第15話 暗影の暗殺者
「さてさて、宿から離れたし…出てくるかな?」
アリシアは暗殺に適した路地裏の暗闇に敢えて自ら入り込んで誘い出すことにした。
そして案の状出てきた暗殺者は2人。
「おい嬢ちゃん、2対1では流石に勝てないだろう?大人しく諦めな」
「そうね~、でも案外どうにかなるかも?」
言い切る前に手首のスナップだけでナイフを投擲する。
1人の片足に突き刺さり動きを封じたところで影魔法でもう1人の背後から影を操る。
「シャドウスピア」
操った影で刺し貫き、もう1人も同じ手順で殺す。
「こいつ!」
仲間が殺られて冷静を欠いたのか1人待ち伏せていた刺客が背後から飛び出してくる。
「やっぱり3流ね、あなた達」
後ろからのナイフによる斬り込みを見ずに回避し、首筋に自分のナイフを押し込む。
血しぶきが派手に舞う。
「あと1人いるでしょ?」
「…よくお分かりで」
どこからともなく背後に現れたフードの男に驚かずに話しかける。
「まさか国外に追撃に来たわけじゃないでしょ、どこからの依頼?」
「追われている、ということはやはり国外。それも最近うわさに聞いた勇者の1人か」
勇者召喚の儀式は莫大な魔力を消費すると聞いた。
そのおかげで勇者が召喚されたのではと噂になったのだろう。
「じゃあ、無益な殺しがないようにするために忠告してあげる。私は勇者じゃないわ」
「それは知っている。勇者はあの黒髪の男女であろう」
「いい洞察力ね、女性のほうはわかるかもしれないけど少なくとも男性のほうはわからなかったんじゃない?」
冬希はこの街に来た時からこの街には何回か来たことがあるように振舞っていた。
内心本当は勇者じゃないのかと騙されたくらいに。
「それは迷ったが結局、髪の色と女性への気の使い方から同郷と判断した」
「なるほどね、それでどうするの?」
「我々の目的はお前達が何をしにこの国、街に来たのかだ。返答次第では殺さないといけないからな」
「そう、なら安心して。私達は逃げてきた。つまりイルステルの敵よ」
「…それを証明するものは?」
「私自身…かな?」
「ほう?」
「暗影の暗殺者って言ったらわかるかしら」
「…ほう、貴様が」
「そうゆうことよ。だからわかるでしょう?今どちらが死の瀬戸際にいるのか」
殺気。そんな生易しいものではない圧力を感じるほど濃ゆい殺気にあてられ、冷や汗と共に飛びのく。
「私がその気ならとっくに殺してるわ」
「…承知した」
そういって男は闇に消えていった。
「これで引いてくれると助かるのだけど」
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