紫子様は今日も絶好調!?
主人公の名前は【ゆかりこ】と読みます。
誤字脱字は直す………かもしれません。
暇潰しに良ければどぞ。
「ほぅ……………………………」
「きゃあっ!紫子様が切なげな溜め息を吐いていらっしゃるわ~」
「あ~ん!紫子様のあの憂いを帯びた横顔…………美しすぎます」
「一体何をお考えになられていらっしゃるのかしら~」
ああ、やかましい。ちょっと黙っててくれないかしら?
私は今サインペンと、そのキャップで擬人化したカップリングで、素晴らしい妄想をしているのだから。
「…………皆様?少し声が大きくてよ?良家の子女ともあろう貴女方が、そのように落ち着きの無い態度では下々の者達から、笑われてしまいましてよ?」
「はうっ……。お美しすぎますっ!!」
「はいぃぃぃ!申し訳御座いません!!」
「直ちに黙りますので、どうかお許しくださいませっ!!」
やれやれ。ここは鷹揚に頷いておくのが定石ね。
「うふふ……。分かって頂けて嬉しいですわ」
オマケに微笑んでおこう。何か私が微笑んどけば、大抵の事は何とかなると経験上学習している。
「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁん♡」」」」
変な声を上げながらバタバタと床に倒れ込む少女達は、私立白百合女学院の生徒達であり、この生徒会の役員でもあった。
よし、うるさい奴等は始末しました。これでゆっくりと妄想に浸れますね。
私は王道が好きなのでサインペンはもちろん攻め、キャップは受けです。譲れません。
ですが幼馴染みの日夏ときたら、私とは逆カプ押しなんです。
どうしてなの?キャップはカチリとはまるでしょうがっ!はまったらもうそりゃ、受けで間違いないと思うのに日夏は、がんとして譲らない。
サインペンが誘うから仕方無くキャップは、サインペンにはめている………って事らしいです。
私に言わせればサインペンは暴君で嫌がるキャップを無理矢理………って感じですかね。
この問題はどっちのカプ萌えなのか、太古の昔より争われてきた。
今回はサインペン×キャップなのか、それともキャップ×サインペンなのか………現在この論争に終わりは無い。
私が脳内で妄想を巡らせていると、勢いよく生徒会室の重厚な扉が開いた。
バアンッ……………………。
扉から現れたのは生徒会の顧問である白鳥沢教諭であった。
「あら?白鳥沢先生………いかがなされました?その様にノックもせずに扉を開けますのは………」
「大変なんだっっっ!!!」
おい………今、私が喋ってたろう?最後までちゃんと聞きなさいよ。貴方は腐っても教諭だろがっ!
「……………何が大変なので…………」
怒りを抑えながら問い掛けると、白鳥沢教諭は落ち着かない様子で左右にウロウロしながら、またもや私の言葉を遮ってきやがった。
「一大事だっ!天変地異の前触れだっ!!」
コイツ…………2度目ですよ。少しは落ち着かんかい。
「………………ですから、一体なんですの?」
「いや、だから、そのっ…………ゴホゴホッ………ゲホゴホ…………」
慌てすぎてむせたんですね。涙目になりながら苦しそうに喉をおさえている白鳥沢教諭の姿に、少し胸がスッとしました。
私は自ら白鳥沢教諭に紅茶を用意して差し出してあげた。
「……ゴホゴホ……ありが………とう………っ………」
白鳥沢教諭は紅茶を受け取ると一気に煽った。
「ゴクゴクゴクゴク…………っぷはっ!!」
ぎゃっ!汚なっ!最後、紅茶が口元から溢れて顎を伝って床に落ちました。後であそこは入念に業者の者に清掃を頼まないとなりませんね。
「落ち着かれましたか?」
おっ?今度は遮られなかった。ああ良かった……仏の顔も3度までだからね。
「ああ、すまない紫子君。僕とした事が取り乱してしまったよ」
チッ………下の名前で呼ぶんじゃないよ、図々しい。
「一体どうしてあの様に騒ぎたてたのでしょうか?」
「…………それが、隣に隣接している菊ノ宮学園と今年の文化祭を合同で行わないかと、打診があって……………」
「ま、まさか……………………………」
「そう、そのまさかさ。当校の理事長………つまり君のお祖父さんがその件を了承したとの事だ」
「…………………………………………………………」
おお~!じい様やるじゃーん。隣の菊ノ宮学園は、男子校…………くくく………とっても素敵な(妄想の)素材が、そこら辺にゴロゴロしてるに違いない。文化祭にかこつけて色々暗躍出来そうですね。
じい様グッジョブ!!!良い仕事したよほんと。屋敷に帰ったら肩でも揉んで差し上げようっと。
「紫子君の気持ちも分かるよ…………昔からこの学院に出入り出来る男性は、教師か警備員ぐらいだったから戸惑うのもしょうがないし、本気で嫌だったら紫子君から理事長へ、合同文化祭を中止する様に伝えても問題は無いのでは?」
白鳥沢教諭は私が声を出さずに黙り込んで居るので、どうやら合同文化祭に反対なのだと勘違いしたみたいで、変な事を言っている。
いやいや、全然反対じゃないし、むしろカモンですから。
ふふふ………この合同文化祭は間違いなく両学校の生徒会が、話し合わねばならなくなる………そこがチャンスです。
堂々と大手を振って男子校に潜入出来るぞいっ!!!
しかもあちらは学園寮生活ときたもんだ。うひゃひゃ。………どんなめくるめく耽美な性活………ゴホンッ………営み……ゲフンッ…………きっと想像を絶する素敵な事が、毎夜毎夜執り行われているに違いありませんっ!!!はあはあ。
じゅるるりっ……………。
おっと涎がっ!!妄想が暴走してしまってました。駄目駄目、ここは自室でも何でもないのですから、はあはあ………じ、自重せねば!!
よし!善は急げだ。先手を打って、話し合いは菊ノ宮で行うことを取り付けねば。
「…………白鳥沢先生、お祖父様がお決めになられた事に、私ごときが意見をのべるなど、とても無理で御座いますし、これは同年代の異性の方と話す練習が出来る、良い機会なのでは御座いませんか?」
「話す練習?それは必要な事なのかい?」
ふう、いちいち突っ込んで来ないで欲しい。男子校に堂々と出入りするための方便に決まってるでしょうがっ!
「ええ、私は小中高と女学院で御座いましたの。ですから社会に出た際に、男性………特に同年代の男性には全く免疫が無いのでは、社会人としてお話になりませんわ。ですのでここで少しでも慣れておく必要があるのだと、私は思っておりますの」
「ど、同年代の男性……………………か」
そこか?そこに食い付くんだな、30代独身庶民教諭は。
流石に10歳も年齢が離れているので、自分は同年代だと主張してこない様だ。偉いぞ、わきまえたな。
「ええ、そうですわ。ですから私は今からあちらの学校に直接話し合いに参りますわ!」
「ええっ?い、今から?入校の許可を取らないと入れないだろうし、何よりも非常識では無いのかね?」
「うふふ…………白鳥沢先生?私を誰だとお思いでしょうか?豊穣院紫子でしてよ?一般の方の常識で計らないで下さいませんか?」
「あっ………申し訳ない……………」
ふっ。分かれば良い。それに菊ノ宮学園の理事長は、お祖父様の将棋仲間であり、60年来の友人だから私は顔パスやろ?身元もしっかりしている。
しかも一応あっちの生徒会長は、幼馴染みの正宗だから許可など不用!
私が来たらお茶とお茶菓子を用意して全力でもてなせと、初対面の時からちゃあんとしつけてありますので問題ないですしね。
「では、行って参ります!」
「えっ?い、いやいや………もう少し僕と話をしてからでも遅くはなっ………………………」
引き留めようとする白鳥沢教諭に向かって宣言すると、私は足早に隣の菊ノ宮学園へと向かったのであった。
「た、大変だ。どうしよう……………………」
心底困ったような白鳥沢教諭の声が部屋に響いたのだが、その声は白鳥沢教諭以外には誰にも聞かれなかったのであった。
***
「うん。啓介が淹れてくれたコーヒーは、格別だね」
「あ、有り難う御座います、竜ヶ峰会長!」
「とっても美味しいよ。これで会長業務がはかどるよ………」
ああ………大好きなコーヒーも美味しいし、ここ数年は本当に平和で落ち着くなぁ……。
生徒会の本日の仕事を終えて、マッタリと過ごす至福の時を謳歌していると、生徒会室の外から思い出すのもおぞましい恐怖の声が聴こえて来た。
「あらあら、うふふ………生徒同士でとても仲が宜しいこと!」
「そ、そうですね。生徒同士の仲はすこぶる良好で、諍いなどは滅多に起きません。在籍している生徒が良家の子息だというのも、理由のひとつでしょうか?」
「そうなのですか?すこぶる良好…………っと」
「何をなさっておいでなのですか?」
「創作活動…………いえ、たわいもない走り書きですわ。お気になさらないで頂けますこと?」
「は、はい!!」
ひいっ!!
ど、どんどん近づいて来るっ!声から推測するに1人は1年の書記安久だ。
そしてその安久が話している相手は………………………。
「あっ。お話をしている間にもう着いてしまいました。こちらが我が菊ノ宮学園の生徒会室です」
「あら、もう着いてしまいましたの?もう少しゆっくり(美少年観察が)出来たら宜しかったのですが……………」
「……………はあうっ!!」
扉越しでも手に取るように分かる。安久はあの恐ろしい者に、手玉にとられて居る事が。
奴の見てくれに騙されてはいけない。内面が恐ろしい者ほど、外面が魂を吸いとられるくらい魅惑的なのだから。
「か、会長?いらっしゃいますか?」
いつもよりも幾分か緊張した声音で、安久が扉をノックして来る。
ううっ………。居留守を使いたいが今は無理だ。
なぜかって?それは僕の隣に啓介が居るからだ。流石にカッコ悪い所は見せられない…………なんたって僕はこの菊ノ宮学園の生徒会長ですし、後輩には尊敬されたいからね。
「ああ、居るよ。入りなさい」
「はいっ!失礼します」
ガチャリとノブが回されて、扉の向こうから安久が現れた。
………………………………………………………………背後に奴を携えて。
「会長!お客様をお連れ致しました!」
安久は満面の笑みで、やり遂げた感満載で入って来た。
連れて来た相手が奴以外であったのならば、良くやったぞと頭を撫でてやるのだがな。
「……………ああ、よく(も)連れてきてくれたなぁ。ご苦労だったな安久……………」
「へへっ………。有り難う御座います!」
若干怨みのこもった声で礼をしてしまったのだが許せ、安久!
「あらあら正宗さん、お久し振りですこと。3年振りぐらいでしたかしら?ねぇ?」
「そ、そそそそうだね」
うわぁっ!!物凄くどもってしまった。恥ずかしいっ!
それにしても最後のねぇ?って念押しが更に僕の恐怖心を煽って来るぅぅぅぅぅぅ。
「啓介先輩…………。僕らが居るとお2人のお邪魔ですよ。ここは気を使って差し上げて、我々は先に寮に帰りましょうよ」
「ええっ?そう?じゃ、じゃあ竜ヶ峰会長、僕たちは先に帰る事にしますね。失礼します」
はっ?はあああああああ?
ちょっ、ちょっと待って!こ、この生物兵器並みに危険な存在の奴と2人きりにされたら、僕は生きて生徒会室から出られないかもしれない。
「では会長!頑張って下さいねっ!」
安久が良い笑顔で親指をサムズアップして来たが、僕はその親指を捻って無理矢理下に向かせてやりたい衝動にかられたが、実行には移すことは出来なかった。
何故ならば音もなく僕の背後に忍び寄った奴こと、豊穣院紫子によって肩を掴まれていたせいである。
なので僕はこの場を去る2人に向かって鷹揚に頷きながら「2人共お疲れ様」としか、言えなかったのであった。
そして無情にも生徒会室の扉が、静かに閉められたのであった。
***
あはははは。正宗の気持ちが手に取るように分かる。うんうん、私という貴い人物を前にすると、萎縮しちゃうのは当たり前だね。
あまりにも正宗が萎縮し過ぎているので、そこまで固くなるなよ!との思いを込めて肩に手を置いてやった。
正宗は感激したのか私が肩に手を置いた瞬間、ビクリと大袈裟に身体を震わせた。
ふふふ。どうやら幼い頃の教育が、今も活きている様だね。結構結構。
それにしても覚えたぞ。生徒会役員の安久と啓介だな。両方とも良い素材だった。
安久はヤンチャ受けで、啓介はヘタレ攻めだな、うん。あっ………でもでも、あの啓介って奴は妙な色気があったから誘い受けでもイケる気がする。
私の【腐】のセンサーがそう囁いている。
私は2人が退室して居なくなったので、直前まで被っていた大きな猫をかなぐり棄てた。
「………ねぇ正宗~?」
「ひっ!は、はいっ?」
「紅茶」
「た、だだいま!!」
「あとお菓子」
「はいっ!!」
「私の好みは……………」
「もちろん覚えております。ローゼンシュヴァルツのローズオイルの入った茶葉を使用します。お菓子はカーデュラムの石榴タルトがあります」
「……………………そう」
う、う~ん…………。どうしよう。幼い頃に仕込んだって言いましたが、ここまで私の好みドンピシャなラインナップを揃えて居るのを目の当たりにすると、何か……………言っちゃあなんですが若干キモいですね。
「では直ぐに用意して参ります!」
正宗は私のドン引きに気付く様子もなく、入ってきた扉では無い方向へと消えて行った。
どうやら生徒会室には給湯室のような部屋が併設されているようだ。
全く………どこの学校の生徒会室にも必ず給湯室は備え付けてあるものなんだなぁ……などとどうでも良い感想をボンヤリ抱いている間に、正宗が既に戻ってきており、ティーカップをセッティングしていた。
仕事…………速いな、正宗。
その一切の無駄を排除した動きに先程感じた気持ちが再度湧き上がって来る。
うん。やっぱちょっとキモいな。
残念だ。正宗は顔は中々のイケメンなのに、この若干のキモさから誰かとカプを作れんのだ。
攻めにせよ受けにせよ、この若干のキモさがネックなんだよな。もの凄くキモいならば、ある意味の需要が見込める(コアなマニア向き)のだが、若干ではどっち付かずの中途半端な存在なのだ。まぁユルキモとかあるかもしれんが、私は認めない派だ。
例えば全裸に彼シャツの見えそうで見えないあの感じは大好きだが(特に太股な)裾から若干アレが見えてたら、何か違くねっ?てならん?
………………………………………………あれっ?この例え良くわかんねぇぞって?じゃあ忘れて。無かった事にしといて。
「はいどうぞ。淹れたてなので先ずは香りからお楽しみ下さい」
うん。確かに良い香りだね。仄かに香るローズが好きだね。
味はどうかな?
おお…………。ほんのり甘いのだが、口当たりは爽やかでやっぱり美味しい。
お次は石榴のタルトだ。
サックリとしたタルト生地にヨーグルトムースが乗っていて、その上にこれでもかっ!っていうくらいの石榴の果実がたっぷりと乗せられてる。
美味い。さっぱりとしたムースと石榴の甘酸っぱさがマッチして、あまり甘過ぎないのもポイント高いね。
「う~ん!文句なしに美味しいっ!正宗っ!!良くやった」
「……………は、はいっ!どうも有り難う御座います」
今回の働きに免じて、お前のキモさは私の中だけの秘密にしておいてやるからな。
さて………お腹もふくれて、喉も潤ったのでそろそろ本題に移ろうか。
「正宗は知っているか?今年の文化祭は我が白百合女学院と、菊ノ宮学園との合同文化祭と相成りそうだという事を」
「えっ?それは本当なのですか?」
「うん?聞いてないの?」
「はい初耳ですね」
「………………おかしいな。私の耳にも届く内容が、合同文化祭を持ち出した学園の生徒会長に通じて居ないとは……………」
「………?」
「どういう事だろうか」
「あの、ちょっと宜しいですか?」
「どうした、正宗?」
「合同文化祭を持ち出したのが、当学園の方からなんですか?」
「ええ、そう聞いたけど?」
「それはあり得ません」
「どうして?」
「祖父…………理事長は、若い男女が一緒に居るのは良しとしておりません。そんな祖父が合同文化祭などと言い出す筈がありません」
フム。正宗が言っている事が真実だとすると妙だ。合同文化祭などという話しは最初から無かったという事に……………………………って、あー分かっちゃった。
犯人は白鳥沢教諭だな。
あいつから聞いたのだから、犯人はあいつしか居ないな。しかし一体何の為にこのような嘘を付いたのであろうか?
私を踊らせる計画であったのならば、大成功だな。喜び勇んで菊ノ宮の生徒会室までホイホイやって来てしまったのだから。
はぁ………………。私の美少年観察の夢はここに潰えたか。
はぁ………………。禁断の園である学生寮に、うっかり迷い込んだふりをして侵入する計画がおじゃんだ。
そこで行われている筈の淫らな行為の一部始終を、超高性能カメラで隠し撮りしたかった…………ただそれだけなのに!(※犯罪です)
私が死んだ魚のような濁った目をしながら落ち込んで居ると、正宗の奴が心配そうに私の肩に手を置いて、大丈夫かと優しく声を掛けてくれる。
ううっ…………。その優しさが辛い。
不覚にも涙が私の頬を伝う。
するとカツンコツンと杖を付く音が聴こえてくる。
その音を聞いた正宗が、ガタガタと震え始めた。
えっ?なに?もしや怪奇現象……………もしくは七不思議ってやつかな?
杖の音は段々とこの生徒会室に近づいて来ている様に感じる。
そして部屋の前まで来ると杖の音はピタリと止まった。
こ、怖い…………。何で扉を開けないの?誰か来たんじゃなかったの?
ただ無情にも時間だけが過ぎて行く。
数分は経過しただろうか?このままではらちが明かないので、私は勇気を振り絞って扉を開ける事にする。
ゆっくりと私が座っていたソファから立ち上がると、何故か正宗もピッタリと私に寄り添いながら着いてくる。
って、そもそもこういう役目は男の役割だろがっ!!全くよう。
私が扉を開けるとそこに居たのは…………………。
「ぎゃあーーーーーー!妖怪海坊主!!!」
「う、うわぁーーーー!お、お祖父様っ!」
私と正宗はお互いを抱き締めあいながら、その場に座り込んでしまったのであった。
そんな私たちへと雷が落とされたのであった。
「………………このしれもの共がっっっ!!!」
この叫びのせいで、正宗の祖父である熊五郎氏の高貴な入れ歯が数メートル飛んだとか、飛ばなかったとか………………………………。
その後はどうなった?簡単なオマケ
豊穣院紫子→通常運転。腐った妄想で毎日毎日それはそれは楽しそう。最近は安久と啓介を使って妄想を楽しんでいる。正宗はスルー。
竜ヶ峰正宗→あの恐怖の対象であった紫子が、昔ほど恐くなくなって居たのに驚いてる。むしろ昔よりも更に磨きがかかった美貌にちょっとドキドキしていたり…………。
白鳥沢教諭→あの後痛い目をみた。こいつはただ単に紫子を驚かせてイチャイチャしたかっただけ。「やだ!同年代の男の子って怖い!」「はっはっはっ!大丈夫だよ?僕がついているからね」「先生………頼もしいですわ!」「紫子君っ!僕の胸へ!さあおいで!」
……………みたいなのを妄想していた。だが紫子は妄想が暴走していた。残念っ!!
安久→深窓の令嬢な見てくれの紫子にまんまと転がされた少年。紫子がお忍びで正宗へと会いに来たんだと、勘違い。純粋。
啓介→大好きな正宗に女性(紫子)の訪問者が。生徒会室に2人を残して退室した時、内心では結構動揺していた。
そしてこの動揺が一体何に起因しているのかが判明すると、もうひと騒動起こる予感。紫子は大層喜ぶであろうことは確実。
熊五郎氏→可愛がっていた孫が、遂に女の子を生徒会室に連れ込んだ事に怒り心頭。(実際は紫子が自らの意思でやってきたのだが)
その女の子が60年来の親友の孫であった為、紫子の祖父に平謝りして正宗の嫁に!!と、申し立てている。
紫子の祖父はどうせまたうちの孫の方が何かやらかしたのだろうと、熊五郎の謝罪を一蹴した。
(大当たりである)