序文
『序文』
小説を面白く読む、又は読ませる為に必要な知識があると私は思う。『ワンが~』などの近未来小説では、科学やテクノロジーに関する一般認識が必要になるし、それ無しには想像しがたい現象も存在すると思う。
それらを総称して作品の世界観と言うと思うのだ。
私はガチガチのSFファンである。それこそ『ターザン』から『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』まで、万に届くSF作品を読んできている。だからこそ、私の書く小説は一般読者に取って敷居が高いものとなっている。
私の書く小説が一般読者の認識の及ばない論理に基づいているなら、それをすんなりと受け入れる読者は稀だろう。(実生活でそんな知識は必要無いからね)
何が言いたいかと言うと、想像力の欠片もない質の悪い若しくは未熟な人間からの誹謗中傷をあらかじめ封じて置こうとしてこんなものを書いているのだ。(要するに『バカは読むな』と言っている)
私の小説作法は、『かつて何人も考えついた事のない世界でのお話し』を主眼としている。だから、世界観にテンプレなんて微塵も存在しない。(人物設定や作中人物の行動などはテンプレだが)私にとって重要なのは世界観であって登場人物では無い。世界観が許すなら『俺TUEE』も有る。
この文章は、私の小説を読み始めたが『あれ? 何これ?』と困惑している人に対して作品のベースにあるのはこんな世界なんだよと解説する為のモノなのだ。『わかんねぇ』『有り得ねえ』と感じて知的探求心を投げ出す人向けには書いていない。
人気小説(すべからく書物全般は)は読者が選ぶが、私が意図してこのような書き方をしているのだから、人気が出ることは無いだろう。
だがそれでも私は不人気な小説を書く。
「私が何十年もの考察の末たどり着いた世界観をいつか現実にしてほしい」と、かつて先達のSF作家や漫画家が提示した世界観が、現在多く現実化していることに勇気を得て。