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2.辺境猫伯爵

 翌日朝食を済ませた私は、ジェイルーン様の部屋を訪ねた。……余談ですが、明るい時間に訪ねてみて、私の部屋を出て最初の角を曲がってすぐにジェイルーン様のお部屋があり、意外に近かったことが分かりました。

「おはよう。早速だけど、ニーナに見てほしいものがあるから着いて来て」

 ジェイルーン様の後ろを着いて歩き、案内された部屋に入るとそこには沢山のネコたちがいた。

「〜っ!……かっ、可愛い!」

「ふふ。ニーナならそう言ってくれると思った」

 あまりの可愛さについ我を忘れて悶えていると、ジェイルーン様が優しい顔をしてこちらを見ていた。おそらくネコを見ているのだろうけどなんだか気恥ずかしさを感じてしまい、気を取り直して気になっていたことを聞いてみる。

「あの、この子たちは一体?」

「捨てられた子や沢山産まれて引き取り手のいない子をわたしが引き取ったんだ。このままわたしが面倒を見るのでもいいんだけど、もう昔からの癖でこの先もネコは増えると思う」

 部屋の中で快適そうに過ごしているこの子たちにそんな事情があったとは。でも確かにネコたちは可愛いけれどこのまま増え続けるとお互いに大変になると思う。だからこそ、ジェイルーン様はこの子たちの世話を手伝ってくれる人が欲しかったのだろう。

「つまり、仕事の空き時間にこの子たちを見れば良いのですね?」

「いや、そうじゃない。今日からニーナの職場はここだよ」

「んん?ど、どういう…」

「以前から考えていたことを王に相談して、この屋敷にいるネコたちに新しい引き取り手、つまり里親を探すことになったんだ。だから、この子たちはいつ引き取り手が現れてもいいように色々と準備が必要になるんだ」

「確かに、そうなれば色々とやることがありますね」

「勿論わたしも手伝う。ただ仕事があるから付きっきりとは言えないが…。ニーナ、君はネコが好きだったよね?だからこそいずれここを出る子たちに愛情をもってせっしてくれるだろうと思ったんだ」

 ジェイルーン様の言う通り、私はネコが好きです。けれどそれだけでこんな大事なことを渡しに任せてしまっていいのでしょうか?そんな考えが頭の中を占領し始めると、私の考えを読み取ったかのように

「心配しなくていい。わたしが君に頼みたいと思ったんだ。君にしか頼めない…良ければ頼まれてくれないか?」

と、優しくいったのでした。微笑みと、私の頭を優しく撫でるというオプションまで付けて。

 今更言いますが、ジェイルーン様は十人中十人が言うであろう『見た目麗しき方』なのです。背は高く頭も良ければ、剣術にも長けている…つまりは完璧なお方ということです。

 そんな人にこうまでされたら、断るにも断りづらいでしょう。

「……私でよければ、お引き受け致します」

 そう伝えれば、満足そうに微笑み再び私の頭を撫でます。

「ありがとう」

(なんだか、子ども扱いをされている気分だな……)

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