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箱道庭歩
ガリガリの道と、ぶくぶくの庭があったような。
不確かな記憶。
そんなものの形跡を探して、歩いている。
たまに土を掘ってはミミズやら幼虫やらが眠っているのを見る。
のののぅ、のぅ。
最初はガリガリの道を歩いていた。
やがて、ぶくぶくの庭でお天道様に暖められた。
そしてまたガリガリの道を探して歩いている。
ぽっ、くり、ぽっ、くり。
ぶくぶくの庭で満足してりゃあ良かったのに。
また、歩きたくなる。
あの道を。
ガリガリの、のののぅ。
土が柔らかいのさ。
わからんよ。
靴を履いてるのさ。
わからんよ。
ぽっ、くり、ぽっ、くり。
こんなんじゃわからんよ。
手を土に埋めなきゃわからんよ。
靴はやっぱり、履いていないと落ち着かないんだものね。
庭から道に出るときに、靴を履くんだものね。
そういう事になってしまっているんだものね。
ほら、ベルが呼ぶよ。
靴を履くよ。
探したいねぇ。
いっそ、四つん這いで進もうか。
奇特なものになれども、手を埋めなきゃわからんよ。