イエスマンズ。
家の時計が、電池が一斉に切れてしまったようで、しかも、困ったことに電池がない。
「まぁ、そういうこともあるよね」
『あー、まぁどうでもいいか』
突然の雨。雨宿りできる場所もなく、書類も携帯もびしょびしょ。
「まぁ、そういうこともあるよね」
『あー、まぁどうでもいいか』
お気に入りのジーンズに穴が空いてしまった。冬なのに風通しが良い。
「まぁ、そういうこともあるよね」
『あー、まぁどうでもいいか』
時間のない合間に、チケットを取って楽しみにしていた映画。日にちを間違えていた。
「まぁ、そういうこともあるよね」
『あー、まぁどうでもいいか』
お隣のうちのだが、かわいがっていた犬が死んだ。
「まぁ、そういうこともあるよね」
『あー、まぁ…』
彼女にふられた。
「まぁ、そういうこともあるよね」
『あー、まぁどうでもいいか』
車にひかれた。
「まぁ、そういうこともあるよね」
『あー、まぁどうでもいいか』
困ったことに、右足が不随になってしまった。
「まぁ、そういうこともあるよね」
『あー、…まぁ』
父母、弟が死んだ。殺された。
「まぁ、そういうこともあるよね」
『あー、まぁどうでもいいか』
逮捕された。
「まぁ、そういうこともあるよね」
『あー、まぁどうでもいいか』
実刑判決を受けた。
「まぁ、そういうこともあるよね」
『あー、まぁどうでもいいか』
檻の中でも考えた。何も考えが浮かばなかった。
「まぁ、そういうこともあるよね」
『あー、まぁどうでもいいか』
そして、家族の顔を思い出した。
自分に怒り、悔しくて泣き、もうどうでも良くて笑った。
ずっと、そうだったのに、我慢してきた。
面識もない、何の関係もない。
遠く離れた場所の二人は。
【イエスマンズ】。
受け入れない、受け付けない、気にしない。
それは、いつぞ無理がくる話。
本当は1行目からストレスの話。