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第1話 メールを受信しました。

 僕は十何分とニュースを見ていて状況はなんとなく予測はできてきたが、本当にそれが現実になったというのは受け入れがたく感じていた。

ディストーションワールドのアップデート『新フィールド』とは現実 ≪東京≫。このフィールドに運営は持ってきたのだ。チャットではやはり、皆はいきなりの現実への新フィールドに対して戸惑い隠し切れないようだ。

運営が何を考えてるか理解が出来ず、今頃お問い合わせのメールが運営にたくさん届いているころだろう。そう思ったその時だった。


≪ピンピロリン~♪≫


運営からメールが届いた。

メールの題名は「ディストーションワールド Ver5.0 をご利用の皆様へ」というものだった。


オンラインゲームでバグが起こった時に、運営がバグの部分だけを直すために臨時メンテナンスを行ったりするのだが、運営がプレイヤーがわからないところでバグの修正をして、ゲームを再起動してもらうことでバグを直してもらい、臨時メンテナンスをしなかったする時があったりする。その時に配られるようなメールだ。


このメールは間違いなく今回のアップデートについて書かれたメールだろう。書かれている内容が喉から手が出るほど知りたいが、何が書かれているかとても怖くて数分開けることが出来なかった。

意を決してメールを開いてみるが、おかしな内容だった。


――――――――――

ディストーションワールド Ver5.0 をご利用の皆様へ


いつもご利用ありがとうございます。ディストーションワールドのサービスをさせていただいております 株式会社 ファンタズム・パラドックスです。


今回、皆様ももうお気付きになられていると思いますが、ディストーションワールドのアップデート『新フィールド』とは現実 「現在の東京」となっております。


現在の東京には化学という理論があり、物理法則を無視する魔法なんて無いこのフィールドに、毎日の日常が飽き飽きしている方も多いのではないのでしょうか。


そこに魔法、モンスターという異物を、この世界に持ち込んではどうでしょう。

想像しただけでいつもの日常ががらりと変わり、何とも楽しくなりそうではありませんか!?


狩りだけでお金がたまり、レベルはコツコツと経験値をためればすぐに上がり、評価が苦手だった勉強じゃなくて自分のHPや攻撃力や回復力、硬さで決まる。またおしゃれをしようとすれば目や髪型、目の色、髪色、そんなことも簡単にできる素敵な世界。


我々、ファンタズム・パラドックスはこの世界を実現して、プレイヤーの皆様のために、持っているすべての技術をこのディストーションワールドに使い、現実にすることができました。


プレイヤー皆様、存分にこの世界を体感し、新しくとても楽しい人生をスタートさせてください。

また、この世界で消費アイテムや魔法などと、詳しいことは後ほどゲーム内やテレビで報じられますのでご安心ください。


我々一同、技術の進歩に努めていきます。

どうぞ、これからもディストーションワールドをよろしくお願いいたしします。


20EC年06月25日 午後5時20分 ~運営からのメール~

――――――――――


・・・・・・・・・・・・。


 「くるってるんじゃねぇの!?この運営!」と、ほとんどのプレイヤーが思っているかもしれない。

ゲームをやっているほぼ全員のプレイヤーがすぐに理解できなかった状況は、この運営からのメールですぐに理解が出来たはずだ。そして運営はこの状況で楽しんでいることに理解した人たちの中にはゾッとした人たちもいるであろう。


「フフフ・・・・。」


そう思うと僕は自然とにやけてしまい、顔に隠すことなどできなかった。


そう、もし例えば、人生である程度やっていくために必要な問題が書いてあるテストがあったとする。

そのテストで何度も解き方を練習をしても、解くのが難しい問題をたった少しの期間で解いてしまう「天才肌」の人、ただならぬ努力を積み重ね、何回も解く練習をして問題を解いていく「努力家」の人。

また、何年かかっても解くことができない問題さえ解けなくとも、簡単な問題は解ける「凡人」な人がいて、何年かかっても簡単な問題でさえ解けない「凡人未満」と言われる人の4種類の人間。


僕は大学のテストでは成績最下位、離れて暮らしている親には成績表を見て呆れられ、そんなどうしようもない凡人未満の人生。その現実がオンラインゲームになったことにより、何かが変わるかもしれない。そんなチャンスを得ることが出来たことにとても胸を躍らせていたその時だった。


≪ピンピロリン~♪≫


また運営からメールが届いた。

今度のメールの題名は「お詫びと警報/警告」だった。


「お詫びと・・・警報、警告?」

お詫びはともかく、なぜ警報、警告するメールを送ってくるんだろう。と思ったが、1通目のメールに心が躍り、その勢いで2通目はすぐに開いた。


――――――――――

ディストーションワールド Ver5.0 をご利用の皆様へ


緊急のご連絡とさせていただきます。

新フィールド≪東京≫についてアップデートした際バグが1つ生じてしまいました

このバグでモンスターがプレイヤーの方々の自宅に転送されてしまっている可能性があります。

プレイヤーの方々は次のお知らせメールが来るまで下記のことを厳守してください。


・部屋から出ないこと。

・物音を立てないこと。

・戦わないこと。

・異変を感じたら下記の電話番号に連絡すること。

緊急連絡先 102-99-XXXXXX


もし上記の項目が厳守できない場合、命の保証をすることが出来ません。ご了承ください。

そして、このたびの不具合によりお客様にご不便、ご迷惑をおかけいたしましたことをお詫び申し上げます。


20EC年06月25日 午後5時30分 ~運営からのメール~

――――――――――


「命の保証・・・?」


 運営からの2通目のメールは高鳴る鼓動を不安にさせるものだった。






≪ガッシャーーン!!≫






台所で沢山の食器が一気に落ちた音だ。心臓の止まりそうな大きな音。






不安になっている僕に追い打ちをかけるかのようにそいつはいきなりやってきた。

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