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第7話 もう・・・罪もない人を殺さなくていいんだね・・・

長持ちしそうで簡単に持ち運べる食糧を2人で10日分買い、俺たちは村をでた。

村をすぐに出た理由は2つあった。

一1目は、先ほど立ち寄った村はこの国の最南端で国境に最寄りらしい。

つまり南に向かえばこの国を出られるということだ。

そしてもう1つが兵士の来訪だ。

国直属の兵士が3日後に村に来ると聞いた。

おそらく俺たちを追って来たのだろう。

俺達は逃げるように村をでて南に向かって歩き始めた。


「…だんだん暗くなってきたな」


夕方になり赤く染まった太陽が俺達を照らす。


「しょうがない、野営するか」

「さっき買った寝袋ぼろもあるしね」


俺達は近くの遺跡跡地のような場所に隠れた。

隣では上機嫌にナツが寝袋をとりだす。

俺は久しぶりに上機嫌なナツを見て少し安心した。

急に異世界という見知らぬ土地でこんな目にあっていたらずっと無意識のどこかで緊張していただろう。

そんなナツが初めて楽しそうにはしゃいでいる。

そんなナツを横目に俺は飯の準備を始めた…といっても堅い乾パンに水だけどな。


お腹も膨れた俺達は疲労もあり、すぐに眠りについてしまった。



視点は変わり、とある平原の岩の上。


「私はこれしか知らない」


フードを深く被った少女はつぶやく。


「だって、こんな力の使い方しか教えられなかったもの。」


少女は岩から飛び降り夜の闇に溶ける。

そして…。


「捉えた」


男女の旅人。

王城から逃げ出した二人の始末。

それが私の命令。

だから殺す。

まずは女だ。

悲鳴を上げられたらめんどくさいからだ。

死が近づいているにも気づいてない様子で眠る女の喉に一刺し。

音に気付いて寝起きの男に一刺し。

それで終わるはずだった。

しかし。

突然真下に降りているはずの自分の体が真横にとんだ。

それに遅れてやってくる痛み。


「…っあ」


言葉にできない痛みが脇腹を襲う。

何が起きた?誰がした?どうやって?

思考がさまよい続けている間も体は咄嗟に逃げていた。

私は暗殺者だ。わけもわからない相手と正面からやりあうものではない。

状況把握のためにも距離を。

そこまで考えていたところに背中から強い衝撃が襲う。

そこで気づいてしまったんだ。


手を出してはいけない相手だったんだ。

これは常人の手に負える敵じゃない。

そして自分の死を。


その中でも私は思ってしまったんだ。


「もう…人を殺さなくていいんだね…」


視界が歪んで見えない。

いつからだっけ…涙も流せなくなっていたのは。

その瞬間私の視界は暗転した。


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