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私たちが愛した弟

この作品は禁断の愛がテーマとなっております。

そんなジャンルに不快感を覚える方はお引き取り下さい。


ヴー!ヴー!ヴー! ピッ


「ん……」


心地よいまどろみの中、アラームを止めて体を起こす。


「ふわぁ……っ!?」


「咲ちゃんおはよ~♪」


突如として現れたその人に、俺はびくりと体をすくませた。


「……なにやってるの?」


「咲ちゃんに目覚めのチュー」


むちゅーと唇を突出し、抱き着こうとするロングストレートこの人は長女の桜。

今回でおよそ55回目となる朝這いだ。


ちょ、やめ……というか離れてよ桜姉っ」


必死に引き離そうと力を入れるが女子並の身長の俺には無理な努力である。


というより早く離さないと何かイヤな予感が……


ガチャ


「咲夜~おはよ~」


ハートいっぱい付きそうな声で入ってきたのは怖い人こと四女の尚。

ショートヘアが似合ってる。けど怖い人。


「……あっるぇー?咲夜何してんのかなぁ?」


あ……これは怒ってる……


「ちょっとお姉ちゃんの部屋に行こうか♪」


イキタクナイ


「尚姉話あお――」


「さっさとこい」


「はい……」


「いってらっしゃ~い♪」


桜姉の薄情モノ……心で桜姉を恨みつつ俺の朝は始まるのでした。





「はぁ……」


「何溜息ついてんのよ」


「別にぃ……」


先ほどまで俺に説教を垂れていた尚姉を横目に、オレンジジュースを飲んだ。


「生意気な弟ね」


「尚、そこまでにしておきなさい。ご飯がさめるわよ」


テーブルに朝ごはんを並べてロングヘアーの女性は三女の恵姉さん。

いつも俺を周りの危機(主にお説教とか)から救ってくれる天使です。いや女神です。


「――――!?」


「ふあー……ぐう……」


突如として頭が重くなり、危うく目の前の朝食に顔面ダイブするところだった。


「ちょっと愛姉っ、それ枕じゃなくて俺の頭!」


この俺の頭で寝ているセミロングの人が次女の愛姉さん。マイペースな人。


「はいはい、愛の席はこっちよ」


恵姉が愛姉を持ち上げイスに座らせる。


「咲ちゃんのベッドでごろごろしてたら寝ちゃったよぅ!」


効果音がつきそうな勢いで桜姉が降りてきた。


「桜も早く席につきなさい」



『いただきます』



「もぐもぐ、ひゃふひゃん」


「食べてから喋りなさい」


「ふぁい……」


恵姉はまるで母のように桜姉を叱りつけた。


「どうしたの桜姉」


「んぐ、今日お買いものしない?」


「別にいいよ」


今この場に両親がいないのは、二人とも海外に行っているからだ。


「じゃあ放課後ね」


「ということらしいから、ちょっと帰るの遅くなるよ恵姉」


「分かったわ。あまり遅くならないようにね」


幼いころからよく海外に行っているので、もう誰も気にしなくなったのだ。

生活費はちゃんと置いていってくれるているし、家事は恵姉と俺で分担してやっている。


不自由なんてひとつもない。


『ごちそうさま』


「桜姉いくよー」


「ちょ、ちょっと待ってぇー!」


「いこー咲夜」


愛姉に手を引かれ玄関から引っ張り出される。


「桜姉が……」


「ほっとけばいーの。どうせ待ってたら遅刻するんだし」


「……それもそうだね」


「先に行ってるわねー」


恵姉が家の中にいる桜姉に大声で伝えると、尚姉と一緒に玄関から出てきた。


「身長が縮みそうなんだけど」


「大丈夫よ。縮んだって私は好きだから」


愛姉が今朝のように俺の頭を枕代わりにし、後ろから抱きしめる形で歩く。



明智ヶ丘高校2年生 真宮(マミヤ) 咲夜(サクヤ)

147㎝しかない身長はこうして姉によって成長を妨害されていくのでした。



 



「おはようございます咲夜君」


「おはよー」


校門につくなり、女子生徒二人が挨拶を投げかけてきた。


「おはよ」


ショートヘアが岩谷璃菜(イワタニ リナ)、ポニーテールなのが久遠葵(クオン アオイ)


二人とも俺のクラスメイトだ。二人が姉さん達にも挨拶をした。


「じゃ、私たちはここで。咲夜をよろしくね」


「はい」


俺を残して恵姉たちが校舎へと入っていく。

桜姉だけは相変わらず不満そうな顔してたけど。


「私たちもいきましょうか」


「ん」





他愛ない会話に相槌をうちながら廊下を歩く。

この二人は俺のたった三人しかいない友達の中の二人。


もう一人はというと……


「おっと、相変わらず両手に花だね」


「うるさい」


「おうふっ……」


教室のドアで鉢合わせたツンツンヘアーの男に腹パンを食らわせ横を通る。


俺の席は窓際の後ろから三番目。


「くすくす、絆君は相変わらず咲夜君を怒らせるの好きだね」


「いてて……怒らせるつもりはないんだけどなぁ」


自分の席に座ると、先ほど腹パンを食らわせた男が隣に座った。


こいつの名前は深見絆(フカミ キズナ)。こいつが最後の友達である。友達と呼べるかは怪しい限りだが。

身長が180cmもあり隣に立つだけでも俺が小さく見えるのが余計に腹立たしい。


「咲夜君にしたら挨拶代わりなんですよ、きっと」


前に座った璃菜がそうですよね?と笑いかけてきた。


「挨拶代わりに腹パンなんて咲夜はいつから暴力的になったんだい?」


「絆が俺と知り合った時から」


「知り合った時はあんなに可愛かったのに……ううっ」


「今も昔も変わってないし。あと可愛いとかいうな。もう一回殴るぞ」


「あははは。相変わらず咲夜君と絆君は面白いねー」


後ろの葵が笑い声を上げた。


「そんなに自分の容姿が嫌いなのかい?」


「絆と同じくらいに」


「じゃあそんなに嫌ってないんだね」


お前の頭はどういう構造をしているんだ?と睨みつけると、絆は肩を竦めるだけだった。


「そんなことより聞いてよ咲夜、昨日姉さんがね……」


絆も俺と同じで姉がいて、年も恵姉たちと一緒でこの学校に通っている。

そして絆はシスコンである。それも重度の。


絆のお姉さんも絆を溺愛してるからまさに相思相愛。


「って聞いてるの咲夜?」


「聞いてない」


「即答!?」


「うるさい」


なんでこんなに俺の周りはうるさいんだろ。

いや、絆がうるさいだけか。


「はあ……」


大きなため息をつくと、後ろを向いていた璃菜に笑われた。

校庭に目を向けると鳥が遠くに羽ばたいていくのが見えた。








俺の通う学校には明知三大美女なるものが存在する。

一人はうちの恵姉。


「で」


「うん?」


そして二人目が絆のお姉さん。


「なんでここに水姫さんがいるんですか」


「それは、ねぇ?」


「ボクがお弁当忘れたから届けに来てもらったんだ」


「お弁当を届けるのに膝に座る必要はないと思うんですが」


「だって、ねぇ?」


「ねー」


人前でイチャイチャしおって……!


「咲夜君も恵たちにしてもらえばいいじゃない」


「俺だってもう大人なんです。姉に甘えるなんて……」


「僕と姉さんなんていつも甘々なのにねー」


「俺は絆と違って――――」


「咲ちゃーん!ご飯食べよー!」


「……」


「僕と違って?」


「と、とにかく!俺は絆みたく人前でそうやって抱き着いたりしないし溺愛もしてない!」


「ふーん?」


鞄から弁当を取り出し、桜姉の元へと急ぐ。


「さ、僕たちもご飯にしよっか」


「そうね」






「毎回毎回、いつになったら桜姉は覚えるのさ!」


「えー?別にいいじゃん。迎えにいくぐらい」


「そうじゃなくて!ああやってみんなの前で叫ばないでっていってるの!」


屋上へと向かう最中、廊下で桜姉に文句を言った。


「だって咲ちゃん呼ばないと気づいてくれないし……」


「それは…そうだけど……」


このやり取りも既に7回目ぐらいだろうか。

本当は、迎えに来てくれるのも、名前を呼ぶのも気にしてない。


けれど…


「それに、私は咲ちゃんと付き合ってるって思われても平気だよ?というかむしろ嬉しい限りだよ」


何日か前、いつも通りに桜姉が教室まで呼びに来たとき、聞こえてきた言葉



『真宮君って、お姉さんとデキてるんじゃない?』


『お昼一緒はいいんだけどさぁ、高校生にもなって弟のことちゃん付けで呼ぶのはねぇ…』


『……』


『どうしたの咲ちゃん?』


『…なんでもない』



悔しかった。何より許せなかった。


高校生にもなって姉と一緒にお弁当を食べている弟ではなく。

高校生にもなって弟をちゃん付けで呼んでいる姉と言われることが。


だから俺は、俺のせいで桜姉が悪く言われるのを嫌って何回も言っている。

けど恥ずかしくて、本当のことは話せなかった。


理由を聞かれたとき、付き合ってるって噂が立ってるから…といったのもそのせいだ。


「あら、遅かったわね」


「あ、やっときたわ」


「もー、桜遅いわよー」


屋上の広い空間に、3人は弧を描くように座っていた。

周りには数名の生徒が昼食を取っている。


「ごめんごめん。咲ちゃんが甘えるから。ね?」


「俺がいつ甘えたのさ」


「照れなくてもいいのにぃー」


「はいはい。いいからさっさとお弁当食べようよ」


愛姉が待てないと急かすように俺たちを座らせた。



『いただきまーす』







「じゃ、放課後のお買いもの忘れないでね」


「うん。またね」


昼食を終え、またそれぞれの教室へと戻る。


いつか、いやなるべく早いうちに…相談すべきなのか?

桜姉にいったところでどうしようもないことだ…


恵姉に相談してみようか。いや、ダメだ…


「あ、咲夜」


「あん?」


教室の入り口で絆と鉢合わせ、少しぶつかりそうになった。


「璃菜ちゃんが放課後にみんなでカラオケいこうってさ」


「ああ…ゴメン。今日桜姉と買い物にいくんだ」


「そう。でもそれは瑠菜ちゃん本人に言わないとダメだよ」


「ああ、後で言っとく」


トイレにでもいくのか、そのまま教室を出て行った。


「次は、社会か…」


席へと座り、授業の準備をする。


自分でなんとかしなきゃいけないんだ。


これは、俺が原因なのだから。







6限という地獄のような時間を乗り切り、ようやく解放された。


「相変わらず咲夜君は寝てても答えられるからすごいよねー」


「ホント、腹が立つほど的確に答えますよね」


「予習復習しっかりして、授業の進行具合を見て、それから寝れば起こされた時今どこの問題をやっているか大体わかるよ」


食後の睡魔に抗う気はさらさらないので睡眠に費やそうと思っていたんだが、いかんせん教師が当ててくるから満足に寝れなかった。


「あ、そうだ璃菜」


「はい?」


「今日桜姉と買い物行くんだ。ごめんね」


「そうですか。わかりました」


さて…授業に解放された後は姉との買い物だ。

睡眠は取ったからどれだけ振り回されても大丈夫…のはず。


「じゃ、今日は先に行くね」


「バイバーイ」


「さようなら、咲夜君」


絆は気障ったらしく片手をあげ、俺は3人に別れを告げた。


なるべくみんなの前で桜姉に名前を呼ばせないように…俺が早く教室を出ればいいんだ。








「ありゃ、咲ちゃん早いね」


「教室出た時にいなかったから来てみたんだ。買い物にいくんでしょ?」


「うん。でも珍しいね、咲ちゃんが私の教室までくるなんて」


廊下に出たとき桜姉がいなかったから教室まで来てみたが、すれ違いにならなくてよかったと心底安心した。


なぜかこの教室の先輩たちは俺を知っているらしく、ドアのところで待っていたら教室を出ていく先輩全員に声かけられた。


「ま、まぁたまにいいじゃん」


「沙紀とか美樹に…って言っても分からないか。とにかく待ってる間に変なことされなかった?」


当たり前のように桜姉が俺の手を握って歩き出す。


「何もなかったよ?ただ、出ていく人全員に声かけられたり頭撫でられたりほっぺぷにぷにされた」


「はぁ…そのぷにぷにとなでなでが何かされてるんだよ咲ちゃん?」


「みんなこの子が桜の弟君かーって言ってたし、桜姉の知り合いみたいだったからいいかなぁって」


「咲ちゃんてたまに無防備になるよね…」


「そう?」


昇降口で一旦別れ、靴を履きかえる。


「うちのクラスはほとんど咲ちゃんのこと狙ってるから、だから私が今まで迎えに行ってたんだよ?」


「なんでそんなに有名なのさ」


「えっへん!私がいつも自慢していたたた、痛いよ咲ちゃんっ!」


丁度桜姉が手を握ったところだったので、爪をたてた。


「それ桜姉が悪いよねぇ?」


「そ、そうです私が悪いです!爪食い込ませないでぇ!」


「まったく……」


力を緩めて優しく握り返す。


でも、桜姉はクラスのみんなと仲良く出来てるんだね…。

元気一杯で明るい桜姉ならそれも当然か…。


「咲ちゃん?」


「う、うん?」


「つらいの?」


「え…?」


そう聞かれた時、すこしドキっとした。


「あ、いや。なんだか元気なさそうだったから。無理に付き合わなくてもいいんだよ?って誘ったのは私だけど……」


「平気だよ。別に体調が悪い訳じゃないし」


「ホントに?」


「うん」


俺が友達を絞っているのは理由がある。



ひとつはただ単にウマが合わないから。

もうひとつは負の感情に敏感だから。

そして、人見知りだから。



だから桜姉のことを悪くいうあの子たちに面と向かって言えない。

言えないからこそ、俺自身がどうにかするしかない。


だから桜姉につらいの?と聞かれたとき、クラスに打ち解けられなくてつらいの?と聞かれたのかと思ったのだ。


「それならいいんだけど」


「それで、今日は何買うの」


「下着」


「は?」


「正確に言うとブラジャー」


「……帰っていい?」


「この手が振りほどけるなら」


笑顔の桜姉が腕を絡めて力を込めた。


「くっ……」


うちの姉は全員160cm以上ある。

そして俺は帰宅部。

肌が色白なのを見て分かるとおり、幼いころから外で遊んだことなんて数回しかない。

つまり何が言いたいかというと



俺は家族の中で一番力が弱い!



「変なことしたからお店に置いていくからね!」


「わかってるよー♪」


上機嫌の桜姉に引っ張られ、俺はランジェリーショップへと連れて行かれるのであった。






「いやぁ、まさか咲ちゃんがあんな趣味してるとは……」


「語弊が生まれるからその言い方やめて」


無事?買い物を済ませ、桜姉と共に帰り道を歩く。


買い物してるとこはどうしたって?あんなハレンチな場面書ける訳がない。


「そもそもなんで俺が下着買うのに付き合う必要が…」


「だって好きな人に選んでもらった下着のが嬉しいでしょ?」


「それはそうだけど…って何が好きな人なのさ!」


「えー?私の好きな人は生まれた時から咲ちゃんだよー?」


「そういうこというから桜姉は…!」


「ん?」


桜姉は悪い噂が立つんだよ?


「なんでも、ない……」


「今日の咲ちゃん変だよ?」


「…早く帰ろう。恵姉が心配するよ」


桜姉の手を引っ張り歩こうとすると、手を引かれた。


「咲ちゃん、私に何か隠してる?」


「隠してない」


「嘘だよ」


「……」


「咲ちゃん、家族に言えないことなの?」


「…いよ……」


「?」


「ズルいよ…そんなこというの……」


「咲ちゃんが家族を大切にしてるのは、知ってるもん」


体を引っ張られ、桜姉が後ろから抱きしめてきた。


「…クラスの女の子が…桜姉のこと…高校生になっても俺のことちゃんづけで呼んでるって……」


「なーんだ、そんなことで悩んでたの?」


まだ日が完全に落ちていない夕日に照らされながら、桜姉は笑い飛ばした。


「俺はその子に何も言えなかったんだよ…?」


言い返せないのは、それは否定できないからだ。


「咲ちゃんは他人を気にしすぎ」


「それでもっ…それでも家族を悪く言われるのは…嫌だから……」


「ありがと。咲ちゃんがそう思ってくれるだけで十分だよ」


ふにっと柔らかい感触が後頭部に押し付けられた。


「こんな姉思いの弟がいるなんて私は幸せだなぁ」


「…嘘ついてゴメン……」


「嘘も方便」


後ろから回された桜姉の腕を抱きしめる。


「帰ろっか、咲ちゃん」


「…うん」


こんなにも温かくて優しい人が俺の傍に居てくれるんだ。

例えそれが自分のことじゃなくても。自分のためじゃなくても。

俺は伝えなきゃいけない。





次の日、俺はいつも通りの朝を迎えた。

昨日のことが嘘のように、桜姉もいつも通り笑っていた。


おはようと挨拶を交わした葵と璃菜と他愛ない会話をして、絆を殴って。

何一つ変わらない。


けどひとつだけ違った。


午前の授業を終え、昼休みが入る。


「咲ちゃーん!」


桜姉の声が響く。


「またお姉さんが来たよ」


「くすくす…ホント飽きないよねー」


弁当を持って向かうのは、桜姉とは違う方向。


「ねぇ」


「あ、真宮君。何か用?」


「あんまうちの姉のこと悪く言わないでもらえるかな」


「え?」


「いつも元気一杯だし鬱陶しいけど、ああ見えてすごく優くて頼りになる大事な家族なんだ」


「――――咲夜くぅーん?何してるのかなー?」


「ん、ちょっとね」


突如としてガシッと首に腕を回される。

隣に立っていたのは尚姉だった。


「うちの咲夜が何か悪いことしたかしら?」


「い、いえっ、咲夜君より私達が謝らなきゃいけない方でして…」


「そ。行くわよ咲夜ー」


「うん」


「ああ、それと…あんまりうちの咲夜怒らせると私達が許さないから。肝に銘じておけよ小娘」


「ひっ……」


彼女たちは多分、尚姉の笑ってない笑顔に身を竦ませたのだろう。


「ありがと、尚姉」


「いいのよ。咲夜が他人に怒るなんて相当のことだったんでしょ?」


桜姉と尚姉に挟まれながら廊下を歩く。


「…別に大したことじゃないよ。ただ、ちょっと、ね」


隣にいる桜姉が笑ったような気がした。

けどそれは手を繋ぐことで誤魔化された。


「あ、桜何手繋いでるのよ」


「咲ちゃんから握ってきたんだもーん」


「咲夜ぁー?」


「俺桜姉みたいに優しくて自分からそっと手を握ってくれるお姉ちゃんが好きだなぁー」


「うっ…って、やっぱ桜から手繋いでんじゃないのー!」


「えへへ!逃げろー!」


「あはははっ」




元気一杯の桜姉。怒ると怖い尚姉。マイペースな愛姉。頼りになる恵姉


「おっそーい」


「咲夜を走らせるのもほどほどにしなさいね?」


優しくて、傍に居てくれる姉さんたち。

大好きだけど、俺をいじるのは程ほどにね?


「あ、そういえば昨日の買い物で咲ちゃんったら過激な下着選ぶんだよー?」


「俺のせいにするなぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

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