彼女は誰だ
「そんな屁理屈言ってないで、いくら家が近いと言ってもさすがに遅刻するよ。」
そう言いながら舞は、靴を履いている。
「ふが、ふんがふが!!」
口にパンを詰め込んでいるせいかうまく喋れていない。
「何言ってるか、わかりませ~んww」 クスクスっと笑うと立ち上がった。
「じゃあ、僕はお先に行っくね~」
「むしゃ、むしゃ、、ゴクッ おい、待てよ。」
「待ちません~」 そう言うと舞はドアを開けて、出て行った。
連は牛乳を一杯飲んで、バックを掴むなり家を出た。
「おい、待てよ!…っていね~。」 信号までは一直線なのに舞の姿はなかった。
(舞のやつ、走って行きやがったな、、)
蓮はバックを抱えなおすと走り出した。
「はぁはぁ、、はぁ」 走ったせいで息切れしている。
時計を確認してみると、現在8時5分。
「あ~こりゃ間に合わね~な。」 蓮はそう言うとため息をついた。
「はぁ、進級式だっていうのに遅刻かよ、、俺、今日から高3だっていうのに。」
サァ~ 風が吹いた。
『蓮、早く会いたい。』 彼女の顔が頭から離れない。
声、顔そしてあの悲しそうな表情。
(誰なんだ、彼女は…凛って誰なんだ。)
頭で考えているうちに学校に着いていた。