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前編

 このお話は、投稿者がストレスに苦しんでいる時に筆者の方が「気分転換に」と、投稿者の無茶ぶりの萌えを詰め込んで書いてくださったお話です。

 投稿者のメッセージボックスに封印しておくのは勿体なく感じ、筆者の了承の元、投稿させていただきました。

 投稿者名も筆者の了承の元、お名前をお借りしております。

 R15でいけると思うのですが、R18だと思われた方がいましたら感想の方でご指摘をお願いします。その際はムーンの方に行きますのでm(__)m

――さて、少し昔話をしようか。

これから語るのは、君達が産まれてくる前よりもっと前の話・・・。



 広大な草原に、青々と何処までも澄み渡る空。

 なだらかな丘陵の先には断崖絶壁の崖と海、その反対には獣道よりなお厳しい山道に囲まれているセアッシュ領。

 ここは近年発展著しいフェルテシオ王国内において、誰もが見向きもしない最早国王にさえ忘れ去られてしまった辺境。


 そんな辺境を治めつつも、地道に少なくない領民と共に生きている領主一家の名はドロテア家。

 かつては王家に王妃や宰相、大臣さえ輩出した事もあった名家も、今では適当に王国に税を納め、一度戦の為の徴兵となれば率先して袖の下を渡し、のらりくらりと逃げる領民にとっては腹立たしくも頼りがいがあり、愛する領主一家でもある。


 さて、そんな領主家には次期総領となるご令嬢がいた。


 彼女の名はケリン・リザ・ワーズ=ドロテア、御年18歳。

 そう、18歳。

 もうじき19歳にもなる立派な嫁き遅れ、と言うか、嫁かず後家。

 この国の女性の結婚適齢期は、14歳から17歳。

 結婚は早ければ早いほど良いワケで、貴族でありながらその年齢まで結婚しないと言うには何処か欠陥があると言う事と同意であって、行く末は好色家の妾か、娼婦辺りと言うのが王侯貴族の間での常識で、普通だった。


 が、このドロテア家の唯一のご令嬢は違った。 

 普通の淑女であるご令嬢達と何処までも違っていた。


「お父様、私、決めましたわ!!」


 洗い晒したシャツに、皮を丁寧に嘗めしたズボン、それに乗馬用の長靴に身を包んだ何処からどう見ても美青年としか思えない麗しい顔を持った令嬢は、鞭をピタピタと右手の掌で打ち鳴らしつつ、にっこり微笑んだ。


 そんな愛娘を少し不安そうな表情で見上げるのは、ドロテア家の当主であるケリンの父親であるジョンと、母親のメリッサ。


 そんな両親の不安もなんのその、ケリンは何処までもケリンだった。


「私、これから王都に行って、ルシフェル大公をお婿として迎えに行ってきます!!」


「「ル、ルシフェル大公?」」


「はい、ルシフェル大公です。あの美姫と名高く、清廉潔白でお優しいルシフェル大公です」


 彼なら知っている。

 知っていると言うか、知り過ぎている。

 彼は自分がまだ王都にいた頃、共に背中を預け、剣技や文学、ありとあらゆるモノを切磋琢磨していた関係だ。


 しかも妻のメリッサを獲りあった恋のライバルであり、数少ない親友でもあったが・・・。



 ケリンが産まれたと同時に、この地の領主を務める様に任命されてからは、あまり逢っていないし、交流も数えるほどだった。

なのに何故、娘は彼を知っているのだろう・・・。



 父親の困惑を見てとり、感じ取ったのか、ケリンはクスクス面白そうに笑い、一通の封書を取り出した。


 それは昔はよく目にした王家と大公家だけが使用を赦された家紋。


「つい先日、私宛てに届いたの。この国の王太子様の妃選考会を開くから王都に出て来なさいって。この機会を逃したら我が家には永遠に婿はこないわ。だから私はこのチャンスを生かして、大公を寝とって、絶対王都から攫ってくるわ!!」


 ケリンは、娘は昔からどこか思考がぶっ飛んでいると思ってはいたが、ここまでぶっ飛んでいるとは・・・。



 そう思っている内にも、ケリンは愛馬のジャリスと共に、王都へと駆って行った。


 はてさて、そんなケリンの運命は如何に・・・?


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