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亀らまん。
トイレは落ち着く。
狭くもなく広くもなく。
だからもはや奇天烈となろうが、我が家として住もうと思った。
便座に座り、パンツを下げて、別に何事もないのに、ただ居る。
あまりにも、快適だから、親戚がもて余した広い土地に家としてトイレを作った。
しかし、飲み水に困った。
水道はひいてあるから、ちょっとしたキッチンを隣に作った。
食事をして、またトイレに戻り、ボーッとする。
至福の時。
しかし、たまに刺激がないと平和ボケする。
だから、また隣に、小さな居間を作った。
そういえば、風呂にも困った。
やはり、隣に作った。
珍しいんだかなんだかと客が来るから、客室を作り、物が増えたので納戸を作り、
トイレを囲むように家が出来た。
ソファーで寝転び、テレビを見たり音楽を聴いたり。
脳にシビレが来て、突然に僕は起き上がった。
なんだ、こりゃ。
そういうことじゃなかったはずなのに。
僕は、ただ唖然とした。
家が出来たことじゃない。
住むべきはずの家。だった場所を、ずっと、「トイレ」と呼んでいた。