第6話:ギャル、就職決定! 《ルート状態:住み込み開始/報酬:銀貨3枚/状態異常:金銭感覚のバグ》
『この屋敷では現在、人手が慢性的に不足しています』
ラインハルトが、目を見開く。
「……それは、内部情報では」
「やば、情報漏洩AI」
『昨日の騒音ログ及び動線分析から推測しました』
「なにそれ怖」
『よって、一時的に“住み込み補助業務”を行うことで、居場所と生活基盤を同時に確保できます』
アヤカの目が、きらっと光る。
「え、なにそれ!
メイド的なやつ!?」
「……メ、イド?」
ラインハルトの思考が一瞬止まる。
(セレナ殿が……)
(この屋敷で……?)
「いいじゃん!
掃除とか配膳とか、得意だし!」
『適性:高。
特に“場の雰囲気改善”において顕著です』
「それ能力なの?」
ラインハルトは、深く息を吐いた。
(冷静に考えろ)
(これは、軽率すぎる)
だが同時に――
昨夜の屋敷を思い出す。
音が生まれ、
人が動き、
空気が変わった。
「……」
数秒の逡巡の後、
彼は静かに口を開いた。
「……正式な雇用ではありません」
「うんうん!」
「一時的な滞在措置として。
条件付きです」
「条件?」
「身の安全を最優先にするため、
1人での外出は禁止とします」
「了解でーす!」
即答。
あまりにも即答。
ラインハルトは、思わず苦笑した。
「……本当に、迷いがないのですね。
他に何か聞きたいことはありますか?」
「うーん……時給いくら?」
「……じきゅう」
「一時間いくらもらえるか、みたいな」
『この世界では、
時間給という概念は一般的ではありません』
「マ?」
『日給、月給、または奉公契約が主流です』
「なるほどねー」
アヤカは一瞬考えてから、にやっと笑う。
「じゃあさ、ここで働いたらいくらもらえるの?」
「……それは」
ラインハルトは、少し考えてから答えた。
「仮に、雑務を頼むとして……
銀貨三枚ほどでしょうか」
「――――」
アヤカが固まった。
「……え?」
『補足説明を行います』
「お願いします」
『この世界の通貨は、
銅貨・銀貨・金貨に分かれています』
「うんうん」
『庶民の一日の食費は、銅貨三枚前後。
簡素な宿は、銅貨五枚ほどです』
「へー」
『銀貨一枚は、銅貨百枚分に相当します』
「……ん?」
『銀貨三枚は、
一般的な庶民の約一か月分の生活費です』
「…………」
アヤカは、スープのスプーンを持ったまま停止した。
「え」
「待って」
「アタシ、今なんて言われた?」
『一時間相当の労働で、
一か月分の生活費が得られる計算です』
数秒。
脳内で、何かが弾けた。
「……バグ?」
『仕様です』
「こっわ!!!」
勢いよく立ち上がる。
「アタシさっきまで、
“牛丼屋より高いじゃん”って言いそうになってたけど――」
「いや、全然その次元じゃなかったわ!!」
ラインハルトは完全に置いていかれている。
「……ぎゅう、どん……?」
「早い・安い・うまいの三拍子そろった神」
アヤカは、真顔で言った。
「……じゃあさ」
「アタシ、今めっちゃ高級人材?」
『短時間労働・即応性・高い精神耐性。
評価は非常に高いです』
「じゃ、決まりじゃん!
屋根付き・食事付き・時給高め!」
『総合評価:非常に良好な労働環境です』
「ブラックじゃない!
ホワイト騎士邸!最高!」
ラインハルトは、
その会話の半分も理解できないまま、
(……この屋敷に置いてよかったのか)
――いや。
もう、選択肢はなかったのかもしれない。
少しだけ、
本気で不安になっていた。
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