俺
「SFなんか書けるか!」
本日の俺の第一声らしい。
いきなり大声が聞こえて、驚いた母が慌てて俺が寝ている部屋にやって来て教えてくれた。一体どんな夢を見ていたのだろうか。きっと、心からの声であると言うことは根拠はないが言い張る自信がある。
どうでもいい話だが、家は狭い。すこぶる狭い。ありがちな二階建て一軒家だったり、親の書斎だの寝室だの、ましてや子供部屋などと言うものすら存在しない。ずっと憧れてこそいるものの、無い物は無い。それが現実だ。ただの公団住宅。六畳くらいの部屋が二つあって、あとは洒落た言い方をすればダイニングキッチンに当たる場所と風呂とトイレがあるだけ。よくよく考えたら、こんな狭い空間に子供のプライバシーなんてものもあったもんじゃない。生まれついての家故に危うく見逃してしまうところだった。とは言いつつ、初めからないものだから、今更どうのとも思っていないのだけど。
俺が通う学校は、実は宇宙からの侵略者と戦う為に、非常時にはロボットになる。。。ように願いながら日々通っている。完全に小さい頃に見ていたアニメの影響だ。元々、ロボットに対する憧れは普通に子供が抱くものよりは強い自覚がある。高校生になった今でも心の何処かに「俺はロボットに乗って戦うんだ!」なんてことを夢見てたりする。
が、しかし、世の中は平和だ。特にこの日本に関しては。とてもこの平和な日常を脅かす侵略者なんかが現れそうな気配は今のところ感じられない。
そんなことを言ってれば、いや実は!今まさに!みたいな展開が起こりうるんじゃないかと思う自分がいるから、学校帰りには欠かさずそんなことを脳内でぼやいている。勿論、結果に繋がったためしなんかない。現実は甘くない。退屈だ。さ、家に帰ったら今日もバイトだ。