなくてよかった。」
主人はその後いろいろ話していたようだが、ボクは何にも聞いていない。
なぜならボクはお兄さん達にもみくちゃにされていたからだ。
疲れていたのですぐに眠くなってしまい、なでなでが心地良くて眠ってしまった。
(おい!ルナたん寝ちゃったぞ!)(疲れてるんだよ!寝かせてあげろって)(そうだな、毛布持ってこい!そこに敷いて寝かせよう)
なんか眠る直前にいろいろ聞こえた気がするが、次にあったかい毛布の中で目覚めた時には忘れていた。
沢山の方々に読んでいただけているようで感謝感激です!
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【名前】ルナ
【種族】犬 (シベリアンハスキー【変異種】)
【称号】夕凪陽人の眷属,先駆者,進化する者
【Level】6(6/10)
【経験値】0/30
【体力】34
【魔力】0
【攻撃力】23
【防御力】21
【素早さ】63
【運】90
【スキル】噛みつき(Level.Max),咆哮(Level.1),感知(Level.1),隠密(Level.1),身体強化(Level.5),威嚇(Level.4),感覚強化(Level.1)
【ユニークスキル】言語理解(Level.Max),伝心(Level.Max)
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【名前】夕凪陽人
【種族】人間
【称号】先駆者
【Level】15
【経験値】0/30
【体力】40
【魔力】0
【攻撃力】30
【防御力】31
【素早さ】36
【運】50
【スキル】体術[改](Level.1),隠密(Level.1),剣術(Level.7),身体強化(Level.5),感知(Level.3),感覚強化(Level.1)
【ユニークスキル】
【エクストラスキル】鑑定眼(Level.1)
【眷属】ルナ(犬)
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