第2話 祝福
「祝福?」
俺たち全員が首を傾げる。
王女の説明をまとめるとこうだった。
召喚時に召喚された人の人生から強い心象を能力として特別な力にして与えたと。
それは王女の近くにある水晶でわかるということだった。
そして全員が水晶に触れ終わったところだった。
「皆さん自身の能力がわかったことでしょう。これから1ヶ月訓練していただきます。今日のところは待機してください。」
そう言われ今全員が大部屋で待機している。
とは言え、みんな特定のグループで集まっているが…。
まぁ、ボッチの俺としては入るグループもなく隅っこで考え事を始める。
まずあの人達は俺達のことを戦争の道具としてしか見てないだろう。
あの態度に騙されがちだが、
俺達のことすら聞かなかったこと
俺らに「助けてください」と言わなかったこと
場内の様子や城の廊下の途中で見えた外を見て違和感があったが
戦争中とは思えない活気に、兵士の余裕さだ
おそらく俺達がここにいようといないだろうと戦争は勝って終わるのではないだろうか。
そうでなければ1ヶ月なんて待つわけがない。
戦争で重要なのはのびしろではなく即戦力だからだ。
…この状況やばいんじゃないか?
いや、もちろんそうとは限らない。
しかし怪しすぎだろう。
俺は少し悩んだ末に
「よし、この世界を見て回りたいし脱出するか」
俺はここからの脱出を決意した
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私は白井 夏紀。
普通の高校生…だった人だ。
急に異世界(?)みたいなところに飛ばされて「祝福」というものをもらった私はもう普通の高校生とは言えないだろう。
現在大部屋で暮らす全員待機させられているけど…正直不安でしかない。
私はいつもいる女子グループに紛れているが
「異世界まじやばくね」
「電波届かないんだけど~」
クラス委員長はいまだに黙り込んだままだし…状況がわからないまま下手になにかいうよりはいいけど…。
(冬希なら…冷静な判断で私達を助けてくれるのかな)
ふとそう思い私は部屋の隅を見る。
しかしそこに彼の姿はなかった。
よく見ると部屋の扉が少しだけ開いていた。
(こんな時に一人行動?)
疑問に思った私は部屋を出た。
その5分後にあっさりと冬希は見つかった。
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俺はまずこの国の王女の部屋を探した。
おそらく今頃、俺達の今後の扱いを考えているはずだ。
その作戦さえ分かればまだ今後の身の振り方を考える材料になる。
そう思い、女王の部屋を探していたのだが…。
「見つけた」
変に警備が厚く、頑丈そうな扉だ。
俺は気配を消して扉に近づく。
「あいつらは―――に利用して―――――すでにーーーは始まってる。」
中から時々途切れて聞こえる声は紛れもなく女王の声だ。
しかし予想が当たってしまった。
俺たちは協力ではなく利用されてしまうらしい。
「冬希…?」
背後からの声に急いで振り返ってしまい、足元のトラップにかかってしまった。
ビーっと鳴り響く警告音に俺は確信した。
この女王は俺達に害意があると。
「え、何これ!?」
後ろの女性が急に鳴り響く警告音に驚いて立ちすくんでいる。
しかし俺はその女性に見覚えがあった。
「夏紀!?」
俺の幼馴染、白井 夏紀がそこにいた。
できるだけ毎日投稿しようとおもいます