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第0話 アップデート完了。

 MMORPG。それは自分のキャラを作成して操作し、架空の状況下にて与えられる冒険、難題、探索、戦闘などの試練を時には仲間と協力し、乗り越えて目的の達成を目指すゲームの一種である。

そんなMMORPG「ディストーションワールド Ver4.3」を僕は課金もせずにコツコツとレベルを上げて装備の強化をし、ランキング上位になるほどの強さになった。


 そして今日、このゲームの大型アップデートで物語が進むクエスト、通称ストーリークエスト(僕はストクエと呼んでいる。)が追加される日が来たのだ。僕はアップデートが毎回楽しみで大学でアップデート内容を確認して、授業が終わると飛ぶように帰ってきてパソコンを起動する。


「ストクエ ストクエ~!」


 パソコンが立ち上がり、ゲームを起動したらすぐさまクエストを受けるボードに向かってストーリーを進めた。ストーリーはかなり進んでくると1時間に1個しか落とさなさそうな高価なものでも1つ集めてきて納品してください!と普通に言われ「鬼畜!」と叫んでしまいそうなほどの難易度である。

僕としてはこの難易度設定が気に入っており、なによりフレンドと一緒にしゃべったりするのが楽しかったりもする。


 クエストの内容としては、【ボス「覚醒ダークナイト/Lv90」に効くというアイテムを納品し、昔仲間だった裏切り者の「ルカ/Lv90」を倒しボスに行こうとするも洗脳は解けず、時間があまりないためほかの仲間にその場を任し、自分はボスを討伐する。】という今回もストーリーが長くて苦戦する内容だった。

僕はなんなくとクエストをこなし、ボス討伐が終わり、物語の終盤に差し掛かった。


――――――――――

覚醒ダークナイト「ぐっ・・・」


そこへ仲間が弱った覚醒ダークナイトにとどめを刺そうとする。


覚醒ダークナイト「ま、まだだ!」


盾ではじき返され、覚醒ダークナイトに魔法の詠唱時間を与えてしまう。


覚醒ダークナイト「あの方のためにも・・・道連れとなれ!アイスマインド!」


その瞬間私の足元に魔法陣が現れ、そこから凍るような寒さに襲われたが

覚醒ダークナイトとの戦闘での傷で私はすぐに反応できなかった。


≪ドンッ!≫

??「危ないっ!!」


いきなり後ろからドンッという感覚に体を押し飛ばされ、思考が一瞬混乱する。


≪キイィィィィン!!!≫


押されて脱した魔法陣に振り返ると、仲間と戦闘中の裏切り者のルカがなぜか魔法陣の上におり膝から下の足が魔法陣の影響か、凍っていた。

ルカの体は下からだんだんと凍っていき、肩まで達したときルカは涙をこぼしていた。


ルカ「いままで・・・ありがとう。楽しかった・・・。そして・・・さようなら。」


その言葉を残し終わったと同時に完全に氷が全身を包む。

彼女は泣いているはずなのに、氷のせいか笑顔で凍っている。

その顔に少しの間気を取られてしまい、覚醒ダークナイトから攻撃を受けないかまたすぐ振り返った。


しかし、覚醒ダークナイトは力尽きていた。

私は気が抜けて身代わりとなったルカの行動について考えてみた。

しかし十何分かたっても答えが出ず、オーバーヒートしそうなのでいったん止めることにした。すると、


アイリス「お~~~~~い!」


来た道から走りながら私のことを呼ぶ仲間の声がする。

十何分かたって、今頃来たということはいつもと同じ感じで道に迷っていたのだろう。

(まっすぐ来れば来れるのにどこをどうやったら迷うのだろう・・・。)


アイリス「ルカが戦闘途中であなたのほうに行ってしまったんだけど倒せたんですね・・・無事でよかった。これであそこの村は平和が訪れるわ。」


安心した様子でアイリスは笑顔で言うが、やはりルカが私をかばったことに対して腑に落ちない。

笑顔でうなずき返すが、心から笑えなかった。


アイリス「さて、一段落終わったことだし報告しましょ!村に帰っておいしいもの沢山たべよう!」


再び私はうなずき、村に向かった。

――――――――――

 この後村に帰り、村長にボスを無事に倒したと報告し、無事クエストクリアとなった。ここまで通してやってると疲れるので一緒にやっていた仲間に休憩するとチャットで伝えた。


「ん~~~~。疲れた~。」


毎回ストーリークエストはパーティーのメンバーと討伐などをして30分以上かかるのは当たり前になっていたが、2時間くらいかかっていたのでかなりてこずったのだろう。今回もドキドキワクワクとした展開で面白かった。

そんなことを思いながらコップに熱いお茶をいれてパソコンの画面に戻り、もっと楽しみにしていたアップデートの内容をまた確認もう1度確認した。


【6月25日(木) 午後5時 新フィールドを実装します。お楽しみに!!】


 本日6月25日、午後4時55分。新フィールド解放まであと5分というところだ。ディストーションワールドは1回ずつのアップデートの内容がとても濃いので、毎回更新まで1か月後などと期間が長い。そのため僕はお知らせをみてからじらしにじらされ、毎日が楽しみでたまらなかった。

時計を確認してみるとお知らせの詳細を見てる間にもう4分もたっていた。もうすでにドキドキが止まらない。



あと30秒。。



あと10秒・・・



5、4、3、2、1、0!


≪ゴ~~~~~ン ゴ~~~~~ン≫


 17時になり、パソコンから音楽からフィールド解放の音が鳴り響き、画面に「新たなフィールドが解放されました!皆さん頑張ってください。」とお知らせがチャット欄にでた。

心が躍る。どこにフィールドが解放されたのかすぐに探してみた。


「・・・あれ?」


しかし、何度もワールドマップを見ても追加された様子もなく、どこからか裏道が出来てるわけでもなさそうだった。しばらく探していたが見つからないため、あきらめてフレンドに助けを求めようとした瞬間。


「叫)緊急です。今すぐニュースを見てください!!」

「叫)やべーw東京の空に町が浮いてるww」

「叫)は?グリフォンらしきでかい鳥が空飛んでるんだけどw夢なのコレ?w」


イカれたのか。空にドラゴンや町が飛んでいるなどと・・・。

しかし、こう言ったチャットがどんどん出てきてチャット枠はあっという間にその話題で持ち切りだった。


『町に、今!ドラゴンらしき生き物が飛んでいます!!』


驚きながら振り向くと、ニュースに「突如空に現れた町・・・兵器をもって強襲か・・・!?」とあった。


この時、僕らの世界の日本が、この東京が。









今まさに、MMORPG「ディストーションワールド Ver5.0」≪歪んだ世界≫とリンクした。








僕はその状況を読み込めず、しばらく口をあけて呆然とニュース見ていた。

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