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1.私の仕える主②

 私の母も実はあのお屋敷でハウスメイドとして働いていました。もともと奥様とは親友だったらしく、奥様の計らいで私も小さい頃は何回か屋敷に連れて行ってもらっていて、その時出会ったのがジェイルーン様でした。

 お屋敷に行ったのはたった数回だったけれど、私より4つ年上のジェイルーン様はとても頼りがいがあって私は兄のような存在に感じ困ったときは母の次に相談する相手でした。


「今日からこちらで一緒に働かせていただくニーナです。よろしくお願いします」

 あの日家に戻った私は支度を頑張って2日で終わらせ、今日よりお屋敷でのお仕事を始めることに。簡単に仕事の説明を受けた後、指定された持ち場へ向かう。

 歩き始めてすぐ、誰かに声を掛けられた。

「ニーナさんでしたよね?」

声のした方を見ると、茶色の髪をした背の高い若いメイドさんが立っていた。

「はい。ニーナです」

「私はターシャ、18歳なの。ニーナさんは?」

「私は16歳です」

「えぇっ、私より2コ年下なのね!でも良かった。ここってあまり若い人いないじゃない?だから年の近い子が入ってくれて嬉しいの!」

ふふ。とターシャさんは微笑んだ。

 確かにターシャさんの言う通り、私たちのように若い人は少ないらしく見当たらない。

「あまり話をしていると怒られちゃうわね。またお昼のときにでも話しましょ」

「はい!」

 ターシャさんと別れ、私は今度こそ自分の持ち場へと向かった。


   ◇ ◆ ◇


 とある相談を終え、城を出ようとしていた時だった。

 会いたくないので、会わないよう最新の注意を払っていたのに。会いたくない人物が目の前に現れた。

「あれ、ジル。もう帰っちゃうのかい?」

「……まぁ。用事は済んだし、早急にやらなきゃならない仕事があるから」

 奴……アドゥイはこの国の王子で、わたしとは遠い親戚にあたるらしく、幼い頃から学友として共に過ごすことが多かった。

「あー、早急にやらなきゃって、例のアレでしょ?全くさー、もの凄い私情を挟んでるよね〜」

「別に私情は……」

「はいはい、そういうことにしておくよ。後日改めてそちらに向かうさ。“最初の客”として」

 それだけ言うと、手をひらひらさせどこかへ消えて行った。

 さて、王に話は通した。あとは共に世話をし、譲る。その為の準備を早く終わらせなければならない。


(あともう少しだ)

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